あいまいな優しさ

１２人の優しい日本人　　中原俊監督　１９９１年　日本

日本に陪審員制度ができ、ある殺人事件の評決をするために集まった１２人の日本人。
無罪で良いんじゃない？というノリで無罪に決定しかけたとき、一人有罪を唱える男。
そこから、１２人の話し合いが始まる。

ベースとなっている「１２人の怒れる男」と違って
１２人の「優しい」日本人は殺害をした女性を無実にしよう、無実にしようとする。
そこには「なんとなく」とか「後味が悪いから」とか
「犯人が若くて美人な女性だから」とかあいまいな理由しかない。
それは本当は優しさなんかじゃなくて、ただの責任の回避や無関心だ。
でもそんなあいまいさが、なんとも日本人らしくて優しく感じられる。

もともとは舞台の脚本だけあって、場面は会議室のみ。
会話だけで、個性的な１２人のキャラクターが作り上げられ、
またストーリーも意外な方向へ２転３転する。
１２人の陪審員のバランスも絶妙。
見事な構成だと思う。
観ていてひたすら感心してしまった。

そしてもちろん豊川悦司がなによりもかっこよかったのは言うまでもない。