
春のベルギーで開催されたドワールス・ドール・フラーンデレン(フランダース横断レース)で、EFエデュケーション・イージーポストのニールソン・パウレスが今季初優勝を挙げています。今年で79回を誇るフランダースのセミクラシックでの優勝はパウレス自身にもチームにとっても大きな出来事でした。

レース自体はワールドツアーでもひとつ下のクラスですが、ワウト・ファンアールト、マッテオ・ヨルゲンソン、マッズ・ピーダスンとそうそうたるメンバー相手の勝利は非常に価値のあるものだと思っています。調子が上がらないワウトはともかく、昨年の覇者ヨルゲンソンはパリ~ニースで総合優勝を挙げ、ピーダスンはヘント・ウェルヘムを70㎞の独走勝利を挙げているのですから。

今季はなかなか勝てない状況が続いていたEFにとっては朗報でしょう。個人的には秋に強さを見せる選手だと思っていたパウレスは、春先はなかなか調子が上がらない年が続いていたからです。昨年のジロでステージ優勝を飾ったゲオルグ・シュタインハウザー、ツールで山岳賞を獲得したリチャル・カラパスがイマイチの状況の中でのパウレスの勝利はチームのモチベーションを確実に上げることは間違いないでしょう。

残り70㎞地点で逃げ集団に追いついたパウレスでしたが、後ろから猛追するヴィスマ軍団に追いつかれ、50㎞地点の登りでヨルゲンソン、ワウト、ベノートがペースを上げて集団から抜け出します。それに対応出来たのはパウレスだけでした。イエロー集団にポツンとピンクが収まり、見た目にも目立っていました。昨年のグランピエモンテでは単独逃げで、つまりそうでつまらない微妙なタイム差で逃げ切り勝利をしていますが、パウレスは非常にクレバーな選手のようです。ジャパンカップで2度優勝しているので、日本でもファンの多い選手でもあります。

チーム・ヴィスマのトレインに無賃ではない(上手く先頭交代をしながら)にせよ、上手く乗り、相手の力を利用して、勝利のチャンスを探していたように見えました。普通は3対1ではパウレスに勝ち目は無かったのですが、ゴール前は上手く立ち回り、リードアウトを受けたワウトの背後から仕掛けての勝利でした。ワウトがゴール前踏み止めているので、スプリント力で圧倒したというより、ワウトが不調だったのかもしれません。後に脚が攣ったと語っているようですが、普通、ワウトとのスプリントでパウレスが勝つ確率は高くはなかったはずなのです。ただ、挑まなければ結果は得られないので、最後までヴィスマトレインに食らい付いたパウレスを称賛したいと思います。

CannondaleのSupersix EVOがTV画面に映し出されるのは、ボルタ・ア・カタルーニャで最後まで逃げ粘っていたシュタインハウザー以来のことなのです。今年もUAEチーム・エミュレーツの強さが際立ち、コルナゴのバイクがここまで23勝を挙げています。今季初のモニュメントではCANYON AEROAD CFRを駆るマチュー・ファンデルプールがポガチャルを抑えて優勝。TREKもジョナサン・ミランやマッズ・ピーダスンが勝ち星を積み重ね、スペシャライズドもレッドブルのログリッジがボルタ・ア・カタルーニャで総合優勝をしている中で、同じアメリカブランドのcannondaleが霞んでしまっていたのですが、Supersix EVO乗りとしてはこのパウレスの勝利で少し溜飲を下げた感じになっています。

札幌もようやく積雪がゼロになりそうで、今週末にはシーズンインが出来そうというタイミングでモチベーションを貰った感じがしています。今朝のローラートレでも久々に1時間25㎞をマークしています。つくづくロードバイクは気持ちが大事だと痛感しているところです。