次の文を読み、下記の設問A~E に答えよ。
軍部の専横に対して、批判的な民衆や新聞・雑誌を中心とする、言論界の護憲運動がさかんになりつつあった1912(大正元)年 12 月、軍閥の巨頭であり内大臣であった( イ )が組閣をおこなった。この組閣に対して、政友会の( ロ )と立憲国民党の( ハ )は提携して、「〔 あ 〕打破・憲政擁護」を掲げる一大国民運動を展開し、翌年 2 月、成立からわずか 53 日で内閣を総辞職においこんだ。
つづく山本権兵衛内閣も、1914 年、(1)軍需品購入をめぐる汚職事件によって崩壊した。これらの内閣総辞職には、新聞の藩閥官僚
政治打破のキャンペーンとともに、民衆による社会運動も大きな貢献を果たした。1912 年、 ( ニ )の創立した〔 い 〕は、当初、労資協調路線をとっていた団体であったが、その後、〔 う 〕に再編成され、労働運動は次第に階級闘争の性格を強めていった。1918 年には、全国的に米騒動が広がり、その責任をとって総辞職した( ホ )内閣にかわって、政友会の総裁( ヘ )が、(2)3つの大臣ポストを除いて、政友会の党員からなる内閣を組織した。衆議院に議席をもつ首相が誕生したことで、この内閣は、日本初の本格的な政党内閣として、国民各層から歓迎された。しかし、(3)同内閣は党勢拡大をはかるための政策には熱心な反面、野党から出されていた普通選挙法案には冷淡な姿勢をとるなど、国民の期待に背いた。その後、1920 年の株式の暴落に端を発した戦後恐慌によって財政的にいきづまったこの内閣は、政権維持が困難になり、さらにその翌年、首相の( ヘ )が暗殺され幕を閉じた。
その後、1923 年には、第2 次山本権兵衛内閣、1924 年には、清浦奎吾内閣と、いわゆる〔 え 〕が続き、これに反発した政友会・憲政会・革新倶楽部の〔 お 〕は、提携して憲政擁護の運動を展開し、清浦内閣倒閣後、(4)総選挙で第 1 党となった憲政会の総裁を首相とする連立内閣を組織した。
以上の大正デモクラシー時代の理論的支柱となったのは、政治学者の〈 ① 〉と憲法学者の〈 ② 〉であった。〈 ① 〉は、(5)〔 か 〕の憲法体制下における民衆の政治参加を主張し、政党内閣制と普通選挙の実現を提唱した。
また〈 ② 〉は、法人としての国家が主権の主体であり、君主は国家の最高機関であるとする国家法人説を唱え、その後、この国家法人説が政治問題化した 1935 年に〔 き 〕議員を辞職した。
この政治問題をめぐり、岡田啓介内閣は「〔 く 〕に関する声明」を発表し、この学説を攻撃した。この後、学問・思想に対する統制はさらに強化され、文部省は〔 く 〕の観点から師範学校などの教育内容を改めた。
さらに1937年には、国民の日常生活を規律する〔 け 〕運動が開始され、1938年から翌年にかけておきた〔 こ 〕では、東京帝国大学教授〈 ③ 〉や同大学助教授有沢広巳などのマルクス経済学の研究者がいっせいに検挙されるなど、左翼に対する弾圧が強化された。
そして、弾圧や統制の対象は社会主義思想だけでなく、自由主義思想も統制の対象とされた。そうしたなかで、あらゆる文化的活動は政府の文化統制に沿うことを強要されたのであった。
A.文中の空所(イ)~(ヘ)にあてはまる適当な人名を、それぞれ対応する次の a~e から1つずつ選び、その符号をマークせよ。
(イ) a.山県有朋 b.伊藤博文 c.桂太郎 d.西園寺公望 e.原敬
(ロ) a.大隈重信 b.尾崎行雄 c.山本権兵衛 d.若槻礼次郎 e.床次竹二郎
(ハ) a.小村寿太郎 b.加藤高明 c.犬養毅 d.浜口雄幸 e.後藤新平
(ニ) a.赤松克麿 b.津田左右吉 c.河上肇 d.賀川豊彦 e.鈴木文治
(ホ) a.田中義一 b.原敬 c.犬養毅 d.高橋是清 e.寺内正毅
(ヘ) a.田中義一 b.原敬 c.犬養毅 d.高橋是清 e.寺内正毅
B.文中の空所〔あ〕~〔こ〕それぞれにあてはまる適当な語句をしるせ。
C.文中の空所〈①〉~〈③〉それぞれにあてはまる適当な人名をしるせ。
D.文中の下線部(1)~(5)にそれぞれ対応する次の問 1~3に答えよ。
1.この事件は何と呼ばれたか。事件の名をしるせ。
2.3 つの大臣を全て記せ。
3.この内閣がかかげた四大政綱を全て記せ。
4. この人物は誰か。
衆議院での多数党が政権を担当する慣習を、どのように称したか。その名をしるせ。 この内閣が国体変革・私有財産否定を目的とする集団を取り締まるために制定した法令名を記
せ。
5.この提唱の基礎となったイデオロギーは何と呼ばれたか。その名をしるせ。
[解答]
A イ c ロ b ハ c ニ e ホ e ヘ b
B あ 閥族 い 友愛会 う 日本労働総同盟 え 超然内閣( 非政党内閣) お 護憲三派 か 天皇主権 き 貴族院 く 国体明徴 け 国民精神総動員 こ 人民戦線事件
C ①吉野作造 ②美濃部達吉 ③大内兵衛
D 1 シーメンス事件 2 陸軍大臣・海軍大臣・外務大臣 3 産業振興・国防充実・高等教育拡充・交通機関整備
4 加藤高明 憲政の常道 治安維持法 5 民本主義
[]こ.ひどくさっぱり地味お家。
1938年 人民戦線事件 大内兵衛
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