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言の葉辞典 『雨』②

2023-09-25 21:00:00 | 言の葉/慣用句

 ■雨(あめ) ②

 ▼雨による活動の制約

 雨により、人間の活動が制限されることもある。雨の日に外出するときには、傘やレインコートなどの雨具を持参し身に付ける。
 野外で予定されていた行事が、雨天で中止になったり変更される例はよく見られる。
 ただし、「少雨決行」のように弱い雨の場合には雨天に関わらず行事が行われる場合がある。
 なお、類人猿においてもこのようなことがあり、雨の日は活動が制約される。
 彼らは雨よけのために木の枝などを集めて傘や屋根のようなものを作ることが知られている。


 ▼雨の表現

 日本は雨が多く四季の変化に富み、雨に関する語彙、雨の異名が豊富であるとされる。

 ★雨の強さや降り方による表現

 ・小糠雨(糠雨)
  糠のように非常に細かい雨粒が、音を立てずに静かに降るさま。

 ・細雨
  あまり強くない雨がしとしとと降り続くさま。

 ・小雨
  弱い雨。あまり粒の大きくない雨が、それほど長くない時間降って止む雨。

 ・微雨
  急に降り出すが、あまり強くなくすぐに止み、濡れてもすぐ乾く程度の雨。

 ・時雨(しぐれ)
  あまり強くないが降ったり止んだりする雨。
 特に晩秋から初冬にかけての、晴れていたかと思うとサアーッと降り、傘をさす間もなく青空が戻ってくるような通り雨を指す。

 ・俄雨(にわかあめ)
  降りだしてすぐに止む雨。降ったり止んだり、強さの変化が激しい雨。
 夏に降る俄雨は夕立、狐の嫁入り、天照雨などと呼ばれる。
 肘かさ雨、驟雨(しゅうう)と同義。

 ・地雨
  あまり強くない雨が広範囲に一様に降るさま。
 俄雨に対し、しとしと降り続く雨で、勢いが急に変化するのは稀。

 ・村雨
  降りだしてすぐに止む雨。
 群雨、業雨などとも書く。
 地方によっては「鈍雨」(とんぺい)」とも呼ばれる。

 ・村時雨(むらしぐれ)
  ひとしきり強く降っては通り過ぎて行く雨。
 降り方によって片時雨、横時雨、時間によって朝時雨、夕時雨、小夜時雨と分ける。

 ・片時雨
  ひとところに降る村時雨。地雨性の村時雨。

 ・横時雨 横殴りに降る村時雨。

 ・涙雨
  涙のようにほんの少しだけ降る雨。
 また、悲しいときや嬉しいときなど、感情の変化を映した雨。

 ・天気雨
  晴れているにもかかわらず降る雨。

 ・通り雨
  雨雲がすぐ通り過ぎてしまい、降りだしてすぐに止む雨。

 ・スコール
  短時間に猛烈な雨が降るさま。
 熱帯地方で雨を伴ってやってくる突然の強風に由来する。

 ・大雨
  大量に降る雨(一般的な認識)。
 大雨注意報基準以上の雨(気象庁の定義)。

 ・豪雨
  大量に降る激しい雨(一般的な認識)。
 著しい災害が発生した顕著な大雨現象(気象庁の定義)。

 ・雷雨
  雷を伴った激しい雨。
 普通は短時間に激しく雨が降る場合が多い。

 ・風雨
  風を伴った激しい雨。
 長雨 数日以上降り続くような、まとまった雨。

 ★季節による表現

 ・春雨(はるさめ)
  春にあまり強くなくしとしとと降る雨。
 地雨性のしっとりとした菜種梅雨の頃の雨を指す。
 桜の花が咲くころは、花を散らせるので「花散らしの雨」とも呼ばれる。

 ・菜種梅雨
  3月から4月ごろにみられる、しとしとと降り続く雨。
 菜の花が咲くころの雨。
 特に三月下旬かる四月にかけて、関東から西の地方で天気がぐずつく時期を指す。

 ・五月雨(さみだれ)
  かつては梅雨の事を指した。
 現在は5月に降るまとまった雨を指すこともある。
 また、五月雨に対して、この梅雨の晴れ間を五月晴れというが、5月の爽やかな晴天をさすことがある。

 ・走り梅雨
  梅雨入り前の、雨続きの天候。
 
 ・梅雨(ばいう、つゆ) 地域差があるが5月〜7月にかけて、しとしとと長く降り続く雨。

 ・暴れ梅
  梅雨の終盤に降る、まとまった激しい雨。
 「荒梅雨」とも言う。

 ・送り梅雨
  梅雨の終わりに降る、雷を伴うような雨。

 ・帰り梅雨
  梅雨明けと思っていたところに再びやってくる長雨。
 「返り梅雨」、「戻り梅雨」ともいう。

 ・緑雨
  新緑のころに降る雨。
 翠雨の一種。

 ・麦雨
  麦の熟する頃に降る雨。
 翠雨の一種。

 ・夕立
  夏によく見られる突然の雷雨。
 あるいは単に夏の俄雨を指す。
 午後、特に夕方前後に降ることが多い。
 白雨(はくう)ともいう。

 ・狐の嫁入り
  夕立の、特に日が照っているのに降る雨をさす。
 天照雨(さばえ)などともいう。

 ・秋雨(あきさめ)
  秋に降る、しとしとと降る雨。
 特に9月から10月にかけての長雨をさす。
 秋雨前線によって起こり、台風シーズンの特徴。
 秋霖(しゅうりん)。

 ・秋時雨
  秋の終わりに降る時雨。
 秋入梅 秋雨。秋雨の入り。

 ・秋入梅
  秋雨。秋雨の入り。
 液雨 冬の初めの時雨。
 立冬から小雪のころの時雨。
 寒九の雨 寒に入って(小寒を寒の入りという)9日目の雨。
 豊年の兆しとされる。

 ・寒の雨(かんのあめ)
  寒の内(大寒から節分まで)に降る雨。

 ・山茶花梅雨
  11月から12月ごろにみられる、しとしとと降り続く雨。
 山茶花が咲くころの雨。 氷雨 冬に降る冷たい雨。雹や霰のことを指すこともある。

 ・氷雨
  冬に降る冷たい雨。
 雹や霰のことを指すこともある。

 ・淫雨
  梅雨のようにしとしとと長く降り続き、なかなか止まない雨。

 ★その他の区分からの表現

 ・私雨(わたくしあめ)
  ある限られた土地だけに降る雨。
 転じて個人の利得の意もある。

 ・外待雨(ほまちあめ)
  局地的な、限られた人だけを潤す雨。

 ・翠雨(すいう)
  青葉に降りかかる雨。
 時期によって緑雨、麦雨、草木を潤す雨という視点で甘雨、瑞雨と区別する。 

 ・甘雨(かんう)
  草木を潤す雨。
 翠雨の一種。

 ・瑞雨(ずいう)
  穀物の成長を助ける雨。
 翠雨の一種。

 ・慈雨 恵みの雨。
 少雨や干ばつのときに大地を潤す待望の雨。

 比較的新しい雨に関する言葉も生まれている。
 明確な定義はないものの、微妙に異なった意味で使用されている。

 ・集中豪雨
  限られた場所に集中的に降る激しい雨(一般的な認識)。
 警報基準を超えるような局地的な大雨(気象庁の定義)。
 局地的豪雨。局地豪雨。

 ・ゲリラ雨・ゲリラ豪雨
  限られた場所に短い時間集中的に降る、突然の激しい雨。

 ・短時間強雨
  短い時間に集中的に降る強い雨。

 ・ゲリラ雷雨
  雷を伴ったゲリラ雨・ゲリラ豪雨。

 ▼レインガーデン

  レインガーデン(Rain gardens)

 バイオリテンション施設(bioretention facilities)とも呼ばれ、所謂ガーデン(庭園)というよりも、雨水が土壌に再吸収されるのを促進するために考案された様々な手法の1つである。
 また、汚染された雨水の流出を処理するために使用されることもある。
 レインガーデンは、不浸透面 (impervious) からの表面流出 (runoff) の流量、総量、汚染物質濃度の測定 (pollutant load) を減少させるように設計された外部空間である。
 都市部ならば屋根、歩車道、駐車場、小スペースの芝生エリアなどが活用される。

 日本でも国や企業でもグリーンインフラと捉え、多くの試みがなされており、大成建設では「地上に降った雨水を下水道に直接放流することなく一時的に貯留し、ゆっくり地中に浸透させる構造を持った植栽空間」、鹿島建設でも「レインガーデンは降雨時に雨水を一時的に貯留し、時間をかけて地下へ浸透させる透水型の植栽スペース」として開発している。
 レインガーデンは、植物と天然または人工の土壌培地を頼りに雨水を保持し、浸潤 (infiltration) のラグタイムを長くし、都市部の流出水が運ぶ汚染物質を浄化・ろ過している。
 そして降った雨を再利用して最適化する方法を提供することで、追加の灌漑施設の必要性を低減または回避する。
 これは都市部のヒートアイランドの効果として知られる、熱を吸収する不浸透面を多く含む都市部で特に有効な緩和策である。
 雨の多い都市部ならば、降雨量の多い地区でも洪水が少ない場所を作ることができる。

 レインガーデンの植栽には一般に野草、スゲ、イグサ科、シダ、低木、小木などの湿地の植生が活用される。
 これらの植物は、レインガーデンに流れ込む栄養分と水を取り込み、蒸散のプロセスを通じて地球の大気に水蒸気として放出させる。
 深い植物の根も、地面にろ過する追加チャネルを形成する。

 関連項目 ー いま、会いにゆきます ー

 『いま、会いにゆきます』(いま、あいにゆきます)は、市川拓司によるベストセラーのファンタジー恋愛小説。
 2003年に小学館より刊行された。
 通称『いまあい』。

 翌2004年に竹内結子・中村獅童主演で映画化された。
 2005年にはミムラ・成宮寛貴主演でテレビドラマ化されるなど、『世界の中心で、愛をさけぶ』と同じくメディアミックスによるヒット作の1つである。

 《概要》

 2003年2月27日、小学館から刊行された(ISBN 409386117X)。
 2007年11月6日に小学館文庫より文庫判が刊行されている(ISBN 978-4094082173)。
 市川拓司公式サイト内で、作品の5分の1ほどが公開された。
 作品は市川自身の病気体験がベースとなっており、妻との恋愛やバイク旅行など、彼の実際の生活で起こったエッセンスが散りばめられている。
 物語の舞台について、作中では全く描かれていないが、市川と妻は埼玉県に在住していたことから、おおむね埼玉県内である。

 《ストーリー概要》

 ある町に住む秋穂巧は、1年前に最愛の妻である澪を亡くし、1人息子の佑司と慎ましく過ごしていた。
 2人は生前澪が残した、「1年たったら、雨の季節に又戻ってくるから」という言葉が気になっていた。
 それから1年後、雨の季節に2人の前に死んだはずの澪が現れる。
 2人は喜ぶが、澪は過去の記憶を全て失っていた。

 そこから3人の共同生活が始まる。

 〔ウィキペディアより引用〕

   _/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/

 『はじまりはいつも雨』
          作詞 飛鳥涼

 君に逢う日は 不思議なくらい
 雨が多くて

 水のトンネル くぐるみたいで
 しあわせになる

 君を愛する度に 愛じゃ足りない気がしてた

 君を連れ出す度に 雨が包んだ

 君の名前は 優しさくらい
 よくあるけれど

 呼べば素敵な とても素敵な
 名前と気づいた

 僕は上手に君を 愛してるかい 愛せてるかい
 誰よりも 誰よりも

 今夜君のこと誘うから 空を見てた
 はじまりはいつも雨 星をよけて

 君の景色を 語れるくらい
 抱きしめあって

 愛の部品も そろわないのに
 ひとつになった

 君は本当に僕を 愛してるかい 愛せてるかい
 誰よりも 誰よりも

 わけもなく君が 消えそうな気持ちになる
 失くした恋達の 足跡(あと)をつけて

 今夜君のこと誘うから 空を見てた
 はじまりはいつも雨

 星をよけて ふたり 星をよけて

 〔情報元 : Uta-net〕



言の葉辞典 『雨』①

2023-09-25 21:00:00 | 言の葉/慣用句

 ■雨(あめ) ①

 《意味》

  上空の水蒸気が冷えて、水滴となって地上に落ちてくる現象。
 また、その水滴。

 《語源・由来》

 雨の語源を大別すると、「天(あめ)」の同語説と、「天水(あまみづ)」の約転説になる。
 古くから、雨は草木を潤す水神として考えられており、雨乞いの行事なども古くから存在する。
 「天」には「天つ神のいるところ」といった意味もあるため、雨の語源は、上記「天」「天水」のいずれかであると考えられる。

 雨(あめ、英語: rain)とは、大気から水の滴が落下する現象で、降水現象および天気の一種。
 また、落下する水滴そのもの(雨粒)を指すこともある。
 大気に含まれる水蒸気が源であり、冷却されて凝結した微小な水滴が雲を形成、雲の中で水滴が成長し、やがて重力により落下してくるもの。
 ただし、成長の過程で一旦凍結し氷晶を経て再び融解するものもある[4]。地球上の水循環を構成する最大の淡水供給源で、生態系に多岐にわたり関与する他、農業や水力発電などを通して人類の生活にも関与している。

 《雨の形成》

 ▼水蒸気から雲へ

 水蒸気から雲へ 編集 地球の大気(空気)は、場所により量が異なるが、水蒸気を含んでいる。
 この水蒸気は、海洋や湖の表面、地面からの蒸発、植物からの蒸散などを通して供給されるものである。
 空気中の水蒸気の量を表す身近な指標として相対湿度があり、通常は単に湿度と呼ぶ。相対湿度とは、空気がある温度(気温)であるときに含むことができる水蒸気の最大量(飽和水蒸気量)を100%とし、実際に含まれている量を最大量に対する割合で表したものである。
 例えば、気温25℃・相対湿度50%の空気には、1m3(=1000リットル)あたり11.4gの水蒸気が含まれる。
 空気の相対湿度が増して100%に達することを飽和という。
 空気は、何らかの要因によって冷やされることで飽和する。
 飽和した空気では、水蒸気が凝結して微小な水滴を形成する。これが雲である。
 先の例に挙げた、25℃・相対湿度50%の空気1m3を考える。この空気には11.4gの水蒸気が含まれる。
 これを10℃まで冷却すると、10℃の飽和水蒸気量は9.3g/m3なので、11.4 - 9.3 = 2.1g分が凝結し水滴となることが分かる。

 空気を冷却して飽和させるプロセスは、主に断熱膨張による冷却である。断熱膨張とは、上空へいくほど気圧が低いため、空気が持ち上げられて気圧が下がると膨張し、同時に冷却されることを言う。
 大気の対流、気団同士の衝突(前線)などの大気の大規模な運動、また気流が山にぶつかったりするような物理的障害によって起こる。
 このほかには、例えば暖かい空気が冷たい海面に触れたり、空気が熱放射として宇宙に向かって赤外線を放射したり(冬の晴れた夜間に起こる放射冷却としてよく知られている)、降雨時の雨粒が蒸発の際に潜熱を奪い周りの空気を冷やしたりするプロセスがある。

 ▼水蒸気から雲へ

 地球の大気(空気)は、場所により量が異なるが、水蒸気を含んでいる。
 この水蒸気は、海洋や湖の表面、地面からの蒸発、植物からの蒸散などを通して供給されるものである。
 空気中の水蒸気の量を表す身近な指標として相対湿度があり、通常は単に湿度と呼ぶ。相対湿度とは、空気がある温度(気温)であるときに含むことができる水蒸気の最大量(飽和水蒸気量)を100%とし、実際に含まれている量を最大量に対する割合で表したものである。
 例えば、気温25℃・相対湿度50%の空気には、1m3(=1000リットル)あたり11.4gの水蒸気が含まれる。
 空気の相対湿度が増して100%に達することを飽和という。空気は、何らかの要因によって冷やされることで飽和する。
 飽和した空気では、水蒸気が凝結して微小な水滴を形成する。これが雲である。  
 先の例に挙げた、25℃・相対湿度50%の空気1m3を考える。
 この空気には11.4gの水蒸気が含まれる。これを10℃まで冷却すると、10℃の飽和水蒸気量は9.3g/m3なので、11.4 - 9.3 = 2.1g分が凝結し水滴となることが分かる。

 空気を冷却して飽和させるプロセスは、主に断熱膨張による冷却である。断熱膨張とは、上空へいくほど気圧が低いため、空気が持ち上げられて気圧が下がると膨張し、同時に冷却されることを言う。
 大気の対流、気団同士の衝突(前線)などの大気の大規模な運動、また気流が山にぶつかったりするような物理的障害によって起こる。
 このほかには、例えば暖かい空気が冷たい海面に触れたり、空気が熱放射として宇宙に向かって赤外線を放射したり(冬の晴れた夜間に起こる放射冷却としてよく知られている)、降雨時の雨粒が蒸発の際に潜熱を奪い周りの空気を冷やしたりするプロセスがある。

 ▼凝結・暖かい雨

 空気中での水滴の凝結は実際には、凝結核を介して行われる。
 球の形をする水滴には表面張力が働くが、水滴が小さいほど表面張力が強く核生成が安定しない。
 ある実験によれば、ほこりのない非常に清浄な空気中では、0℃のとき相対湿度が100%を超過(過飽和)してさらに430%まで達しなければ、水滴は自発的に形成されない。
 対して、通常の大気のように凝結核がある空気中では、エアロゾル粒子の働きにより凝結が助けられるため、相対湿度は概ね101%を上回ることがない。雲の凝結核として働く主なエアロゾル粒子には、燃焼ガスや火山ガスに由来する0.1-1µmの硫酸塩粒子、海のしぶきに由来する数µmの海塩粒子や、土壌由来の粒子、有機エアロゾルなどがある。
 雲ができたての時の水滴(雲粒)の大きさは、半径1 - 20µm(0.001 - 0.02mm)程度である。
 これに対し、雨粒の平均的な大きさは半径1,000µm(1mm)である。
 なお、雲の中には1m3あたり1000万 - 数百億個の雲粒が存在する。
 半径1 - 10µm程度の初期の段階では、雲粒の表面にさらに水蒸気が凝結していくことにより通常でも数分ほどで10µm程度の大きさに成長する(凝結過程)。
 しかし、凝結による成長は粒径が大きくなるほど遅くなる。
 雲粒の平均を半径10µmだとして、半径100倍の1,000µmに成長するためには、体積にして100万倍、これを雲の中の平均的な水蒸気量の下で凝結だけで行うと約2週間かかると試算され、現実とはかけ離れている。
 実際には、10 - 30µm程度に達すると水滴同士の衝突により成長する(併合過程)。衝突併合による成長は粒径が大きいほど速いため、この段階では加速的に成長が進む。
 なお、海洋の積雲では、吸湿性の海塩粒子が豊富な事から大きな粒子がすぐに生成され、雲ができ始めてから20 - 30分程度で雨が降り出すことも珍しくない。

 上記のように、一貫して液体のまま雨として降るプロセスを「暖かい雨」という。
 これに対し、途中で凍結して氷晶になり、再び融解して降るプロセスを「冷たい雨」という。
 日本で降る雨は、およそ8割が「冷たい雨」のプロセスによるものだと言われている。

 

 ▼氷晶・冷たい雨

 気温が0℃を下回る冷たい空気の環境下で起こる。
 単体氷晶の形成としては、水蒸気が凝結核を介して凝結した水滴がさらに凍結核の働きにより凍結し氷晶となるパターンと、水蒸気が昇華核を介して昇華し直接氷晶を形成するパターン、さらに、氷晶同士の衝突などで生じる二次氷晶がある。
 空気中では、気温が0℃を少し下回ったくらいでは水滴の凍結が始まらないことが多い。
 0℃以下で凍らない状態を過冷却と言う。
 凍結核は、水滴に衝突することによる衝撃や、水滴に溶け出すことによる化学的効果などを通して、概ね-30℃以上の環境下で凍結を促す。
 -30℃以下の環境では、昇華による氷晶の形成が起こる。
 また、-40℃以下の環境では、凍結核がない場合でも純水の均質核生成により水滴が凍結する。
 雲の中で一部の水滴が凍って氷晶になり始めると、周囲に存在する過冷却の水滴は蒸発して氷晶の表面に昇華するため、急速に成長する。例えば直径10µmの氷晶は、同じ大きさの水滴に比べて10倍の速度で成長する。
 氷晶は成長過程で分化し、結晶が集まった雪片になるものと、主に積乱雲の中で生じるが丸みを帯びた氷の粒(霰や雹)になるものに分かれる。
 雪片や霰が落下する途中で、0℃より高い空気の層に達すると融け始め、完全に融けると液体の雨粒となる。
 融けきれない場合は雪となる。
 雪は落下途中で昇華(気化)しながら昇華熱を放出するため、2 - 3℃程度では雪の形状を保ったまま降ることがある。雪になるか雨になるか、あるいは雪と雨が混合する霙になるかは、気温と相対湿度により決まる。
 またごく稀に、冷たい雨の成立する環境下で上空に0℃以上の逆転層が存在する時、落下中は液体(過冷却)であるものの着地時に凍結して氷の層(雨氷)を形成する、着氷性の雨というものも存在する。

 

 ▼雲から雨へ

 なお、雲の段階で水滴が落ちてこないのは、落下速度が遅いからである。
 半径1 - 10µmのオーダーの水滴の終端速度は1cm/sに満たないが、雲の中ではこれを優に上回る速度の上昇気流が普通に存在するため、浮かんでいるように見える。
 一方、水滴が半径1mm(直径2mm)のときの終端速度は7m/sに達し、上昇気流を振り切って落下する。
 短い場合、特に海洋上で発生する積雲の場合、雲ができ始めてから最短15 - 20分程度で雨が降り出す場合がある。また熱帯地方の「暖かい雨」の場合も、30分 - 1時間程度で雨が降り出す。
 ただ、これらより長く滞留して降る雨も少なくない。
 主に雨を降らせる雲は、十種雲形において層雲、乱層雲、積乱雲に分類される雲である。
 層雲は地上に近いところにでき、弱く変化の少ない雨を降らせることが多い。乱層雲は灰色を呈し風により変化に富む形状をする雲で、雨を降らせる代表的な雲である。
 積乱雲は上空高くもくもくと盛り上がる雲で、乱層雲よりも激しく変化の大きい雨を降らせ、しばしば雷や雹を伴う。
 雨雲の下端(雲底)の高さは実にさまざまだが平均的には約500m - 2,000m程度で、多くの雨粒はこの距離を落下してくる。
 周囲の空気が乾燥していると、雨は落下する途中で蒸発してしまう。このときには、雲の下に筋状の雨跡を見ることができ、これを降水条や尾流雲と呼ぶ。

 《雨の降り方》

 ▼降水型

 雨は、雲を生じさせる要因によりいくつかの降水型に分類できる。

 ・対流性降雨 - 不安定成層をした大気において生じる対流性の雲から降る雨。

 ・地形性降雨 - 山のような地形の起伏により気流が強制的に上昇させられて生じる雲から降る雨。

 ・前線性降雨 - 温暖前線や寒冷前線の前線面で気流が上昇して生じる雲から降る雨。温暖前線は広い地域にしとしとと降り、寒冷前線は局地的に強く降る、という傾向がある。

 ・低気圧性降雨(収束性降雨) - 台風や低気圧のもとで下層の空気が集まり収束して生じる雲から降る雨。

 
 ▼世界の気候と雨

 世界では地域によって、雨の降り方は全くと言っていいほど異なる。
 極端な例では、1分間に30mmあるいは1日に1,500mmもの豪雨が降る地域がある一方、1年に1mmも雨が降らない地域も存在する。
 おおまかな傾向として、高緯度地域よりも低緯度緯度の方が雨が多く、また大陸では内陸部よりも沿岸部の方が雨が多く、気温の高さや水の供給源からの近さが影響を与えている。
 しかし、緯度と雨量は単純に対応しているわけではない。地球を南北に見ると雨量の多い地域は2つあり、1つは暖気が上昇し続ける赤道付近の熱帯、もう1つは寒気と暖気がせめぎ合う中緯度の温帯・亜寒帯である。
 世界の年間降水量(雪を含む)を平均すると、陸上では約850mm、海洋では約1250mm、地表平均では約1100mmと推定されている。
 古い資料では世界平均で800mm程度とされていることがあるが、新しい調査で海洋のデータが判明したことで値は上方修正されている。

 熱帯雨林気候を呈する赤道付近では、貿易風が収束する熱帯収束帯で積乱雲が発達しやすく、対流性の強い雨が毎日のように降る。
 温帯湿潤気候・亜寒帯湿潤気候を呈する中緯度では、亜寒帯低圧帯に沿い前線や低気圧の活動が活発であり、層状性の雲から広く雨や雪が降る一方、寒暖差が大きいため対流性の雨も降る。
 特に亜熱帯や温帯の地域では、1時間雨量の最大値は熱帯とほぼ変わらない。
 一方、熱帯と温帯に挟まれた乾燥帯の地域は亜熱帯高気圧に覆われ気流が発散し、雲ができにくいため雨が少ない。
 ただし、この緯度にあってもアジア・アフリカ・北米・南米の大陸東岸では海洋性の高気圧からの南寄り(北半球の場合。南半球では北寄り)の辺縁流や暖流の影響で湿潤となり、年間を通して雨が多い温暖湿潤気候となる。
 これらの気圧帯は季節変化に伴い南北に移動する。
 これにより、季節により雨量が著しく変化する地域がある。
 乾燥帯寄りの熱帯に位置するサバナ気候や熱帯モンスーン気候の地域では、雨季と乾季が明瞭に現れ、年間雨量の9割が雨季に集中する。
 一方、ヨーロッパの地中海沿いは夏に高圧帯、冬に低圧帯に入るため冬に雨が多く夏に乾燥する地中海性気候となる。 

 

 ▼災害

 雨量は季節や年により変動し、少な過ぎても多過ぎても災害となりうる。大雨(集中豪雨)や長期間の雨による災害には、家屋の流失や田畑の冠水をもたらす洪水、地すべり、崖崩れなどがある。少雨による災害には、水不足や旱魃などがある。

 ▼雨の強さ

 雨の強さは一定時間に降る雨の量(雨量、うりょう)で表し、その深さをミリメートル(mm)で表現する。
 通常用いるのは1時間の雨量(時間雨量)だが、短時間の降雨の強さを表すために10分間雨量などを用いることもある。なお、雪や霰などの雨以外による降水も含めた場合は降水量と言う。
 日本では、気象庁は予報や防災情報に次のような雨の強さの表現を用いる。
 また、「大雨」は災害の恐れのあるような雨を指して用いる。

 《文化・生活》

 雨の概念や雨に対する考え方は、その土地の気候によって様々なものがある。イギリス、ドイツ、フランスなど西洋の温暖な地域(西岸海洋性気候の地域)では「雨」を悲しいイメージで捉える傾向が強く、いくつかの童謡にもそれが表現されている。
 一方、雨が少ないアフリカや中東、中央アジアの乾燥地帯などでは、雨が楽しいイメージ、喜ばしいものとして捉えられることが多く、雨が歓迎される。

 ▼民俗

 古来より人は、恵みをもたらす半面災厄をもたらす雨を、崇拝すると同時に畏怖していたと考えられる。
 端的な例として、ノアの洪水のみならず、世界の破壊や創造をもたらす洪水神話は世界各地に存在する。洪水神話は、雨の破壊性と創造性の2つの面を象徴していると考えられる。
 また、世界の多くの神話や伝承において雨は、至高神、天神、雷神の活動の結果としてもたらされると解釈されている。
 メソポタミア神話の天候神アダド、ヒッタイトの天候神テシュブ、フェニキアの嵐の神バアルは天候を支配し雨や洪水を司るとされ、神の怒りが洪水や干ばつの原因だとして恐れられた。
 ギリシア神話では、全能の神ゼウスが雷を武器として他の巨人や神々と戦う際に雨が降るとされた。
 インド神話では、王インドラが雷神でもあり、悪竜ブルトラを退治することで川に水を取り戻し、田畑を干ばつから救ったとされる。
 日本神話では、スサノオがヤマタノオロチを倒した際にその尾から出た天叢雲剣が雲を司る神器とされる。
 スサノオが高千穂峰に降りた天孫降臨の際には、雨と風がもたらされたと伝えられる。
 さらに、天を父、大地を母とし、両者の交わりによって雨が降り大地に実りがもたらされるという、天父地母の信仰も広く見られる。

 水辺に生息するカエルやヘビなどの動物はしばしば、水神や水神の化身や家来とされたり、雨とかかわりの深いものとされている。
 ヨーロッパでは、ある種の鳥や昆虫の活動を雨の前触れとする伝承が広く見られる。
 雨と関わりの深い農耕や牧畜を行う民族・部族では「雨乞い」の習俗が存在する。
 雨への依存が大きいアフリカの農民や牧畜民では、雨乞いを行う雨乞師の社会的地位が高いという特徴がある。
 雨乞いの儀式には広く水や煙、鉦などが用いられるが、これは水が雨、煙が雲、鉦が雷鳴を象徴する類感呪術であると考えられている。
 一部では、特徴的な形状の自然物を「雨石」や「雨の葉」などの神聖な事物として祀る習俗もある。
 これに対し、長雨の終息を祈る「日乞い」の習俗も存在するが、雨乞いほど多くはない。
 日本では、雨はそれ自体神格化されず、水神や龍神が司るものとされる。そして、神の出現の際には、神威の現れとして雨が降るとされる。
 これに通じるものとして、七夕などの節日や神社の祭礼の日には雨が降るという伝承も各地に伝わっている。
 田植えを終える目安とされる半夏生の日に降る雨を半夏雨と言い、田の神が天に昇るときの雨だとされている。
 また、歴史的に水田稲作が盛んであることから農民は雨に強い関心を抱いており、正月や節分における天気占いや雨乞いの儀礼が各地で行われてきた。

   〔ウィキペディアより引用〕