douce vie

現代アートを中心に、色々と考えた事とかを日々綴っています。主に関西の展覧会の感想なども書いております。

「鉄コン筋クリート」

2005-03-27 | 雑記
鉄コン筋クリート  松本大洋 小学館

良い!すごく良い!
読みながらぞくぞくした。

まっくろなクロはまっしろなシロと一緒じゃなきゃダメなんだ。
スマイルにペコが必要だったように。

街って何だ?
人が街をつくるのか。
それとも。
街が人をつくるのか。

大人につくられた「こどもの城」なんて必要ない。
シロとクロがいるところ、それがゆるぎない自分達の城。
クロが繰り返し言う「オレの街」

住むということ

2005-03-21 | 
ル・コルビュジエの勇気ある住宅  安藤忠雄 新潮社

20世紀建築の巨匠ル・コルビュジエのどこが、なにが凄いかを
「住宅」を中心に安藤忠雄が語った本。

ル・コルビュジエ。名前は知っているのだけれど、
どんな人で、どのような建築を作った人なのかは知らなかった。

建築材料にコンクリートを使ったり、
壁に頼らない構造にして窓を大きくとったり、
とかいう手法は現在からしてみれば、見慣れてしまっていて、驚きは感じない。
それは当たり前で仕方の無い事なのだけど、
それでも、住んでみたいなあ、と思わせる魅力的な住宅だ。
とくに集合住宅であるユニテ・ダビタシオンは良いなあ。

安藤忠雄の仕事がル・コルビュジエにかなり影響を受けている、
という事が、よくわかって、そこもおもしろい。

建築というと公共施設などの大きな建築物を指す事が多いのだろうけど、
私にとっては個人住宅のイメージの方が強い。
初めに都市計画のようなものがあって、
整然と住宅が並べられたような新興住宅地にはちょっと息苦しさを感じる。
住宅が集まって、そこに自然発生的に出来ていく街の方が良い。
それはやっぱり人間の数だけ「住む」形があるからで、
一人の建築家が、その全てを網羅する事は出来ない。
じゃあ、建築家って何?
とか、そんなことをつらつらと考えた。

ル・コルビュジエは「住宅は住むための機械である」という言葉を残している。
安藤忠雄はこの「機械」という言葉を
「あくまで人間らしく”住まう”ための機能、もっともすぐれたムダのない空間」
を意味しているのではないか、と書いてある。
私はこの「機械」という言葉は「人間の機能を補うもの」という気がした。

色んなものにありがとー!

2005-03-21 | 
『エロイカより愛をこめて』の創りかた  青池保子 マガジンハウス

私の大好きな漫画である青池保子の「エロイカより愛をこめて」が
どのようにして創られたかを、著者本人が教えてくれるという、
ファンにとってはもう、ありがとー、と言うしかない本。

ネームの創りかたや、アシスタントの話や、
デビューの話や、取材旅行の話などがつまっている。
文章も上手くて読みやすい。

「エロイカより愛をこめて」は色んなものからインスパイアされ
巧妙に組み立てられ、出来上がっている。素晴らしい。
これらがなかったらエロイカは出来なかったのかも。

007。見た事無いけどありがとー。
レッドツェッペリン。聞いた事無いけどありがとー。
オスカー・ワイルド。「ドリアン・グレイの肖像」私も好きだ。ありがとー。
スパイ映画。見た事無いけどありがとー。
ハードボイルド。よくわからないけどありがとー。

そして青池保子さんありがとー。

サフラン色の夢

2005-03-13 | 美術
新日曜美術館を見よう見ようと思ってたのに、
うっかりしてて途中からになってしまった。

本日の新日曜美術館はクリストのThe Gateだったのだ。

映像で見るサフラン色のゲートは布が風にはためいて本当に綺麗。
26年間前に2人の人間が頭の中で思い描いた夢が
400万人ものニューヨーカーの、そして映像を通して
世界中の多くの人たちとの共通の夢となった。

これだけの大掛かりなものを実現させてしまうなんて本当に凄い。
しかもたった16日間だけ。本当に夢のようだ。

ゲートを設置するボランティアのスタッフたちと話していた
ジャンヌ・クロードの言葉ですごく印象的なものがあった。

「わかる?現実だからこそ美しいのよ」

クリスト夫妻が頭の中で思い描き、多くのスケッチを描き
それはそれで美しさを充分に予感させるものだったのだろうけど、
圧倒的な質量でセントラルパークを現実に彩ったゲートに
勝るものはないのだろう。
うーん、見てみたかった。

襲名って凄い事だったんだ...

2005-03-13 | 歌舞伎
BSで2週に渡って18代目中村勘三郎襲名の特別番組があった。
合わせて6時間もあって、録画はしたもののまだ全ては見れていない。
とりあえず、今歌舞伎座でやっている襲名披露公演から
3月10日のものという「口上」と「一條大蔵譚」を見た。

今までいくつかの口上を見てきたのだけれども、
まあ、あまり良く分からずに見ていた事もあって、
どうってことも思わなかったのだけれど、
口上ってこんなに良いものだったのかー。
襲名ってこんなに凄いものだったのかー。

なんというか、こう、ぐっとくるものがあった。
左団次の毎回、明らかに受けを狙ってくるものでさえ、
感慨深いと言うか...

17代目勘三郎を知らない私でも
こんなに感動しちゃってるんだから、
先代を知っている人なんか、泣いてしまうんじゃないだろうか。
ここに七之助もいられたら良かったのにねえ。
私には勘太郎はいまだに平助に見える。

「一條大蔵譚」も面白かった。
1月に鴈治郎のものも見たけど、勘三郎の方が分かりやすい感じだった。
(単に、ストーリーをすでに知っていたから、という気もするが)
阿呆ぶりがお上手で。
正気とのギャップが良いねえ。

勘三郎がやると古典歌舞伎でもなんか分かりやすい気がする、
と前から思っているのだけれど、やっぱり工夫をしているじゃないだろうか。
もちろん型は守ってて、その上で何かが、ある。

お京が玉三郎、鬼次郎が仁左衛門、っていうのも良かった。
ただ、こんな美男美女がお家復興を志している感じはしなくて
和事の道行にも見えたけど。
やっぱり歌舞伎は役者で見るものだわ、私にとっては。
好きな役者が出ていると、それだけで楽しい。

3、4、5月と歌舞伎座で、そのあと7月に大阪かー。
待ち遠しい。
その前に4月の籠釣瓶が見たいなあ。
前にも見た事あるけど、すごく好きな演目だし。
七之助も出るようだし。東京は良いなあ。

今月の南座は行けそうにない。残念。

それは例えるならスピーシーズ

2005-03-12 | 音楽
YOSHII LOVINSONの「WHITE ROOM」を聴いている。
シンプルですとんと音楽が入ってくる感じ。
かっこ良いけど、生々しくて、良い。
前作の「at the BLACK HOLE」よりもさらに
色んなものがそぎ落とされている気がする。
BLACK HOLEもすごく好きなんだけど。

あれとこれのいいところだけ足した
品種改良のバラの花もいいが
逆らえない運命として出会った
無垢な花が見たい
(NATURALLY)

という歌詞がある。
バラを作る人は最終的には原種を育てる、と聞く。
イエモンがゴージャスなハイブリットティーローズだとしたら
YOSHII LOVINSONは原種(スピーシーズ)かも。

......「PERFECT BLUE夢なら醒めて......」

2005-03-09 | 映画
PERFECT BLUE夢なら醒めて...  サトウトシキ監督 日本 2002年

アイドルとアイドルオタクの話らしいんだけど、
全くほめるところがない、というか。
つっこみどころが多すぎて、キレのあるつっこみも出来ない。
どうなってるんだ、これは?
いくらなんでも最後までこれはないだろ、と思い、
最後まで見たけれども、評価は変わらなかった。
勇気あるけど客観性はないな、と思った。

一気呵成「燃えよ剣」

2005-03-08 | 
燃えよ剣 上下  司馬遼太郎著 新潮文庫

新選組副長土方歳三の話。
面白い面白いとは聞いていたけれど、ここまでとは。
新選組が幕末を駆け抜けたように一気呵成に読んだ。
去年の大河ドラマ「新選組!」ですっかり歳が好きになってしまった私にとって
もうこの本は決定版、というか永久保存版、というか。
よくぞここまでの魅力的な人物を作り上げてくれたよな、という
賞賛と感嘆と感謝と。
もうとにかく良い、とそれ以外の言葉が思い付かない。
すでに今年読んだ本ナンバー1と思われる。

大河ドラマのDVDも出たし、まだまだ新選組をひきずっている。

奇跡!

2005-03-05 | 雑記
本日は美輪明宏さんの舞台「黒蜥蜴」のチケット発売日だった。
昨日、もう一度、ぴあのHPで確認をし、特電の番号もチェックし、
さて、本日10時。
NHKの時間表示を見ながら、すでに発信を押すだけの携帯を右手に
今か今かと待ち構える私。
クラシック名曲アルバム(確かそんなタイトルだった)が終わった瞬間に
発信ボタンをオン。

かかった!

つながった!

ぴあの電話で1コールでつながったの初めてだ。
奇跡だー、と感動してしまった。
奇跡が起こったので、B席を買おうと思ってたのに
奮発してS席を買ってしまった。
多分、即日完売はしてないんじゃないか、という気はするのだけれど、
つながるとこんなにうれしいものなのかー。

実は全然回線混んでないんじゃないか?と思って、
予約が終了した後、リダイヤルしてみたら、
「こちらはNTTです。現在、混み合っております」
という、いつもの例のやつが流れていた。
今まで誰がつながってるんだよ!と
ぴあにキレていたものだけど、ちゃんとチケット販売してるんだ、
としみじみ思った。(大袈裟な...)

それにしても今までアレとかアレとかアレとかにも奇跡が起こって欲しかった。

待ってました!

2005-03-04 | 歌舞伎
テレビをつけると18代目中村勘三郎襲名特集をやっていた。
ドラマ仕立てにしてしまっていて、何だかなあという演出も多かったけれど、
勘三郎の魅力は十分に伝わってきた。

良い役者さんだなあ、とつくづく思った。
こういう凄い役者を見ると、同じ時代に生まれて
舞台を見ることが出来る、という奇跡を感じる。
ちょっと大袈裟かも、だけど。

絵とか本とか映画とかは保存さえされていれば
後からでも見ることが出来る。
でも舞台は同じ時間を共有する。
同じ芝居は二度とない。
そう考えると見る方も気合いが入る気がする。

今回、七之助が出られないことは残念だけど、
大阪の時には出るのかなあ。
明日はBSで特集があるので、録画の予約をしなければ。