最も多くの音楽を聴いた80年代、私は写真家の
アシスタントとして働いていました。特に20代の前半
はお金がなくて狭い部屋での暮らしだったので、
レコードを置くことができず、もっぱらカセットテープ
で聴いていました。このころの私の楽しみは音楽を
聴くことぐらいでした。だから、今でも80年代の音楽
を聴くと20代のころの思い出がよみがえります。
毎日暗いアパートの部屋に帰って、ひとり音楽を
聴いていたときのことを。そして、仕事場でも自由に
音楽をかけていたので、仕事のことも思い出したり
します。仕事では毎日のように師匠に叱られていた
ので、いい思い出はあまりないんですが、どれも今
思い出すと笑い話ですね。今もたまに思い出すのは
師匠とのやりとりです。とにかく私が解ってないんで
見事なぐらいスカタンな答をしてたような気がします。
なので師匠には未だに頭があがりません。
“よくもこんなひどいアシスタントを我慢して3年半も
使ってくれてたな~”って思います。今となってはね。
そんな私の思い出多き時代に聴いていた音楽はど
れもテープで、50本ほどは今も手元にあり、いつか
mp3化しようとずっとほったらかしになってました。
手間や音質のことを考えると、アナログ録音は、い
い選択ではありません。でも、20代のころの思い出
をそのまま残すという意味で、この方法をとることに
しました。劣化も進んでおり、かなりノイズがひどいも
のもあるんですが、それも思い出のひとつです。