お祭りやイベント会場で子供が迷子になると放送が流れて親が駆け付ける・・・・・我子が心配なのだから当たり前である。鳥の雛も迷子になる時がある。親に気が付いて貰える距離なら鳴き声を頼りに探せるだろう。しかし親に鳴き声が届かない距離だった場合は可愛そうだがその雛は生きてはいけないだろう。それが自然の成り行きだったのなら「これも自然の摂理」だと納得できるかも知れない。しかし迷子の原因が人為的だった場合は納得できないかもしれない。
数日前に突然、巣立ったばかりと思える尾羽の短い雛が低いフェンスに止まり親を呼ぶように鳴いていた。最初見た時はこの場所を縄張りにしているブトの雛かと思ったのだが、大きさなどから見てもそれはあり得ない。しかも目の前に立っていても親鳥の姿や威嚇も全くない。この雛は紛れもなく「迷子雛=みなしご」という事になる。
何故この雛はたった1羽でこの公園にいなくてはならないのか?とても疑問に感じる事だろう。これは私の推察になるのだが「巣立ち後の親の威嚇が激しく雛だけを捕獲して公園へ放鳥した」という事だろう。実は良くある話で嫌われ者のカラスであっても自分の手で捕殺するのは忍びない・・・・・そこでカラスがいる公園などに放すのである。
実はこの行為が思わぬ悲劇を生む事になるなんて放鳥した人物は想像もしないだろう。それどころか「自分は雛の命を救ったのだ!!」と美談になっているかも知れない。とんでもない話であり、独り善がりの世界に過ぎない。業者がやったのだとしたら絶対に公園などには放鳥はしない。
この雛が巣立って間もない事はその行動から察しが付く。人が近寄ってきても逃げようとはしないし、ひたすらおねだりの声を出し続けていた。私は「また可愛そうな雛が来てしまった。苛められる事がなければ良いのだが・・・・・」と思っていた。幸いにもこの縄張りの持ち主のブトの番は迷子雛がいても攻撃する事はなかった。一先ずは安心である。
しかし人という生き物は実に勝手であり、日頃「カラスなんて駆除してしまえば良いのだ!!」と言っている人達が途端に動物愛護精神に目覚め「親のいない雛がいて弱っているようだ。可愛そうだから保護して欲しい」などと言ってくる。保護するのは簡単な事だ。しかし巣立って間もない雛を保護してしまうと完全に人間よりのカラスになってしまい、その結末どなるのかと言うと「人とのトラブル」に発展し兼ねないのである。
公園に来る人達全員がこの迷子雛の事を理解し、たとえ近寄ってきて頭に止まったとしても誰一人として文句を言わないという保障があるのなら良い。しかし「カーコ」の件を振り返ると決してそんな状況になるなんて考えられないのである。選択肢は「保護」か「放置」の2つしかない。私は残酷だと思われるかも知れないのだが「放置」しておく方を選択したのである。厳しいかも知れないが「野鳥として生きて欲しい」と思ったのである。
仮に保護するにしても動物病院へ連れて行き、健康状態を確認しなくてはならないだろう。しかしお盆で病院は休みである。何れにしてもすぐに保護出来る状態ではなかったのである。保護した場合に生じる問題として「野生復帰」が出来ないのでは?という事だ。野生復帰が出来なかった場合、終生飼養という事になる。「保護して欲しい」という人が終生飼養をしてくれるとは思えない。口だけは出すが行動は決して起こさないというのが定番のようである。
この迷子雛が自分で食べ物を調達できるとは思えなかったのだが、良く見ると胃袋は膨らんでいた。人から何かを貰っている可能性が非常に高い。しかし私は餌付けの事は一切口にせずとにかく様子を見ている事にした。他のブトの番も迷子雛の存在が気になっているようで、時々側までやって来ていた。その時に迷子雛は翼をバタつかせておねだりをしていた。しかし他人?の雛へ給餌をする事はなかったのである。
今朝になって迷子雛を地面から樹上へと移動させた。見た目も至って元気そうだっだ。暫くして様子を見に行ったら池の淵の日陰で眠っていた。その上にはブト一家がいて興味有り気な表情で見ていた。暫くは安心である。
数時間後に迷子雛の様子を見に行ったら見当たらなかった。まだ高く飛ぶ事が出来ない状態だったので樹上にいる事はあり得ない。その辺を見渡しても一向に姿を確認する事ができない。「一体何処へ行ったのだろう?」と思いながら池を見ると、そこにはうつ伏せになっているカラスが浮かんでいた・・・・・すぐに池から引き上げるとそのカラスは間違いなく迷子雛だった。
巣立って間もない雛が独りで生きて行くという事がどんなに厳しい事なのか?という事を痛感させられた思いである。人間側の勝手な都合により迷子にさせられたと思われる雛の人生?は短かった。しかし短いながらも「生きる」という道のりを確実に歩んだ事になる。迷子雛・・・・・ごめんね。
ヤタには野生では味わえない幸せをゴイサギさんからたくさん貰っていると思います。ヤタは最初から足を骨折していましたよね。今回の迷子雛も怪我していたら保護していたかも知れません。カーコの時もそうでした。
保護した野鳥すべてが野鳥としての生き方を出来ないとは思いません。その鳥の適応能力にも関係があると思います。ゴイサギさん、気分を害されたならごめんなさいね。
身の安全、いつでも食べ物にありつける幸せ
雨風にさらされない巣・・。
野鳥の為にはならないかもしれないけど、
わたしがヤタにできることはしてあげたいと思っています。
本当に悲しい結果となってしまいました。人って本当に勝手な生き物でこの迷子雛に関しても人には「保護しないの?」というのですが、自分は何もしようとはしません。結果このような事になってしまったのですが「あの時すぐに助けてあげればよかったのに」と言っています。
野鳥を保護する事の難しさは十分に理解しています。夏子さんの仰る通り野生復帰が不可能な場合は一生涯面倒を見てあげなくてはいけませんよね。私自身も面倒を見る事が出来るなら幾らでも保護したいと思います。しかしそれが不可能は状況なんですよね。
様々な理由から野鳥を保護しそのまま終生飼養している人も多いと思います。「これで幸せなの?」と思ってしまう気持ちは分かりますが、第2の人生?として十分に幸せなのだと思います。保護って難しい選択ですよね。