小説 「カラ-リスト マユミ」
フィクションです
Copyrights(C)Takahashi
2-2 カラ-ボトルセラピ―
「潜在意識では、母性の強いボトルが来ていますね。
女性的思いやりにあふれた色です。また家庭を大切に
思う色でもありますね。」
「今はとにかく家庭が一番なので。。。」
「お母さまからの影響が何かあると思いますか?」
「実家の母とは最近連絡を取っていなくて、それを気にしていたからかな。。。」
「お母様とは疎遠になっているのですか?」
「自分の事で手一杯で、なかなか連絡をとる気にならなくて。」
「小さい子供がいると時間が自由にはならないですものね。」
彼女は何か言おうか、言うまいか、迷っている様子だった。
そのとき、彼女のひざの上にいた女の子が、飽きてきたのか
体をそらしたり手足をばたばたさせはじめた。
彼女は申し訳なさそうに軽く頭を下げ、かばんの中から
お菓子を取り出して、女の子に渡した。
女の子は、おいしそうにもぐもぐと口を動かし、お菓子を
口いっぱいにほお張った。
過去・本質、現在、未来とボトルの色を糸口に
一通り話をしながら、彼女も少しずつ心の整理が付き始めたようだった。
「でも本当にびっくりしました。何でこんなに当たってしまうのかって。。。
どうしてわかってしまうのかなって・・・」
「全て井上さんがご自分で無意識に選ばれたものですよ。
もやもやした気持ちがあったら、自分の心と向き合って
色で心模様を映し出して、クリアにしていくのもストレスを
ためないための方法のひとつです。」
最後にヒ-リングカラ-をカウンセリングしながら決めて
カラ-ボトルセラピ―は終る。
彼女の今日のヒ-リングカラ-が、彼女に今足りていないエネルギ―を
補ってくれるはず。
今の彼女には、人との交流や楽しみが必要に見えた。
育児以外の楽しみも、できる範囲で見つけるようにしたほうが
心も安定するようだ。
それに対して、決して罪悪感を持つ必要はないのだ。
「ありがとうございました。心が軽くなった気がします。」
彼女はそう言って、バギ―を押してサロンを後にした。
小さな子供がいるお母さんは、特に自分の自由時間が少ない。
そういったストレスのはけ口が、子供に向いたりすることもある。
そして自己嫌悪に陥り、自分に自信が持てなくなり
余計に閉鎖的になってしまうことも。
それも本当に一生のうちの少しの間だけと思って
乗り切って欲しい。
終わりが必ず来る苦しみは耐えられる、と思うから。
カラ-ボトルを私が並べなおしていると、メ―ルが入った。
友人からだった。
‘ 久しぶり、マユミ! マキコです。 仕事は順調かな?
カラ-セラピ―をお願いしたいんだけど。
都合のいい日を教えて。’
続く