
エアロ化の進化が止まらないロードバイクですが、今年、タディ・ポガチャルが使用するコルナゴのY1Rsという最新エアロロードの走りを見て感じたことがありました。昨年暮れに公表されたホワイト・ペーパーを見た時には驚きを隠せなかったバイクでしたが、実情は少し違うのではと考えるようになっています。

その違和感が鮮明になったのがミラノ~サンレモでした。ポガチャルが最も苦戦するだろうと言われて来たモニュメントですが、今年も3位という結果に終わっています。勝ったのはマチュー・ファンデルプールでバイクはホワイト・ペーパーで比較対象とされていたCANYON AEROAD CFRでした。

ポガチャルがファンデルプールに負けたというより、コルナゴの最新エアロロードY1RsがポガチャルをもってしてもCANYON AEROAD CFRには勝てなかったともいえるのではないでしょうか?個人的にはV4Rsでポガチャルが戦っていたら、チプレッサでファンデルプールを千切れていたかもしれないと考えているのです。

グランツールの勾配のキツイ距離の長いステージでは苦戦を強いられているAEROAD CFRですが、平坦では世界最速のロードバイクといっても過言ではありません。そのバイクよりエアロ性能が高いとされたY1Rsですが、登りでは苦戦を強いられているのです。実際に今季絶好調のフアン・アユソはV4Rsでティレーノ~アドレアティコを総合優勝しているのです。ミラノ~トリノを勝ったデルトロのバイクもV4Rsでした。

Y1Rsが悪いバイクだというつもりはありません。ただ、どんなバイクでも時間をかけながらアップデートを重ねて成熟して行くものです。今のAEROAD CFRは第4世代に当たりますし、cannondaleのSupersix EVOも同様です。スペシャライズドのターマックはSL8、TREKのマドンもGen8と進化というより成熟度や完成度が増しているのです。

Y1Rsは言わば第一世代なのです。これからも進化を続けていくはずですが、投入初年度ですから過信は禁物でしょう。この負けでポガチャルがY1Rsを使わなくなることは無いと思いますが、登りで差を付けるならV4Rsに一日の長があると見ています。“V4”とあるようにこのバイクも第4世代の成熟したバイクなのですから。

実はUAEチーム・エミュレーツはポルタ・ア・カタルーニャで使用していたバイクにはV5Rsというロゴがあり、V4Rsの第5世代にあたるバイクを既に投入していた可能性があるのです。ポガチャルもイタリアでのイベントでカムフラージュペイントされたバイクに乗っており、これがV5Rsだった可能性もあるのです。

今週の日曜に行われるロンド・ファン・フラーデレンと再来週のパリ~ルーベではおそらくポガチャルも使用する可能性が出て来ています。急勾配の丘が続くロンドではY1Rsの出番はないでしょう。加えて、ポガチャルはパリ~ルーベでの試走にもY1Rsを使っていません。マチューはAEROAD CFR一択なので、今後ポガチャルがY1Rsをどこで使ってくるのかで、ポガチャルのこのバイクの評価が分かると見ています。