糀谷という下町商店街の中に2年程前に出来た場違いな感じもする瀟洒なイタリアン。住まいから1分位。「湘南野菜のパスタ」等という板看板をみて興味をそそられつつも休日に近所で昼飯を食べる時は母は「寿司がいい」というので大概は回転寿しで済ませていて機会は無かった。ある意味皮肉な結果だが、今日母を見舞いに鹿児島から来ていただいたご友人へのお礼のもてなしと云う形で実現した。
ネットを読めばわかることでしたが、照明、テーブル、食器を含めて落ち着いた雰囲気は予想以上でした。アンティパストのついたコースで食べる事体がそもそも5年ぶり位ですが4800円のコースで質量ともに充分で満足しました。
そろそろ終わりる今シーズンの牡蠣の締め料理にしてもいいかなと思う一品もいただけました。
話をしながら3時間近くかけたこともあるでしょうが79歳の母のご友人もほぼ全部食べていただけて思わず「健啖家ですね」と云ってしまいました。
この糀谷、大鳥居のあたりは今は航空業界従事者の多く住んでいる地区です。昔は客室乗員は両家の娘で住宅街の家まで送迎がついて、会社の寮も品川近辺にあったりしたものですが今は電車かバスで空港に通う時代。私には客室乗員は持ち物、髪の纏め方、服装で一見して分かりますが、この地区のワンルームマンションに大勢住んでいます。昔ならキャビンアテンダントの通う店としてこの店も紹介されたかも知れませんが、ファーストフードの店員と年収が変わらない今の彼女達には敷居が高いでしょう。
処で今回お見舞いに来ていただくにあたり日程調整をお願いして私が休みを取れる日にしていただのですが、本当にいいタイミングでした。母がお友達と旧交を温め感謝を申し上げる事が出来る状態はいつ途切れるか分かりません。「間に合ってよかった!」が正直な気持ちです。顔を見たとたん母は意識レベルが一挙にあがり、生き生きと話をして二人はひしと抱き合って再会を喜び合いました。私は一部始終をビデオに撮れてまた宝物が一つ増えました。食事をとりながら、母がいかに社交的で面倒見のいい人だったか、「初めて薬師寺に誘っていただいたとき、寒いかもしれないとお母様は私の為に靴下を用意してくださったの。そのときの心遣いに感激して以来、姉のように慕っているの」そして母にとって私自身がどれだけ生き甲斐になっていたのかも聞かされて名残惜しい時間でした。