映画鑑賞

昔の名画から最近上映の映画まで、国内外を問わず幅広く楽しんでいます。別世界へ連れて行ってくれる作品が好み(本棚6)。

「珈琲時光」

2011-01-23 08:50:45 | 手持ちの映画ビデオ・DVD
2004年、日本映画
監督:侯孝賢(ホウ・シャオシェン)
脚本:侯孝賢、朱天文
主題歌:「一思案」(作詞:一青窈 作曲:井上陽水)
キャスト:一青窈[井上陽子]、浅野忠信[竹内 肇]、萩原聖人、余貴美子、小林稔侍

 ドラマティックな展開はありません。20歳台の独身女性の日常を淡々と追うカメラワーク。彼女を取り巻く家族や友人、風景を丁寧に映し出しています。
 彼女が台湾の彼の子どもを妊娠していてシングルマザーになろうとしていたり、台湾の音楽家のエピソードが登場したり・・・観方によってはすべて中途半端。
 一方、電車に乗っているシーンが多用され、鉄チャンには好みの映画化も。
 
 私は前知識なしで観たので、はじめのうちストーリーがよくわかりませんでした。でもボンヤリ見続けるうちに、ジワジワと画面に引き込まれていきました。心が沈静化していくようです。

 監督は「平成」という時代の空気を切り取って残しておきたいんだろうな、と感じました。
 人々は肉体労働から解放され、価値観が多様化し、生きる意味を見つけるのも難しい・・・。
 危うい時代とも考えられるし、穏やかな時代とも捉えられる。
 答えを押しつけるのではなく、観る人任せ。
 10年後、30年後に「ああ、ああいう時代があったなあ」と思い出すことでしょう。

 小津監督の映画が「昭和」を切り取って残したのと同じように。
 違いは時代が「昭和」から「平成」になり、人間関係がより希薄になってきていることでしょうか。

「珈琲」の香りが漂ってくるような映画を期待しましたが、その点は不満足(苦笑)。それから、セリフの洗練性が今ひとつなのが残念でした。

★ 5点満点で3点

~Wikipediaより~
 「珈琲を味わうときのように、気持ちを落ち着け、心をリセットし、これからのことを見つめるためのひととき」というテーマを、小津安二郎の生誕100年を記念し「東京物語」のオマージュという形で製作された映画。
 神田神保町や鬼子母神等の古き日本の街角や路地、また山手線、京浜東北線、高崎線、都電荒川線の車窓風景の映像美が評価された。
 台湾、群馬、神田神保町、それぞれを自分の居場所として、明るい未来を期待しながら生きる女性とその仲間達の姿を優しく、温かく、そして美しき色彩で表現している。また、この話では台湾出身の作曲家・江文也が取り上げられ、江の日本側の夫人と娘が出演している。

~Amazonの解説文より~
 小津安二郎生誕100周年を記念して、台湾の巨匠ホウ・シャオシェン監督が日本で監督した作品。小津を敬愛するホウ監督だが、彼のこの映画での演出は、単に小津作品のスタイルや様式美を模倣するというものではない。
東京で暮らすフリーライターの女性が、台湾の青年の子供を身ごもる。ひとりで生んで育てるという彼女に、父親と母親は言葉もなく静かに見守る。日々の生活と仕事に明け暮れる彼女の姿を、ホウ監督は淡々と追い続ける。




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