新橋、虎ノ門辺りに「スマトラ」というスタンド形式のカレーショップがあるが、神保町のこの店の方が段違いに有名。チキン、ポーク、タン等種類があるがいつもビーフを頼んでしまう。上質で大きめの肉が4-5切れ入っている。ルーも肉も長時間煮込まれており黒い色に仕上がってはいるがバランスの取れた味わい。私の中で評価の最も高い店の一つ。残念なのは「焼きリンゴのデザート」が隠れたる名物なのだがいつも「今年分は売り切れました」の表示。一度拝んでみたいと思っている。話は変わるが今日NHK第二放送ドライブ中に聞いていたら「頭の体操」の著者「多湖輝」さんのインタビューを放送していた。多湖さんはお父さんの仕事の関係でスマトラで生まれたとのこと。「私の日本語」とかいう番組で今日が一回目の放送、来週2回目なのだが4歳の頃にスマトラから帰国、小学校、旧制中学時代の悪ガキの話であったが非常に密度の高い面白い話だった。戦前日本が徐々に軍国主義化していく旧制中学時代軍事教練の為に保管されていた菊の御紋の入った銃、軍刀を学校内倉庫に仲間と忍び入り銃に軍刀を取り付け休日の教室で悪戯に及んで戻したこと。これが発覚して明日は校長室に呼ばれるという前日、お袋さんに告白すると正座をさせられて「おまえはそれなりの考えがあってやったことだろうから何にも言わない。但し誰かにそそのかされて加わってしまったというような卑怯なことは絶対に言うな。多分退学になるのだろうから自分を受け入れてくれる他の中学が有るか自分で探せ、それが駄目だったら丁稚奉公でも行きなさい」と腹の据わった説教をされる。翌日呼ばれて「絶対退学」を覚悟して校長室に行った処、予想に反して校長が「僕は君たちを信じていたのに!」と号泣してしまう。多湖さんは今から考えればもしこの件が公になれば当時は校長、教育長の首が飛ぶのはおろか、文部大臣が進退伺いを出すような事態も予見され学校がもみ消しに掛かったのだろうと。彼は退学処分とはならず卒業する。卒業後、文科の大学に進むつもりでいたものの理科に入れば徴兵検査から逃れられるとの思惑から一年浪人して理科に入るのである。以後は2回目の放送で述べられるだろう。どんな話が聞けるか是非聞かずばなるまい。
函館で古くから有名なカレー屋。この店は小路を入った中にあり、小路の入り口には「小いけ本店」がある。こちらは元祖であちらは「本店」。経緯を調べたことはないが、神戸のUCCコーヒーとUコーヒー上島、そして、横浜元町の「キタムラ」そして直近では若貴兄弟も同じくだが、跡目争いで兄弟がこじれた結果だろう。電車通りに面した本店のほうがずっと綺麗なのであるが、在函館の人のなかにはこのボロ店の方が「本当の小いけ」と選ぶ人も多く、私も函館在住時はこの元祖店のほうが入った回数は多い。創業者の「やせた爺さん」が寸胴をかき混ぜているイラストのレトルトパックもあちこちで売られているが、レトルトはどうも「本店」製らしい。炭火焼きの味が売りでどちらの店もよく似た味だったと思うがいずれも「しょっぱい」カレーというのが印象である。今回久しぶり(多分5年振り)に食べてみて不味くは無いのだが、悪く言えば焦げ臭い香りで違和感を感じたのは「こんなに辛かったっけ?」。多分私の味覚嗜好が変わったためだとおもう。個性のある「ここしかない味と香り」ではあるが魅力は感じなくなってしまったな。こんなに近い処でいがみ合っていてゴミ出しで顔もしょっちゅう合わせるだろうにどんな風に波風経たないようにかわしているんだろう。

在勤時しょっちゅう通った修道院通りの店。行列が出来ていたことも店内が満席だったこともない。しかし私自身のカレー評価の中でベスト10に入る。100回位通ったはずだから回数は断トツ一番。一見偏屈な親父さんが作る。店ではカレーと牛丼しか出していないのだが元々フレンチのシェフで大阪の阿倍野辻調理師学校出身。年に何回か札幌でプロの料理人を生徒にフランス料理の講師を務める。種類はそれなりにあるが私はいつも牛すじのカレー、元々はまかないとして作っていたもの。この店で牛すじのうまさに目覚め、私は週末にスーパーで牛すじを買ってことこととスープストックを作って冷凍し野菜スープ等作っていた時期がある。味は所謂フランス料理店やホテルで出すフランス風がベースと思うがカルダモン?の匂いが立ち好き嫌いは分かれる味。でも牛すじとカレーの組み合わせは結構なものと確信。