シアトルで開催された2023ドラフトが数日前に終わりました。
結果は最初の3つの指名で高校生を指名するという近年の流れにそった指名となり、私の希望するバランスの取れた指名、最初の指名は大学生をという形にはなりませんでした。
高校生の中でも若い選手の指名が目立つので今回のドラフトはこのことからもわかる通りハイリスク、ハイリターンの結果になることが予想されます。
ファンの皆さんも言ってる通り、現在のマリナーズの主なプロスペクトはまだすぐにはマリナーズに上がってこれないところにいて今ドラフトや近年のIFAで獲得している選手たちと合わせれば5年後にはかなり強力なチームを作れる可能性が出てきたのではないかと思います。あと、1、2年は高校生を上位指名しておいて、有望な若手たちがマリナーズに昇格してくる頃に合わせて昇格まで時間のかからない大学生をドラフトすればますます同じ時期に有望な選手の層を厚くすることが可能な気はします。思い通り順調にいくとは限りませんけど、この考え方なら個人的には2025年ドラフトあたりから、足りないところを埋めるような形で大学生を優先して指名するようになるのではないかと思います。
さて、今回のドラフトですが私としては久しぶりにドラフト前から情報を漁っていましたので楽しめましたが皆さんはいかがだったでしょうか。
今回マリナーズが指名した選手の中にはドラフト前に当ブログで紹介した選手、ドラフト指名を予想した選手も含まれていますが上位指名選手をあらためて見てみましょう。指名順位の後ろのカッコ内はスロットと契約金、名前の後のカッコ内は学校名です。
1-22($3,496,600 - $3.8Mで契約)
Colt Emerson (John Glenn HS)
あと数日で18歳になるドラフト全体の中でも若い選手です。
アメリカ代表では3Bで出場していた実績もあり、マリナーズのマイナーでは層が薄い3Bへのコンバートも予想されます。とはいえSSが出来ないわけではないので最初はSSでいくのかもしれませんし、2Bという選択肢もあるはずです。現状2B/SSのプロスペクトが増えているのでどうやり繰りしていくのかという問題は出てくるかもしれませんけど完全にSS1本というわけではなく複数ポジション守らせるというやり方ならこの問題は簡単にクリアできます。
身長はおよそ185cmなので特別大きいわけではなく、現状はHRを量産する打者というよりも二塁打を打つタイプですが、3Bにコンバートして体も大きくなれば5年後にはメジャーに昇格して年間20-25HRくらい打つことを期待したくなる選手です。打撃自体はかなり良くて、同じ左のCole Youngに近いセンスを感じます。
PPI-29($2,800,700 - $3.2Mで契約)
Jonny Farmelo (Westfield HS)
身体能力が高く、SSとしての経験もありますがスピードの評価が高くCFとしてキャリアを進めていくことになりそうな5ツールプレーヤー候補。これからパワーがついていく年齢ですが現状でもスイングスピードはかなりありどの方向にも力強い打球を打てるとの評価。どこまで能力を発揮できるか楽しみです。
まだ契約はまとまっていない様で想定の範囲内ではあるものの大学進学の可能性をちらつかせているのかもしれません。契約合意はしているものの金額の情報が入っていない6~10巡指名選手たちの契約金を絞れば$3.5M以上も可能だと思いますけどどのくらいになることやら。上にもある通り$3.5Mは今回のドラフトでいくとEmersonの22位指名相当の金額になります。大学でトッププレーヤーになり全体5位以内で指名されれば$7~10M、10位でも$5M以上の契約金が見込まれることを考えると安いのかもしれませんが、3年後そんな順位で指名されるのかどうかはわかりませんからね。本人がお金ではなく大学で野球がやりたいというのであれば話は簡単なんでしょうけども。
2023.7.17、$3.2Mで契約出来ました。
CB-A-30($2,732,500 - $2.5Mで契約)
Tai Peete (Trinity Christian School)
3つ目の指名でもEmersonと同じSSの選手を指名しました。私はSSをたくさん指名することに何の異論もありません。そしてPeeteもまたEmersonと同じく高校生の中でも若い選手で8月生まれのまだ17歳です。
ドラフト前にも指名候補として取り上げてた選手にはなりますが、投手としても最速96mphを投げていたそうで、パワー、身体能力は高いものがあり、スピード・肩・守備もプラス評価です。能力を考えればSSでもいけるのでしょうが身長は6'2"ということで約188cmと大きいので3BやOFへのコンバートも考えられます。OFの場合身体能力やスピードから考えればCFを守れるのではないかという所でしょうか。
パワーは持っていると書きましたが、打撃自体がPeeteの中ではマイナスポイントになっているところで、どの方向にも打ち分けられるという感じではなく、引っ張った時のパワーはすごいという評価なので、どうやって打撃の質を上げていくのか、パワーを有効に使えるようになるのか、時間をかけてでも克服できれば5ツールのすごい選手になれるのだと信じています。
2-57($1,436,500 - $0.6Mで契約)
Ben Williamson (William & Mary)
ここまで若い高校生の左打者を3人指名して、4人目の指名となる2巡で大学生SR(11月で23歳)の右打者Williamsonを指名しました。全くのノーマークでした。それも当然でMLB Pipelineの250プロスペクトに入っていない選手です。
スロットは$1.4Mほどですが、カレッジシニアということでスロットよりはるかに少ない金額で契約となりました。あまり注目されないカンファレンスで対戦投手のレベルも低いはずですが、その中で好成績を残しています。263打席で.391/.513/.662、12HR、14SB、40BB、22SO。本塁打数はやや少ないですが、過去2年間は408打席で7HRだったことを考えれば大幅な向上を見せていますし、BB/SOも年々改善して今季は三振の2倍近い四球を選んでいます。MLBに入ってくるようなトップクラスの投手との対戦経験がほとんどなさそうなのでそんな投手に対してどのくらいの打撃ができるのかはわかりませんが期待しましょう。年齢から考えれば少し上のクラスからスタートになるはずですが、対戦経験を考慮して通常通り下から始めるのかどうなるんでしょうね。
身長は'6"0の183cmなので3Bとしてはやや小柄でSSの選手の身長という感じ。データではSSでも試合に出場してるので元々はSSをやっていたのではないかと思いますが詳しく書かれてるところを見つけられてないのではっきりとはわかりません。肩は強く守備も悪くなさそうなので3Bでやっていけるのではないかとの評価です。
3-92($736,400 - $0.6Mで契約)
Teddy McGraw (Wake Forest)
Wake Forestといえば今ドラフトで全体7位でCINから指名されたRhett Lowderと同じ大学ですね。McGrawも昨年秋時点では1巡指名予想も出ていた評価の高い投手。高校時代にもトミージョン手術を経験しているようですが今季も肘をやってしまい2度目のトミージョン手術で登板がありませんでした。ということで、マリナーズとしては能力はあるけど投げられない投手を確保したかたちです。契約金も安く済みますし、復活さえすれば良いことづくめですが2度目というのは気になります。
故障前の成績を見ると四球が多く、三振を特別多く奪っているわけでもありません。それでも評価される1つの要因は近年1つの大きな評価対象になっているボールの回転数。特にスライダーは評価が高いです。球速も最速で98mph出ていたようで、健康体になってどのくらい投げれるのかというところからスタートになりますが、マリナーズにはWooという前例もいますから同じように能力を発揮してくれればというところでしょう。
4-124($531,300 - $1.2Mで契約)
Aidan Smith (Lovejoy HS)
非常に魅力ある選手だと思います。打撃の評価は高く成績も素晴らしいです。個人的にはリストの強さがどことなくTroutに似ている気がして6'3"(190cm)と身長も高いので体が出来てくれば飛距離も出るようになるんじゃないかと期待しています。大きな選手でありながらスピードもあり、上位指名3人の高校生たちを含めた4人の中ではFarmeloの次に速いと思われます。
CFで20HR以上を打てる5ツールプレーヤーになれる可能性を秘めた右打者です。左のFarmelo右のSmithどちらも夢があります。
5-160($374,400 - $0.2Mで契約)
Brock Rodden (Wichita State)
2022ドラフトではOAKから10巡目で指名を受けて1年大学に残っていた選手です。5'9"(175cm)と小柄ながらパワーを秘めた選手。2巡のWilliamsonと同じように強豪リーグに所属しているわけではなかったものの.371/.474/.701という素晴らしい成績を残しています。SSも守れますが、2Bでいくのではないかという感じで、将来的にはユーティリティープレーヤーでマリナーズまで上がってきてくれればという所なんだと思います。
以上5巡指名までをまとめてドラフトシリーズを締めくくりにしたいと思います。
今ドラフトで指名した選手のうちFarmeloと20巡指名のWill Watsonを除く20選手とは早くも契約という情報が入っていますのでFarmeloと契約できるのかがドラフトとしては最後の注目点という事になるかと思います。
次回はドラフト選手を含めたプロスペクトランキングをやろうと思います。
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