大阪のまちづくりぶろぐ

大阪でまちづくり活動をおこなっているみなさんの情報発信や交流を行うためのブログです。

CITEトークセッション2011がはじまります

2011年08月09日 | CITEトークセッション2011
昨年度好評だったCITEトークセッションが今年も開催されます。

(昨年度の様子)

CITEトークセッションとは、産学公民が連携した「新しい時代に向けた活力と魅力あるまちづくり」をスローガンに、会員組織として設立されたCITEさろん(財)大阪市都市工学情報センターの共催により開催されるまちづくりをテーマにした講演会です。

トークセッションは全5回のシリーズとして開催され、今年の共通テーマは「大阪とエンタテインメント」です。
大阪は近世から人形浄瑠璃、上方歌舞伎などの伝統芸能、落語や漫才などの演芸が栄え、商業都市としての顔とともに、エンタテインメントの似合うまちとして知られてきました。しかし近年、それが都市イメージにもたらす功罪や、マスコミの東京集中による活力の低下などが指摘されています。
今年度のトークセッションでは、さまざまな専門分野のゲストスピーカーによるレクチャーを通じて、都市の愉しみとしてのエンタテインメントの本質や、大阪での個性を明らかにするとともに、まちづくりとの関係について共に考えていきます。

第1回は2011年8月30日(火)に淀屋橋odonaのアイ・スポットで開催されます。
ゲストスピーカーに関西大学社会学部の永井教授をお迎えして、「大阪と、都市の愉しみ」をテーマとしたお話をしていただく予定です。

(チラシ画像)

永井教授は都市社会学・大衆文化論を専門に研究されており、カラオケや社交ダンス、喫茶店やスタジアムなどの都市娯楽空間をフィールド調査し、独自の切り口で研究されています。出版、メディア等でもご活躍されていて、著書に「社交ダンスと日本人」、「風俗営業取締り」「ホークスの70年」などがあります。

現在の都市には、芸能や文学、スポーツから、日常の娯楽、遊園地、観光施設、盛り場、メディアにいたるまで、さまざまなエンタテインメントがありますが、それらが大阪のまちにどんな魅力を与え、人々の暮らしにどの様に溶け込み、相互にどんな影響を及ぼしてきたのか?
エンタテインメントという幅広い言葉の持つ意味を分かりやすく説き明かしてもらうとともに、それが大阪のまちづくりにどのようにつながるのか、実例を挙げてもらいながら共に考えたいと思います。

ご興味のある方は是非ともご参加ください。

なお、参加費は無料ですが、事前にお申し込みが必要となりますのでお気を付けください。(定員は30名・先着順)
みなさまのお申し込みをお待ちしています。


CITEトークセッション「大阪とエンタテインメント」
◆第1回(5回シリーズ)◆

日時:平成23年8月30日(火) 18:30~20:30
会場:i-spot<淀屋橋odona>
ゲストスピーカー:永井 良和氏(関西大学社会学部教授)
テーマ:「大阪と、都市の愉しみ」
主催:CITEさろん/(財)大阪市都市工学情報センター共催
参加費:入場無料
定員:30名(要事前申込み・先着順)
参加者ならびに連絡先(電話またはメールアドレス)を明記の上、メール、電話、FAXのいずれかで下記までお申し込みください。
(Mail)cite-salon@osakacity.or.jp、(Tel)06-6949-1911、(Fax)06-6949-1925
詳細:「CITEトークセッション2011」が始まります

御堂筋Talkin’About in アイ・スポット「地域活性化と映画」レポート

2011年08月05日 | まちづくり活動発表・交流会
2011年7月27日に行われた御堂筋Talkin’About inアイ・スポット「地域活性化と映画」に参加してきました。

御堂筋Talkin’Aboutとは、あるテーマについて興味・関心を持った人たちが集まり語り合う“サロン”です。今回のテーマは「地域活性化と映画」です。

参加者は全員で24名でした。
この中には、自主製作映画を撮られている方や若手映画作家支援事業プロデューサー、映像制作会社の方、映画ロケ誘致のお仕事をされている方など映画の製作に関わられている方々、アジアン映画祭のボランティアスタッフなどとして映画祭の運営に関わられている方々など、映画に何らかの関わりをもった活動をされている方々が多く参加されていました。(もちろん、今回のテーマに興味のある一般の方も多く参加されていました)

(会場の様子)

ナビゲーターのお一人である山納さんからテーマについてのご説明があったあと、映画に関わりを持たれている方々のお話を中心に、「地域活性化と映画」について話し合いが進んで行きました。

映画製作に関わっておられている方々のお話
・若手の映画作家育成を行い、大阪で活動できるようにしたい
・大阪で映画を撮っても、東京のミニシアターで上映されている
・大阪で作品を公開できる場が必要(映画を撮っても、大阪には上映する場がない)
・東京のテレビ局(いわゆるキー局)が入らないと映画をつくることが難しい
・大阪を舞台にした映画は大阪の人しか見ないため、商業的な成功が難しい
・キー局が製作すると東京から見た大阪らしさが求められ、本当の大阪らしさを出せない
・本当の大阪の良さを映画によって発信したい
・大阪の本当の良さを発信するには、大阪の人が映画を撮る必要がある
・地域の人達と一緒になって映画製作をおこなうことで地域が盛り上がる
映画祭の運営に関わっておられる方々お話
・アジア映画が好き
・好きな映画監督にメールで連絡し、映画祭での上映を実現させた
・映画に携わる仕事をしている訳ではないが、自分にも出来ることはあると感じた
・映画祭をやっていても、なかなか気がついてもらえない
・日本でアジア映画を発信するのは大阪と認識されるようにしたい
・東京にしかやって来ない映画人(監督、俳優)を大阪に来てもらえるようにしたい
その他の方々のお話
・ロケ地となるような絵になる風景を知ってもらうことが大切
・単館系映画の情報が気軽に手に入らなくなっている
・映画料金が高い
・映画で大阪の本当の良い面(料亭文化など)を取り上げて欲しい
・映画の内容と地域の思いに隔たりがある場合もある

みなさんのお話からは、大阪に映画文化を根付かせたい、東京から見た大阪ではなく本当の大阪の良さを発信したいという想いを感じるとともに、地域と映画の間には、人材育成、撮影、上映、情報発信、観るなどといった、様々な面での関わりがあることがわかりました。

普段お会いすることのない業界の方々から貴重なお話を聞くことができましたが、なかでも印象に残ったのは、大阪観光コンベンション協会で映画ロケ誘致のお仕事をされている方の「プリンセストヨトミ」の撮影にまつわるお話でした。
大阪を舞台にした映画は年に2~3本公開されているそうですが、これまではロケ地の紹介について協力してきたそうです。しかし、「プリンセストヨトミ」では、映画製作会社に働きかけることで撮影開始前の記者発表を実現し、映画の撮影に関心を集めることで地域の方々を巻き込む環境をつくり、多くのエキストラが必要になる撮影や昼間の商店街での撮影などといった困難な撮影を成功に導いたとのことでした。
映画撮影にたくさんの人が集まると現場が混乱して大変だそうですが、「プリンセストヨトミ」ではあえて撮影に多くの人を巻き込むことにより、映画に求められたシーンの実現とともに、映画への関心を高めてヒットにつなげることを考えられたそうです。
これらの取り組み以外にも、プレミアム試写会時に大阪城を赤くライトアップする等、広報にも積極的に協力することで、映画のヒットに貢献されました。

お話をお伺いして、空堀商店街の方々とお話した時に挨拶代わりに「プリンセストヨトミ」を観たか?と聞かれたり、エキストラに参加した時の話やロケの様子を嬉しそうに話してくれたことを思い出しました。
「プリンセストヨトミ」に関してだけかもしれませんが、空堀商店街では映画が地域を元気にし、地域の方々が映画を応援するという関係が出来ているのではないかと感じました。

(プリンセストヨトミのポスターが貼られた空堀商店街の様子)

大阪をロケ地にしている映画は他にも多くありますが、この様な地域と映画の関係が存在しているイメージはありませんでした。(私が知らないだけかもしれませんが…)これはどれだけ多くの地域の方が、映画に直接に関わったかの差ではないかと思います。

この例だけで判断出来るものではないですが、映画による地域活性化は、ロケを誘致するだけではなく、様々な面で映画と地域の人々が深く関わり合い、支え合うことによって成し得るのではないかと感じました。

御堂筋Talkin’Aboutには様々な方々が参加されており、人と人を繋げるサロンとしての魅力も十分に発揮されています。みなさんもぜひご参加下さい。

次回の御堂筋Talkin’About in アイ・スポットは「大阪の夏祭りをふりかえる」をテーマにして、8月22日(月)に開催される予定です。詳細につきましてはわかり次第このブログでもご案内いたします。

なお、6月27日(月)に行われた御堂筋Talkin’About in アイ・スポット「パーソナルな大阪情報発信」の様子もこのブログにて紹介していますので、こちらもぜひご覧ください。

「スーパー広域災害・スーパー都市災害と危機管理」レポート

2011年08月02日 | 講演会情報
2011年7月8日(金)、(公財)ひょうご震災記念21世紀研究機構の主催により神戸ポートピアホテルで開催された、東日大震災を契機に今後も発生が予想される広域災害及び都市災害に関する講演とパネルディスカッション、「スーパー広域災害・スーパー都市災害と危機管理」を聞きに行きました。

(講演会のチラシ)

参加者は約500人でした。行政からのほか、一般からも多くの方が参加されているようで、災害と危機管理に対する関心の高さを感じました。

貝原俊民氏(元兵庫県知事、(公財)ひょうご震災記念21世紀研究機構理事長)のあいさつで始まり、河田惠昭氏(関西大学社会安全学部長、東日本大震災復興構想会議委員)による基調講演が行われた後、広域災害、都市災害と危機管理に関するパネルディスカッションが行われました。

河田先生からは、講演タイトルである「東日本大震災を経験して東海・東南海・南海地震を迎える~多くの新しい課題~」のとおり、東日本大震災で浮かび上がった災害対策の課題と東海・東南海・南海地震に対する備えについてのお話がありました。

続くパネルディスカッションでは、林敏彦氏(同志社大学大学院総合政策科学研究科教授)をコーディネーターに、河田先生、五百旗頭真氏(いおきべまこと、東日本大震災復興構想会議議長)、志方俊之氏(帝京大学法学部教授)、室崎益輝氏(関西学院大学総合施政策学部教授)という極めて豪華なメンバーによる中身の濃い議論が行われました。

「東日本大震災では仕事をなくした人が多いため、仮設住宅も大切だが、産業支援がもっと重要」、「政府は復旧までではなく、復興まで責任をもって取り組むべき」、「復興にはスピード感が大切」「復旧・復興のために重要なキーワードは、トップのリーダーシップ、3つの感性(スピード感、現場感、スケール感)、5つのシステム(インフォメーション、ロジスティック、オペレーション、ファイナンス、コマンド)」などといった、主に復旧・復興についての貴重なご意見を聞くことができました。

様々なお話やご意見をお聞きしましたが、その中でも河田先生による基調講演が特に印象に残りました。

河田先生は東日本大震災における大きな被害から次のような課題をあげておられました。
・過去の教訓が活かされなかった
大きな問題として、避難しなかった人が多くいたのではないかと思っている。2004年のチリ地震後の、アンケート調査結果では、津波の避難呼び掛けに対して、避難しない人が多い、また、高齢者を抱える等で避難できない人も多いことが分かっている。仕事を理由に避難しない人も多かった。今回も同じではなかったか?
これでは、過去の津波被害の情報が、風化して語り継がれず、活かされていないことになる。過去の鎮魂の碑もあるが活かされていない。

・正確な情報が被災者に伝わらなかった
被害が大きい理由の一つに、地震後すぐの地震規模を表すモーメントマグニチュードの算定が小さな数字で、気象庁の津波予想値も小さく、地震直後に聞いた人が安心し避難しなかったのではないか?と思っている。その後、データは更新され、大きな津波予想になっていくが、このときには停電し、正確な情報が伝わらなかったのではないかと考えられる。

・ハザードマップが「安心」マップになってしまった
行政が作る津波ハザードマップは、今回は役に立たなかった。住民にとっては「安心」マップとなってしまい、避難せずに多くの人が亡くなったのではないかと考えている。ハザードマップは、一度作ると一人歩きするので、作成するには、過去の事例も活かし最大の事象を想定しておく必要がある。

・護岸などの立派な防災設備が油断を生んだ
立派な護岸があるところでは避難しない人が多く、結果的に多くの人が亡くなっている。

・これまでの常識が通用しなかった
今までは、津波に対しては3階10m以上の建物に避難と言っていたが、今回は不十分であった。


今後発生する恐れのある東海・東南海・南海地震に対する取り組みでは、これらの教訓を活かした対策が求められます。

河田先生のお話では、国の中央防災会議において、今後1年間に3地震同時発生あるいは少しの時間差での発生を想定し、最も被害が大きくなるケースを検討していくことになったそうです。(震源域の想定も広げられます)
マグニチュード9クラスの地震が発生した場合、大阪湾へも5m程度の津波が来ることが予想されるため、地震の揺れに対する備えとともに、津波に対する事前の準備を行うことが大切とおっしゃっていました。

東海・東南海・南海地震は近いうちに必ず起こることを肝に銘じるとともに、想定の範囲を超えた災害が発生することも念頭において、取り組みを具体的に実現することが求められていると思います。

神戸の地震以降、BCP(事業継続計画)という言葉もよく聞くようになり、行政、会社等の各組織で色々と対策はされつつありますが、個人や家族単位での災害への備えも必要不可欠です。

以前に地震を専門に研究されている先生からお聞きした話ですが、過去の記録では、東海、東南海、南海地震が起こる約20年前から、内陸部の地震が多く起こっているとのことです。
今後起こり得る大きな災害に備えるためにも、地震等の災害に関する情報を常に気にかけるとともに、災害時の持ち出し品の再確認・再準備など出来るところからはじめてみてはいかがでしょうか?