大阪のまちづくりぶろぐ

大阪でまちづくり活動をおこなっているみなさんの情報発信や交流を行うためのブログです。

『大阪人』の「鉄道王国・大阪」特集号が売れています!

2011年11月29日 | お知らせ
このブログを運営している財団法人大阪市都市工学情報センターが発行している雑誌『大阪人』の最新号が売れています。今回の特集は「鉄道王国・大阪」です。

すでに当財団の在庫はなくなっており、残りは書店などに置かれている店頭在庫分だけになります。重版は今のところ未定ですので、ご興味のある方は書店にお急ぎください!(すでに書店でも売り切れているところがあります)

それにしても、今回驚かされたのは、鉄道ファンの熱心さとともに、その裾野の広がりや情報収集力のすごさです。「鉄道王国・大阪」でインターネットの検索を掛けてみると、東京のご購読者の方にブログでご紹介いただいていることがわかったり、大阪以外にお住まいの方からも在庫の問い合わせが入ったりしています。

日頃はそういうものだと思っているので、あまり注目したこともなかったのですが、大阪市営地下鉄やJRに加え、阪急、南海、阪神、近鉄、京阪といった多くの電鉄会社が熾烈な競争を繰り広げている場所は他にはなく、大阪はまさに鉄道王国なのです。鉄道ファンにとって、とても魅力的な場所なのでしょう。

また、電鉄各社がターミナル開発や沿線開発を競うことにより、大阪が発展してきたといっても過言ではなく、鉄道はそれ自体が魅力であるとともに、大阪の魅力を支えるインフラの一つでもあります。

身近にある地域の魅力は、近くにいると意外とわからないものであり、外から教えられることではじめて気付くものだということを、今回の「鉄道王国・大阪」に関するお問合せを受けて、改めて実感しました。

みなさんも大阪の身近な魅力を知るために、『大阪人』の最新号を参考にしながら、鉄道を使いこなして、大阪をめぐる旅に出かけてみて下さい。(鉄道は環境にも優しい乗り物です!)

なお、『大阪人』2012年3月号の特集は、「大阪人・司馬遼太郎が残したもの」です。

日本人の歴史観や人物観に多大な影響を与え続けている作家・司馬遼太郎は、大正12年(1923)生まれの大阪人です。平成8年(1996)に生涯を閉じるまでずっと大阪に住み続けました。2012年2月12日は彼の17回忌にあたります。特集は大阪の至るところにある、司馬遼太郎並びに司馬作品ゆかりの地や寺社、店などを訪ねるほか、今の大阪人が司馬作品のどんなところに影響を受けたのかを徹底取材しています。また、司馬遼太郎が大阪市の依頼で25年前に書き下ろした大阪論の傑作「大阪の原型~日本におけるもっとも市民的な都市」を再録するなど、必読です。

発売は2012年1月16日になりますので、よろしくお願いいたします。

なお、『大阪人』11月増刊号「ちゃんとした 大阪 うまいもんの店」も好評発売中ですので、こちらもよろしくお願いいたします。

CITEトークセッション2011第3回「吉本の波乱万丈の100年と大阪」レポート

2011年11月25日 | CITEトークセッション2011
2011年11月14日(月)に開催されたCITEトークセッション2011「吉本の波乱万丈の100年と大阪」に参加しました。

今年度は5回シリーズで開催され、その第4回目となる今回は、吉本お笑い総合研究所理事の田中宏幸氏がゲストスピーカーとして登場され、「吉本の波乱万丈の100年と大阪」をテーマとした講演をされました。

(会場の様子)

吉本興業の歴史、笑いと時代や大阪の変化との関わり、そして、これからの取り組みについての田中氏のお話は次のようなものでした。

(ゲストスピーカーの田中氏)

・吉本興業のはじまり
吉本吉兵衛とせい夫婦が、天満八軒のひとつである第二文芸館を入手し、寄席経営を手掛けたことにより吉本興業は始まった。吉兵衛はお箸問屋のせがれであったが、寄席好きが高じるあまり、生業が立ち行かなくなったことをきっかけとして、寄席経営を始めた。
始まったばかりの寄席では、落語家に出演してもらうのが難しく、出しモノは諸芸や色モノばかりであった。しかし、入場料の安さ、お客さんや芸人へのホスピタリティ、若い芸人たちの頑張りにより、口コミで人気が出た。
この頃は、サラリーマンとして多くの若い世代が大阪に流入し、大阪が膨張していった時期であったことも、寄席の人気につながった。
2人は、お金が入ると次々と寄席を入手し、チェーン化に乗り出すとともに、上方落語最後のスターとして名高い、桂春団治を看板芸人に迎えたことにより、寄席経営を軌道に乗せた。

・大衆社会の到来とラジオ、トーキーの誕生
大大阪として大阪が発展したことにより、大衆社会が到来した。まちにはサラリーマンが登場し、古典落語の背景である丁稚奉公の世界がなくなった。そのような状況の中、手に何も持たず、洋服を着て、若い工員に向けたネタをすることにより、屈託のない笑いをとったエンタツ・アチャコがスターになるとともに、ラジオの登場により、しゃべくり漫才の人気が不動のものとなった。

・戦争と焼け跡からの復興
戦争が始まった後も、吉本興業は、朝日新聞と提携して戦地慰問団「わらわし隊」を派遣するといった活動を続けるが、戦禍による被害は大きく、終戦を迎えると一旦解散することとなった。その後、焼け残った劇場を映画館として再開するものの、しばらくの間舞台演芸から離れることとなる。

・戦後の復興とテレビの登場
しかし、昭和34年になると「うめだ花月」を演芸場として開場し、その年に開局した毎日放送とともに、吉本バラエティのテレビ中継を開始した。これによりコメディブームが沸き起こった。その後、戦後の復興や経済成長にともなって大阪が元気になると、テレビやラジオの深夜放送が始まり、二鶴、三枝らの新たなスターが誕生した。また、吉本興業自身もテレビ番組制作会社を設立し、大阪らしい視聴者参加型の番組を制作することにより、たくさんのヒット番組を生んだ。
昭和55年には空前の漫才ブームが沸き起こり、多くのスターが誕生する。このころから、漫才が変わり始めた。それまでは、作家がつくったネタをタレントが漫才として披露していたが、自分たちでネタをつくり、自分たちの言葉で漫才をするタレントが人気を博すようになった。笑いがよりアップ・トゥ・デイトなものへと変化したのである。これを受けて吉本では、師匠と弟子の関係によりタレントを育てる方針を転換し、タレント養成所を設立した。ここからは、ダウンタウンやトミーズをはじめとした多くの人気タレントが生まれた。

・携帯電話、インターネットの世界へ
現在は、圧倒的であったテレビの影響力が下火になり、携帯電話やインターネットの普及によって、地方からも情報発信できるようになった。
吉本では、「沖縄映画祭」や「あなたの街に“住みます”プロジェクト」「@ホーム寄席」といった取り組みにより、地方のメディアと協力しながら、地方を盛り上げていくプロジェクトを始めている。笑いを絆のインフラとして活用したいと考えており、みなさんに喜んでもらえている実感はある。今のところ全く儲からないが、この取り組みをどの様に紹介し、維持していけば良いか検討している。

田中さんのお話から、笑いは、大阪の変化やメディアの変化に合わせて発信方法を変化させてきたこと、いま大きな変化の時期に差し掛かっていることが良くわかりました。
“笑いは絆のインフラ”という信念のもと、吉本興業で実践されている試みが、地域の活性化につながるとともに、大阪を代表する魅力であるお笑いを通じて、大阪の本当の魅力が発信され、全国に伝わるきっかけになればと感じました。

なお、吉本興業は来年に創業100周年を迎えられます。これを記念した事業についても、トークセッションの中で宣伝されていましたので、ご興味のある方は是非チェックしてみて下さい。

第5回CITEトークセッション2011「大阪とエンタテインメント」は、ゲストスピーカーに大阪ガス エネルギー・文化研究所の栗本智代氏をお迎えして、12月8日(木)に開催されます。テーマは「まち物語としてのエンタテインメント」です。興味を持たれた方は是非参加して下さい。(参加費は無料で、どなたでも参加出来ます)

CITEトークセッション2011第5回「まち物語としてのエンタテインメント」のご案内

2011年11月22日 | CITEトークセッション2011
CITEトークセッションとは、産学公民が連携した「新しい時代に向けた活力と魅力あるまちづくり」をスローガンに、会員組織として設立されたCITEさろん(財)大阪市都市工学情報センターの共催により開催されるまちづくりをテーマにした講演会です。

トークセッションは全5回のシリーズとして開催され、今年の共通テーマは「大阪とエンタテインメント」です。

最終回となる今回は、大阪ガス エネルギー・文化研究所(CEL)主席研究員の栗本智代氏をゲストスピーカーにお迎えし、「まち物語としてのエンタテインメント」をテーマとして、12月8日(木)に淀屋橋odonaのアイ・スポットで開催されます。

栗本氏は大阪ガスCELにて、都市やコミュニティをテーマとした研究活動をされています。まち歩きや「なにわの語りべ」公演等を通じて、都市の個性や魅力を歴史・文化や観光の側面から探求しておられるとともに、著書に 『大阪まちブランド探訪-まちづくりを遊ぶ、愉しむ』、『大阪まち物語』(共著)などがあります。

大阪のまちを愉しむためのコンテンツとして、どんなエンタテインメントが、どんな場所で、どんなふうに展開され、今日の大阪の風景を形作っているのか。それを大阪の中にいる人々はどのように営み、外にいる人やビジターの目や耳には、どのように受け取られているのか。豊富なフィールドワークをもとに大阪の魅力を歴史的、文化的側面から探求し、「なにわの語りべ活動」や「コミュニティ・ツーリズム」などを通じて市民とともに活動を続けるゲストスピーカーと共に、これからの大阪のまちづくりや情報発信、観光の中で、エンタテインメントの魅力をどのように活かしていけばいいかを考えます。

ご興味のある方は是非ご参加ください。

なお、参加費は無料ですが、事前にお申し込みが必要となりますのでお気を付けください。(定員は30名・先着順)
みなさまのお申し込みをお待ちしています。


CITEトークセッション「大阪とエンタテインメント」
◆第5回(5回シリーズ)◆

日時:平成23年12月8日(木) 18:30~20:30
会場:i-spot<淀屋橋odona>
ゲストスピーカー:栗本 智代氏(大阪ガス エネルギー・文化研究所 主席研究員)
テーマ:「まち物語としてのエンタテインメント」
主催:CITEさろん/(財)大阪市都市工学情報センター共催
参加費:入場無料
定員:30名(要事前申込み・先着順)
参加者ならびに連絡先(電話またはメールアドレス)を明記の上、メール、電話、FAXのいずれかで下記までお申し込みください。
(Mail)cite-salon@osakacity.or.jp、(Tel)06-6949-1911、(Fax)06-6949-1925
詳細:「CITEトークセッション2011 第5回のお知らせ

ICT(情報通信技術)を活用したまちづくり

2011年11月18日 | その他
まちづくり活動の中で、様々な地域情報を共有するためのツールとして、ICT(情報通信技術)を活用する取り組みが広がっています。

少し前になりますが、2011年10月21日(金)に中之島センターで行われた、大阪大学大学院工学研究科ビジネスエンジニアリング専攻都市再生マネジメント領域の加賀有津子教授による「ICTを利用したエリアデザインマネジメント」についての社会人講座に参加した際も、ICTを活用したまちづくりについて、具体的な事例を交えた、とても参考になるお話を聞くことができました。

ICTを活用したまちづくりというと難しく聞こえるかもしれませんが、ユーザーが自ら情報を発信し、ネットワークを形成していく、フェイスブック等のSNS(ソーシャル・ネットワーキング・サービス)、ブログ、ツイッター等のマイクロブログ、YouTube等の動画共有サイト等といった、みなさんの生活にお馴染みとなっている、ネットワークを介したコミュニケーションを行うためのツールを活用した取り組みのことです。


東日本大震災においても、ツイッターや交流サイトを活用した、個人による情報発信や被災地支援が、被災者にとって助けになったことは記憶に新しいと思います。

ネットワークを介したコミュニケーションには、「空間的、時間的拘束が緩やか」「多様な関わり方が可能」「同時にいくつものコミュニティに参加可能」などといった特徴があります。

まちづくり活動を進める際の問題として、仕事や家庭の事情から活動の場に参加できる人が限られてくるため、情報の共有が進まない、活動の輪がなかなか広がらないといったことがあると思いますが、ネットワークを介したコミュニケーションの特徴を上手く活用することにより、活動の輪を広げられる可能性があります。

今回は、加賀教授による講座の内容を参考にしながら、ネットワークを介したコミュニケーションをまちづくりに活用した事例を紹介したいと思います。

【事例1】「Wiki」を活用した事例
地域情報の収集・発信に適した手法として、「Wiki」というシステムがあります。このシステムの特徴は、ネットワーク上の文書の内容を誰でも自由に閲覧・編集できることです。これを活用することにより、住民参加による地域情報の収集・発信が可能となります。
(WikiはWeb上のフリー百科事典であるWikipedia:ウィキペディアが採用しているシステムです)


このシステムが活用されている事例としては、加賀教授がかかわっておられた大阪府池田市細河地区のまちづくり情報共有Web「Hosopedia」があります。(実験的に運営されていたため、現在は閉鎖されているようです)

「Hosopedia」とは、地域のまちづくりや現状、歴史、行事などの情報を掲載したホームページのことで、まちづくり活動参加者の情報共有や蓄積を目的に、地域のコミュニティ推進協議会、行政、大学により運営されていました。

【事例2】「地域SNS」を活用した事例
SNSとは、社会的ネットワークをインターネット上で構築するサービスのことです。その活用事例である「地域SNS」とは、特定地域を対象として、市民活動の活性化や市民交流の促進、地域内外への情報発信を目的に運営されているSNSのことで、「人との出会い」、「地域情報の入手」、「地元への愛着」といった効用が特に高く、地域生活を豊かにする効果があると言われています。

事例としては、兵庫県内の行政、教育、企業、NPO、市民などの有志による協働体制のもと、「地域のソーシャルキャピタルの創造」を目的として、2006年から運営されている「ひょこむ」があります。


「ひょこむ」の特徴は、実名登録制であるとともに、登録を行うためには、既に「ひょこむ」に参加している人から招待してもらう必要があることです。これにより、健全で信頼できるネットワークを醸成することにつなげています。現在の会員数は約6,200人(2011年11月現在)だそうです。

【事例3】「ツイッターを活用した事例」
「ツイッター」とは、140文字程度の短い文章で記述されたブログのことで、気軽にコミュニケーションや情報発信できるのが特徴です。国内ユーザー数は988万人に達しています。(2010年時点)

「ツイッター」を活用した事例としては、加賀教授もかかわっておられる滋賀県近江八幡市の「近江八幡あすナビ」があります。


「近江八幡あすナビ」は、近江八幡商工会議所が中心となり、市民・企業・大学・行政により1年間限定で運営されています。
地域の将来について、インターネットを利用して近江八幡市民や近江八幡に関心のある人々が意見をオープンに交換することで、地域のソーシャルキャピタル(信頼関係)を醸成する場を目指しているそうです。

その他にも、御堂筋Talkin’About inアイ・スポット「パーソナルな大阪情報発信」に参加した際に、ナビゲーターの山納さん(大阪ガス)から教えていただいた、秋田県横手市で運営されている「ヨコッター」などといった事例もあります。

ここで紹介した以外にも、多くの「地域SNS」や「ツイッター」を活用した取り組みがありますが、まちづくりへの活用は、まだはじまったばかりです。
しかし、スマートフォンなどの普及により、いつでもどこでも気軽に情報にアクセスできる環境が整いつつあるとともに、仕事を通じて地域にかかわりを持つ人や友人を通じて地域に関心を持つ人など、地域にかかわる人が住民以外にも広がりを見せている現在において、ネットワーク・コミュニティは、地域の情報を共有・発信し、活性化につなげるためのツールとして、大きな可能性があると思います。
興味のある方は是非まちづくり活動に取り入れてみて下さい。

御堂筋Talkin’About inアイ・スポット「考・喫茶店」の御案内

2011年11月15日 | 御堂筋Talkin'About
2011年11月28日(月)に、御堂筋odonaの2階にあるまちづくりの情報発信施設「アイ・スポット」において、御堂筋Talkin’About inアイ・スポット「考・喫茶店」が開催されます。

御堂筋Talkin’Aboutとは、あるテーマについて興味・関心を持った人たちが集まり語り合う“サロン”です。

2011年10月26日(水)には「スポーツによる地域活性化」をテーマに開催されています。その時の様子はこのブログでも紹介しています。詳しくは下記のページをご覧ください。

御堂筋Talkin’About inアイ・スポット「スポーツによる地域活性化」レポート

今回のテーマは「考・喫茶店」です。

個人経営の喫茶店は現在、ある転機を迎えています。大量生産・消費というビジネスの文脈から遠ざかる一方で、コーヒー豆、焙煎・抽出技術へのこだわり、場のサロン性など、クオリティを重視した手仕事的文化としての色合いを濃くしつつあります。今回は平岡珈琲店・小川店主にお話をうかがいつつ、喫茶店文化について熱く語ってみたいと思います。

この場での交流がきっかけとなって、新しいネットワークやアイディアが生まれるかもしれません。ご興味のある方は是非アイ・スポットに足を運んで下さい。

概要は下記の通りです。

日 時:2011年11月28日(月)午後7時~午後9時

会 場:アイ・スポット(大阪市中央区今橋4-1-1 淀屋橋odona 2階)
    ↓場所は下記をご覧ください。
    http://www.city.osaka.lg.jp/keikakuchosei/page/0000018184.html
話題提供:小川 清(平岡珈琲店店主)
ナビゲーター:生駒 伸夫(生駒ビルヂングオーナー)
       山納 洋(大阪ガス)

参加費は無料です。事前に申し込みの必要はありませんが、定員は30名です。(先着順)受付は当日の午後6時30分からになります。