douce vie

現代アートを中心に、色々と考えた事とかを日々綴っています。主に関西の展覧会の感想なども書いております。

松井冬子展 世界中の子と友達になれる

2012-02-18 | 美術
どうやら私は選ばれなかった人間らしい。
年とともに繊細さは失われ、厚かましさが増長していく。
それならば、なるべく平穏に暮らしたい。
痛みや苦しみから逃れ、楽に生きられればいいじゃないか。
事実、どんなに悲しいニュースが流れようと、
世の中が不安に満ちあふれていようと、
私は平然と当たり前の毎日を過ごしている。

しかし、選ばれた人間がいる。
いつまでも繊細さを失わず、痛みや苦しみを過敏に感じ取り、
さらに、それを卓越したテクニックで人に伝えられる人間が。

松井冬子の作品を見ると、
痛み、苦しみ、不安、不条理、絶望、死への恐怖が、身のうちにじわりとあふれだす。
これが「視覚によって覚醒される痛覚」なのだろうか。