大阪のまちづくりぶろぐ

大阪でまちづくり活動をおこなっているみなさんの情報発信や交流を行うためのブログです。

大阪の超高層ビル

2012年12月20日 | その他
 先日、阿倍野で建設中の「あべのハルカス」(高さ300m、地上60階、地下5階)の上棟式が行われました。皆さんもご存じのとおり、「あべのハルカス」は完成すると、現在日本一の横浜ランドマークタワー(296m)を抜いて、日本一の高さの超高層ビルになります。

(あべのハルカス:天王寺公園入口から)

(あべのハルカス:生駒山麓額田山展望台から)

 超高層ビルには明確な定義はありませんが、日本で初めて100mを超えた霞が関ビルが超高層ビルの最初と言われています。
日本では、霞が関ビルが建設されるまでは、大正9年制定の市街地建築物法施行令にもとづいて、建築物の高さは約30m(通称:百尺規制)に制限されていました。昭和25年に市街地建築物法は建築基準法に替わりましたが、31mという高さの規制は継続されました。
 ただ、そのおかげで、100尺の高さに統一された連続するスカイラインのまちなみが、御堂筋をはじめとした全国の都市の中心部で形成されています。
 
 昭和36年には、規定の容積率や高さ制限を適用せず、別途、都市計画で容積率・高さなどを定める制度である特定街区制度が創設され、霞が関ビルは、この制度の第1号指定を受けて建てられたものです。
 その後、昭和38年の建築基準法改正によって、容積率規制が導入され、高さ制限が撤廃されると、31mを超えるビルが次々と建設されるようになりました。

 大阪市内でも、この特定街区制度を活用して建てられた超高層ビルがあります。「大阪大林ビルディング(中央区北浜東:120m)」、「大阪国際ビルディング(中央区安土町二丁目:125m)」、「NTTデータ堂島ビル(北区堂島三丁目:120m)」の3つです。これらは、いずれも昭和45年に特定街区の都市計画決定が行われています。
 今でこそ、周りの高層ビルに埋もれてしまっていますが、当時は、大阪万博が開催されるなど高度成長期の真っ只中で、これまでに誰も見たこともないような圧倒的な高さのビルは、これから広がる大きな未来を感じさせてくれるものであったことが想像されます。

(大阪大林ビルディング)

(大阪国際ビルディング)

(NTTデータ堂島ビル)

 この後、市内で最も高いビルは、「中之島センタービル(北区中之島六丁目:129m)」、「大阪駅前第3ビル(北区梅田一丁目:142m)」、「TWIN21 OBPパナソニックタワー・MIDタワー(中央区城見二丁目:157m)」、「OBPキャッスルタワー(中央区城見二丁目157m)」、「阪急茶屋町ビルディング(北区茶屋町:161m)」、「ORC200(港区弁天町一丁目:200m)」、「大阪府咲洲庁舎(住之江区南港北一丁目:256m)」と移り変わってきました。そして、2014年には、「あべのハルカス(阿倍野区阿倍野筋一丁目:300m)」が日本で一番高いビルになります。

 「あべのハルカス」は、都市再生特別地区という制度を活用しています。これも都市計画手法の一つで、平成14年の都市再生特別措置法の制定により創設されました。この制度は、既存用途地域等に基づく用途や容積率等の規制を除外した上で、新たに、容積率の最高限度や高さの最高限度を定めるもので、自由度の高い建築計画が可能となるものです。
 大阪市内には、この制度を活用して数多くの建物が建てられています。最近では、阪急百貨店(うめだ本店)が入居する「梅田阪急ビル(北区角田町)」が11月21日にグランドオープンし、「中之島フェスティバルタワー(北区中之島二丁目)」は11月28日に低層部の商業施設が開業、来年の4月10日にはフェスティバルホールのこけら落とし公演がはじまります。同じく、来年の春には「グランフロント大阪(北区大深町)」がまちびらきを迎えます。

(梅田阪急ビル)

(梅田阪急ビルグランドコンコース)

(中之島フェスティバルタワー)

(中之島フェスティバルタワーエントランス)

(グランフロント大阪)


関連ホームページ
 ・あべのハルカス:http://www.abenoharukas-300.com/ ・梅田阪急ビル:http://www.umedahankyu-bldg.com/index.html
 ・中之島フェスティバルタワー:http://www.festivaltower.jp/ ・グランフロント大阪(うめきた先行開発地域プロジェクト):http://www.grandfront-osaka.jp/
 これらの建物は、もちろん高い、大きいというだけでなく、高機能なオフィスや魅力的なショップ、特色ある文化・情報発信施設などが入っているとともに、居心地のよいオープンスペースや利便性の高い通路など上質な都市空間が生み出され、都市の活性化のシンボルとなるものです。

 ちなみに、大阪市内には、現在日本一の高さのマンションである「The Kitahama (中央区高麗橋一丁目:209m)」もあります。また他にも、「オークプリオタワー(港区弁天町一丁目:167m)」と「クロスタワー大阪ベイ(港区弁天町一丁目:200m)」も、竣工当時はそれぞれ日本一の高さを誇っていました。

(The Kitahama)

 この他にも、大阪には、新梅田シティなどの個性的なビルがたくさんあります。個人的には、分譲マンションなどは難しいとしても、その他のビルはできるだけ最上部を一般に開放してほしいと思います。そういう意味で、地上300mから広く大阪を見渡せる展望台が出来る「あべのハルカス」は非常に楽しみです。

港区の小学校で環境教育学習を行ってます。

2012年12月07日 | まちづくり活動情報
 「環境にやさしい交通をすすめるプロジェクトみなと」では港区の小学校5年生を対象にフードマイレージを扱った「買い物ゲーム」を行ってます。
 フードマイレージとは食べ物が生産地から消費される食卓まで輸送される際の環境負荷のことで、「距離×重さ」で表されます。「買い物ゲーム」を通じて、お店で売られている食材は産地からの距離に応じて環境負荷がかかっていること、また、買い物に行く際も交通手段によっては多くのCO2を排出していることを学び、日常生活と環境問題の関係について考える機会としています。

(授業の様子)


 授業は次の様な手順で進行します。

 はじめに5~6人の6つのグループに分かれ、
・夕食の献立を考え、予め用意された食材カードの中から使用する食材を選びます。
・必要な食材をどのお店に、どのような交通手段で行くかを決めます。

(食材選びの様子1)

(食材選びの様子2)


 その後、食材ごとに設定されたフードマイレージの大きさにもとづいて、購入した食材が食卓に運ばれてくるまでに排出されるCO2量を計算するとともに、買い物の際の移動によるCO2排出量と合わせて、各グループの買い物によるCO2排出量を計算します。

 そして、グループごとのCO2排出量を発表し合ったあと、他のグループとの違いを比べながら、自分たちのグループの買い物がどうだったのかについて話し合いを行います。

(発表の様子)


 子どもたちの話し合いと発表を通じて、
・買い物に行く時には自家用車を使うのではなく、バスや電車などの公共交通機関を利用したり、近くなら徒歩や自転車を使ったりすることでCO2排出量を減らすことができる。
・産地が近い食材を選ぶことでフードマイレージを減らすことができる。
ことなどに気付いたようでした。

 「フードマイレージを扱った買い物ゲーム」は平成20年度よりはじまり、毎年1~2校で実施してきました。学習後に行ったアンケートでは参加した先生・子どもたちから高い評価を得ており、家族や周囲の大人への波及効果も期待できる内容となっていることから、今年度は港区内の全小学校へ呼びかけを行い、7校で実施することとなりました。
 このような取り組みは継続して実施することが大切ですが、「フードマイレージ」や「買い物ゲーム」についてはまだ経験のある先生の数が少なく、プロジェクトメンバーが中心となって授業を行っているため、現在のところは部分的な取り組みにとどまっています。
 今後は、できるだけ多くの小学校で取り組んでいただけるように働きかけを行うとともに、授業の実施を通じてその担い手を増やしていくことで、この取り組みが広がっていくことを目指して、「環境にやさしい交通をすすめるプロジェクトみなと」では活動を続けていきたいと思います。

 なお、買い物ゲームの詳細については、過去に紹介しているので、詳細については下記をご覧ください。
 フードマイレージを学ぶための買い物ゲームの紹介