ガンマナイフ治療は普通30分程度と聞いていた。昼前に治療開始となり、治療室の外で待っていると「所要時間は3時間です」と看護師に言われ「どうしたことだろう、余程問題があるのか、このまま母は死ぬのではないか?」と暗くなる。
当初は昼飯は時間が取れれば「スコット」でと思っていたが、とてもそんな気になれず、一旦タクシーでホテルに戻ることにした。又タクシーで病院に戻り、終了予定時刻になると母が車いすに乗って「生きてたよ~」と看護師に元気に喋りかけるのが見えた。良かった。
「何時間掛かったの?」と聞くので3時間というと「本当!、6~7時間経ったと思ったよ」という。金具で頭と全身を固定されていた母は「横になっている間、私はもう死んでいるんじゃないのかと考えた」そうである。
担当医は「照会を受けた病院からは3か所といわれていたんですけど、朝MRIで調べたら胡麻粒程度の腫瘍が計23個ありました。見えた以上全部照射処置しないわけにはいかないので・・3時間掛かりました」 病室に戻っても思いのほか元気なので気が大いに楽になった。病室から下を覗くと小雨が降っていた。「あすの朝早く、車で東京に戻るんだったらパンでも買っておいてくれ」というので小雨の中、四つ角まで下りてゆきパン2個と牛乳を買って母に渡し「あすは8時位に来るから」と言って病院を出た。
だらだら登りの道の途中には調べておいたもう1軒はないのは分かったので、路から海岸までの間を少しジグザグ行進すれば見つかるだろう、途中に良い店が目に留まればそれでよし と考えて傘は差さずに卍に10分ほど歩く。
3回目に角を曲がった処で探していた店が現れた。躊躇なく2階に上がる。昨日の店より高級店である。
主人はカウンターに座って新聞を読んでいる。「いいですか?」
「いやあすいません、どこでもお好きなところにお掛けください。」
「じゃあ魚の顔が見えるところに座らせてもらいます。」
程なく、裕福に思われる夫婦連れが現れる、常連らしい。店は歓楽街に近いが、常連で持っている店だという事が主人と夫婦連れの会話で分かる。こりゃ分が悪いと思って「ここの水槽、いっぱい入っているけど、全部今宵の内に成仏するの」と会話の糸口をさぐる。
「お客さん、もしかしたら税務署の人?」と主人が即座に返してくる。これで雰囲気作りは大丈夫。
刺身の盛り合わせを頼むと一匹水槽から魚を掬って出してくれた。姿作りは赤い魚だが、見当がつかない。
「あかぎハタ」っていいます。 そうハタの仲間なんだ。昔J社で生鮮担当をしていた時、モーリタニア産のキジハタを輸入したいと言ってきた業者がいたなあと思い出す。そういえばJ社時代は色んな魚屋に遭ったが欲の皮の突っ張った向う見ずな輩のなんと多かったことかと思いながら頂く。イカも鯵も昨日の店より一段上である。
隣の夫婦連れは半年ぶり位の来店で「この前ここに来た翌日に出血してさ~ 癌だったんだよ、ようやくカレーライスまで食べれるようになってこの店に来たってわけだよ」
マルサの汚名は晴らさねばならないものの、話を聞いて躊躇した。 しかし雰囲気からして問題なかろうと判断し、「母の付添で所記念病院に来ていて、治療が無事終わったんでほっとして寄せてもらったんですよ。」と話しをする。
夫婦連れの主人は「金目をシャブシャブで食いたい」と言い出す。「わかりました。半身は塩焼きにしますね」
私は「私は酒は2合か3合で終わりにします」といい「次は煮つけをお願いします」というと「脂のあるのがいいですかさっぱりしたのが良いですか」と聞かれたので「脂のあるのが良いかな」という。結果的には金目のシャブシャブの切り身を取った半身の残りを出してくれた。

隣の夫婦のおかげで特大の金目の余禄に与りラッキーだった。
磯自慢大吟醸があった。「20年くらい前から一度は飲みたいと思っていた酒です。今はほとんど酒を飲み機会が無いので、ここで巡り合うとは感激です。」違いは分からなかったが・・リラックスできて、満足した宵であった。
おとなしくタクシーで帰還した。
当初は昼飯は時間が取れれば「スコット」でと思っていたが、とてもそんな気になれず、一旦タクシーでホテルに戻ることにした。又タクシーで病院に戻り、終了予定時刻になると母が車いすに乗って「生きてたよ~」と看護師に元気に喋りかけるのが見えた。良かった。
「何時間掛かったの?」と聞くので3時間というと「本当!、6~7時間経ったと思ったよ」という。金具で頭と全身を固定されていた母は「横になっている間、私はもう死んでいるんじゃないのかと考えた」そうである。
担当医は「照会を受けた病院からは3か所といわれていたんですけど、朝MRIで調べたら胡麻粒程度の腫瘍が計23個ありました。見えた以上全部照射処置しないわけにはいかないので・・3時間掛かりました」 病室に戻っても思いのほか元気なので気が大いに楽になった。病室から下を覗くと小雨が降っていた。「あすの朝早く、車で東京に戻るんだったらパンでも買っておいてくれ」というので小雨の中、四つ角まで下りてゆきパン2個と牛乳を買って母に渡し「あすは8時位に来るから」と言って病院を出た。
だらだら登りの道の途中には調べておいたもう1軒はないのは分かったので、路から海岸までの間を少しジグザグ行進すれば見つかるだろう、途中に良い店が目に留まればそれでよし と考えて傘は差さずに卍に10分ほど歩く。
3回目に角を曲がった処で探していた店が現れた。躊躇なく2階に上がる。昨日の店より高級店である。
主人はカウンターに座って新聞を読んでいる。「いいですか?」
「いやあすいません、どこでもお好きなところにお掛けください。」
「じゃあ魚の顔が見えるところに座らせてもらいます。」
程なく、裕福に思われる夫婦連れが現れる、常連らしい。店は歓楽街に近いが、常連で持っている店だという事が主人と夫婦連れの会話で分かる。こりゃ分が悪いと思って「ここの水槽、いっぱい入っているけど、全部今宵の内に成仏するの」と会話の糸口をさぐる。
「お客さん、もしかしたら税務署の人?」と主人が即座に返してくる。これで雰囲気作りは大丈夫。
刺身の盛り合わせを頼むと一匹水槽から魚を掬って出してくれた。姿作りは赤い魚だが、見当がつかない。
「あかぎハタ」っていいます。 そうハタの仲間なんだ。昔J社で生鮮担当をしていた時、モーリタニア産のキジハタを輸入したいと言ってきた業者がいたなあと思い出す。そういえばJ社時代は色んな魚屋に遭ったが欲の皮の突っ張った向う見ずな輩のなんと多かったことかと思いながら頂く。イカも鯵も昨日の店より一段上である。
隣の夫婦連れは半年ぶり位の来店で「この前ここに来た翌日に出血してさ~ 癌だったんだよ、ようやくカレーライスまで食べれるようになってこの店に来たってわけだよ」
マルサの汚名は晴らさねばならないものの、話を聞いて躊躇した。 しかし雰囲気からして問題なかろうと判断し、「母の付添で所記念病院に来ていて、治療が無事終わったんでほっとして寄せてもらったんですよ。」と話しをする。
夫婦連れの主人は「金目をシャブシャブで食いたい」と言い出す。「わかりました。半身は塩焼きにしますね」
私は「私は酒は2合か3合で終わりにします」といい「次は煮つけをお願いします」というと「脂のあるのがいいですかさっぱりしたのが良いですか」と聞かれたので「脂のあるのが良いかな」という。結果的には金目のシャブシャブの切り身を取った半身の残りを出してくれた。

隣の夫婦のおかげで特大の金目の余禄に与りラッキーだった。
磯自慢大吟醸があった。「20年くらい前から一度は飲みたいと思っていた酒です。今はほとんど酒を飲み機会が無いので、ここで巡り合うとは感激です。」違いは分からなかったが・・リラックスできて、満足した宵であった。
おとなしくタクシーで帰還した。