加奈のdiary

ソプラノ歌手 根來加奈 の
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舞台裏話3

2006年07月25日 | music
夢遊病の娘公演、舞台裏話3

今回は、練習風景からお話します。

オペラの伴奏をして下さるピアニストの事をコレペティと呼びます。
オペラにおいてこの「コレペティ」は、とても重要な役割を果たします。
歌い手の音取りから声の事から音程、言葉諸々・・・。指揮者や演出家と同じくらい、ともするとそれ以上にその舞台の事を把握している人がコレペティなんです。
単なる「伴奏」じゃないんです。単にピアノが弾けるだけではコレペティは出来ません。

今回のように指揮者がいない舞台などは、もうコレペティの耳に頼りながらの稽古になります。
私自身も歌っている為、全体を把握するのは難しいですし、自分が歌っている時はやはり客観的に仕上げるのは難しいです。
テンポなど、私も意見は出しながら進めましたが、最終的にはピアニストにまとめて頂きました。

そして今回のように本番がオーケストラではなくピアノ伴奏による場合、そのピアノの音色がオーケストラを彷彿とさせるように、
各ピアニストさんはそれぞれ各自で研究をされています。感謝!!

また、今回ピアニスト含めた7人の演奏者が、各自本番に向けて自分の役割を作り上げていく様子も様々で、自分を含めて面白かったです。

演奏者はそれぞれ本番に向けて練習の配分や体調の整え方やテンションの作り方が違うものです。これが正解というものはありません。
ただ、その過程で相手を邪魔しない、それも大切な過程です。

今回は、それも含めて演奏者達も楽しく(もちろん大変さも楽しいに含まれます!笑)舞台に乗る事が出来ました。

今回3回に分けて舞台裏話を書きましたが、
舞台当日の目に見える部分はそんないろいろの集大成なのです。
みんなのいろんな力が集約されて花開いた、そういう事だと思います。

そして何より、足を運んで見にいらして下さるお客様が加わって、初めて完成されるものです。
お客様が変われば会場の空気も変わります。それもまた舞台の醍醐味です。

舞台裏話2

2006年07月24日 | music
今回の「夢遊病の娘」の舞台裏話、その2

衣装についてです。 
オペラで舞台上の大道具や小道具の美術品も大変ですが、衣装もその時々でいろいろ苦労があります。

大きな舞台なら、ちゃんと「衣装」担当の人もついて、何より「予算」が出ます。
東京衣装からレンタルしたり、その時用に作ったり、それもその舞台舞台で様々な状況があります。(日本においては・・・ね)

今回は基本的に「自前」調達でした。
なので、見てくれた私の友人からは「衣装がバラバラで時代設定とか国の設定が解らなかった」と意見されましたが、確かに・・・。

どこまでどういう意図で何を選ぶか・・・難しいところでした。
どこまで日常的にするか、それとも完全な「舞台仕様」にするのか。
その辺は、今回は各自で用意できる範囲で妥協した形でした。
それぞれの役柄でそれらしく見えて日常を彷彿とさせつつ、舞台で見せている感じ・・・?

お互い持っている服を持ち寄り、相談して、必要な物は各自で買いました。

私に関して言えば、花嫁衣裳はキャストの一人が舞台用に所持していたものを借りました。
2幕のスカートもキャストの人から借りました。ナイトウエアは買いました。
まず、白いバレエシューズはオークションで安めに手に入れました。中に着た白いドレスとナイトガウンはネットで買いました。
あのガウンの下に着ていたのは、ネグリジェではなく白いドレスだったのです。実は、か~なり胸の谷間が深く開いた色っぽいドレスです。
上から羽織っていたガウンも、やはり胸の谷間が大きく開いたものでした。

そう、今回良~く解ったことがひとつ。
ナイトウエアは寝るために着るものではなく、「誘うために」着るものなのだ!・・・と。今頃気がつくって、遅い?(笑)

私の私服も他のキャストが着ていたんですよ~!

あと、ロドルフォさんのコートも今回オークションで落札して自前購入してもらいました。ま、この仕事をしていると今後必要になることもあるから、これから使う機会のありそうなものを買ってね、・・という事で。

そんなこんなの持ち寄り衣装だったため、演出意図にあわせる、というより、用意出来る衣装に演出意図をすり合わせる、という感じでした。

こういう時、まともに買ったら高いものも、オークションを上手く利用すると上手な買い物が出来る、という事を実感体験したのも新しい発見でした。

このように、衣装、靴、小道具、大道具、・・・
その辺を少しでも違和感を出さないように工夫するのも、すべて用意された環境でオペラを出来るとき意外は、いろいろ大変なんです。

舞台裏話1

2006年07月23日 | music
今回の「夢遊病の娘」の舞台裏話、その1

今回の舞台装置は、簡素にシンプルなものでしたが、唯一のオブジェが「十字架」。 一幕一場と二幕二場、つまり最初の場面と最後の場面が同じ場面で、もともとの設定はスイスの山村の広場なんですけれど、そこで婚約式をしたり、最後は教会へ行こうと歌ったりするので、象徴として十字架が欲しかったのです。しかし、そんな簡単に十字架が手に入るわけもなく、どうしようかな~と思っていたら、「作ってあげましょうか?」と申し出てくださる人がおりました。

舞台はキャストだけでなく、舞台転換のための人員や当日トラブルがないように舞台監督、照明、字幕、実はキャスト以上にスタッフの人数が多く必要とされます。そんな中、本来は歌手としてトナカイの舞台に立っている人が裏方に入って手伝ってくださる事もあり、今回も舞台転換のお手伝い下さった人は本来歌手であり、かつあの十字架を手作りしてくださったのです!

で、そのネタをばらすと・・・台座は100円ショップのプランター、十字架は木材を切って作り、キリスト様は粘土で作って銀スプレーを吹きかけて十字架に取り付けて出来上がり・・だったそうです。何て素晴らしい!
立派な舞台美術として君臨いたしておりました。


ついでに「花」もお願いして作って頂きました。
・・・感謝!

拍手

2006年07月23日 | music
舞台に立っている我々の心境をちょっと書いてみようと思います。

今回のオペラの時でもそうですが、ソロでアリアを歌ったあとや重唱を歌ったあとに大きな拍手や「ブラボー」という声援を頂くと本当に嬉しいものです。たとえ自分としてはあまり出来が良くなかったとしても、拍手が大きかったり「ブラーヴァ」などと声がかかると、ガゼン元気が出て次にとても良い影響が出ます。
そのくらい、やはり演奏している者は、神経をたてているものなのです。

今回も予期せぬところで拍手が来ると「あの拍手は嬉しかったね~」などと言いながら歌っていました。
逆に、正直、ここで当然来るべき拍手が少ないとへこみます(笑)。

同じ演目をやっても、お客様の反応って全然違います。
それも本番の醍醐味のひとつです。
舞台の上に乗りながら、お客様の空気を感じながら歌うライヴ感は、心臓に良いのか悪いのか・・・。(笑)

人間が楽器の我々。精神状態も含めて生身の人間の芸術だよな~とつくづく思いました。

拍手、声援を下さった皆様、この場を借りてお礼申し上げます。感謝!

夢遊病の娘公演終了!

2006年07月21日 | music
7月18日と20日、2回公演のオペラ「夢遊病の娘」、無事終了いたしました。
ご来場下さった皆様、ありがとうございました!

本当はこのブログで稽古風景なんかをアップしようと考えていたのですが、いろいろ大変でそこまで余裕がありませんでした(><)。
その代わり、これから振り返りつつ少しずつ書いていきます!

今回は、合唱を省略するためのカットを考えるところから始まり、稽古日程を組んだり、照明を考えたり、歌以外のいろいろな事もやりました。

写真は、終演後、夢遊病状態で徘徊するシーンで着た衣装姿の私とキャストのみんなです。

まずは、今日は写真のアップです。




セッション披露宴

2006年07月01日 | diary
今日友人のミュージシャンの結婚披露パーティーに出席しました。
新郎のチェリストと一緒に演奏した事があり、私もアカペラで2曲ほど(アメイジング・グレイスとオーソレミオ)歌ったのですが、
なんと今日は16バンドが演奏するライヴステージでした!

クラシックあり、アイリッシュあり、フラメンコあり、フォークあり、その他いろいろエトセトラ・・・
普段新郎がセッションしているバンドすべて総出演!
もちろん今日も新郎みずからすべてのバンドにチェロとして加わり演奏しまくり!

ジャズピアニスト・山下洋輔さんも参加されておりました。
さすが!素晴らしい演奏を聞かせて頂きました。
思わず、山下洋輔さんとツーショット写真を撮らせて頂きました。



そして驚いたのは、その会場にかつての教え子がいたのです!
「根來先生~!」と声をかけられて、お互いに「どうしてここにいるの?」(笑)
なんと新婦の親戚筋であり、かつ新婦にお茶を習っていたのだとか。
世の中狭い!・・・驚くことの多かった一日でした。

そして刺激の多い一日でもありました。
バンドにあわせて、ベリーダンスやクルディッシュダンスもあり、何かダンスを始めたいと思っていた心に火がつきましたし、
ジャズピアノの勉強もしてみたいな~とおぼろげに思っていた心を思い出しました。(ジャズは歌じゃなくてピアノを弾きたい)
表千家の茶道も途中で中断したままはや○年・・・草月流華道も一年お休み中だし。
どれも予算との兼ね合いが大きな問題なのですが、思い時が始め時かも?
今月のオペラ終わったら真剣に考えてみよう・・・そう思う根來さんでした。