大阪のまちづくりぶろぐ

大阪でまちづくり活動をおこなっているみなさんの情報発信や交流を行うためのブログです。

野田で地域資源を活かしたまちづくりを学んだ第2回大阪市まちづくり担い手育成講座

2010年11月26日 | 大阪市まちづくり担い手育成講座
11月20日に第2回大阪市まちづくり担い手育成講座を野田地区で開催しました。
今回のテーマは、「地域資源を活かしたまちづくりを学ぶ」です。


大阪市中央卸売市場の中にある会場に集合。
事務局の私も中央卸売市場の中に初めて入ったのですが、寿司屋さんをはじめとした飲食店、床屋さん、薬局まであったり、お料理教室が開かれていたりと、一般の人は中に入ってはいけないと思っていたので、中央卸売市場の意外な姿にちょっとビックリしました。


第二講は、講師である野田まち物語の西江さんのお話からスタート。


西江さんは学生時代に野田地区の研究をされたことをきっかけにこのまちに魅せられて、まちの魅力のプロモーション活動等を行うまちづくりグループ「野田まち物語」を始められたそうです。

「野田まち物語」の活動方針は、来訪者だけが盛り上がるのではなく、地元住民と来訪者が一緒になって取組むことができるまちづくり活動を行うとともに、活動地区を野田に限定するのではなく、近くを流れる安治川や梅田など他の地区との関わりを意識した、広い視点から野田のまちづくりを行うことだそうです。

実際の取組みとして、地元住民と来訪者が魅力を感じる地域資源が必ずしも同じではないなかで、ともに魅力を感じているお地蔵さんを活用したまちのプロモーション活動である「地蔵尊“ななとこまいり”」や安治川とのつながりを活用したまちのプロモーション活動、地元住民と来訪者両方の休憩場所をつくるため、お地蔵さんの横やバス停横に座って交流できるような椅子を作る「住民参加型の“野田ナイス祭”」などの活動をご紹介して頂きました。

西江さんのお話をお聞きしたあとは、グループに分かれてまち歩き。


グループリーダーを務めてくれている近畿大学の学生さんに先導されて、第二次世界大戦の空襲から逃れた長屋や建物、迷路のような路地空間が残るまちなかを散策しました。


複雑に入り組んだ路地を歩くと野田の歴史を感じるものをたくさん発見することが出来ました。

鳥居やお地蔵さん


戦争の時に落とされた爆弾の跡が残る家の壁


遊歩道や子どもの遊び場になっている、野田から中央卸売市場までの貨物線の廃線跡地


また、市場内の運搬車として使われているターレットが走行しているのを発見し、近くにある大阪市中央卸売市場とのつながりを感じたり、


路地が住民のコミュニケーションの場や遊び場になっているのを発見したり、


受講生のみなさんそれぞれが、野田の地域資源や課題に直に触れることが出来ました。

まち歩きの後は、グループでまち歩きをして気が付いたことを話し合い、野田でのまちづくりの提案を考えました。


そして、グループごとにまちづくり提案の発表。


活発な議論が交わされるとともに、提案発表の際には笑いを誘う等、楽しみながら講座に取組んでおられる様子が伝わってきました。

短い検討時間ながらも、受講生のみなさんからは、
「路地で迷わないように、路地に名前を付けよう!」
「爆弾跡をライトアップして、平和について語るイベントをしよう!」
「中央卸売市場を地域に開かれたものにしよう!」
「廃線跡の広場を防災まちづくりの拠点に活用しよう!」
「野田地区での生活を手軽に体験できる、ウィークリー長屋をつくろう!」
「人と人を繋ぐ情報拠点をつくろう!」
「地区全体が一つになって盛り上がれるお祭りをやろう!」
など、ユニークな提案がいくつも出されました。

野田まち物語の西江さんも、受講生から出されたバラエティーに富んだ提案の数々に感心されたご様子で、「明日からでも出来そうなものが多く、今後の活動の参考にさせてもらいます」とのコメントを頂きました。

今回の講座では、まちの魅力の活かし方、課題の改善方法について提案を行うことで、地域資源を活かしたまちづくりを学びました。
また、講師の西江さんのお話をお伺いすることにより、地元住民と来訪者では魅力があると感じる地域資源が必ずしも同じではないということ、双方が魅力を感じる地域資源を見つけ、一緒にまちづくり活動を行うことが大切であるということも学ぶことが出来たと思います。

講座の詳細についてさらにお知りになりたい方は、まちづくり便りをご覧ください。

まちづくり便り第2号(PDF:1,119KB)

第3講は11月27日に淡路地区で地域文化をテーマとしたまちづくりを学びます。

まちを“アーツ”で編集する ~第5回CITEトークセッションレポート~

2010年11月24日 | 講演会情報
11月17日(水)に淀屋橋にある商業施設、淀屋橋odonaの2階にあるi-spotで行われた第5回CITEトークセッションに参加して来ました。
今回の講師はNPO法人プラス・アーツ理事長、株式会社iop都市文化創造研究所代表取締役の永田宏和さんでした。


永田さんはNPO法人プラス・アーツでの活動を通じて、教育、福祉、まちづくり、環境、防災、国際協力といった既存の活動に「アーツを加える」=「+arts」することで、課題を解決したり、活性化したり、新たな可能性を追求する活動をされています。
トークセッションのお話の中でもいくつか事例を紹介して頂きました。

「まちづくり+arts」の事例
・此花アーツファーム
大阪市此花区の梅香・四貫島エリアを舞台に、アーティストやデザイナーなど創造的な活動を志している若者が集まる仕掛けづくりと、それらの活動が地域で連鎖し、まちの魅力へとつながっていくための環境づくりの取組み。2008年より取組みが継続している。


・水辺の文化座
水都大阪2009のプログラムの中の一つとして、「水辺で楽しむ、水辺を楽しむ」をコンセプトとして、中之島公園を舞台に実施された取組み。



「教育+arts」の事例
・Nature Art Camp 2001-2006
六甲山系麻耶山にある自然の森を舞台に、自然を肌で感じ、子どもたち自身で自らの中にある潜在的な「自主性」や「創造性」に気づき、伸ばすためのアートワークショッププログラム。



「防災+arts」の事例
・イザ!カエルキャラバン!
おもちゃの交換イベント「かえっこバザール」と「防災訓練」を組み合わせた、楽しみながら防災の知恵や技を学ぶ新しいカタチの防災訓練。2005年に神戸で開催されて以来、全国に開催地が増え続けるとともに、海を渡ったインドネシアでも開催されている。



ご紹介頂いた活動については、詳細をNPO法人プラス・アーツのホームページでみることが出来ます。ご興味のある方はNPO法人プラス・アーツのホームページをご覧ください。

今回のトークセッションでは、事例紹介だけでなく、プラス・アーツとしてプロジェクトに取組む際の“作法”についてもお聞きすることができました。
プラス・アーツでは、プロジェクトを始める際に、真っ先に実施するのはリサーチ活動だそうです。例えば、防災分野における活動では、阪神淡路大震災の被災者の方々のお話を直接聞かれるとともに、市販されている関連の本や防災グッズをすべて集めて調査をされたそうです。徹底したリサーチを実施し、プロジェクトのコンセプトを決定、コンセプトに合ったアーティストを選定した後、地域住民をはじめとした各種関係者などとの調整、取組みの継続的実施、事業拡大のためのマネージメントまで一貫して取り組まれるそうです。
お話をお聞きして、徹底したリサーチ活動、プロジェクトの方向性を示す確かなコンセプトの決定とともに、プロジェクトの進捗に合わせて、プロデューサー、ディレクターから、コーディネーター、マネージャーへと自らの役割を変えて取り組むことが、プラス・アーツがプロジェクトを成功へと導く“作法”であると良くわかりました。

永田さんは、まちにアーティストを呼んで来るだけで、お金を掛けずに、簡単にまちづくりが成功すると思っている人がいる現状には、問題があるともお話をされていました。
今回の講演をお聞きして、アートによるまちづくりを本当の意味で成功させるには、アーティストとまちをつなぐ、まちづくりの担い手が意識を高く持ち、様々な役割を果たせる能力を磨く必要があるのだと強く感じました。


講演の詳細についてご興味のある方は、CITEさろんのホームページをご覧ください。

淀屋橋odonaの2階にあるi-spotでは、アートとまちづくりをテーマにしたミニ講演会であるCITEトークセッションが引き続き開催されます。
次回は、大蓮寺住職・パドマ幼稚園園長の秋田光彦氏を講師に「いま大阪でアートに求められるもの」をテーマにしたお話が聞けるそうです。詳細は下記の通りですので、興味を持たれた方は是非参加して下さい。(参加費は無料で、どなたでも参加出来ます)

●日 時 : 平成22年12月6日(月) 18:30~20:30
●会 場 : アイ・スポット
●講 師 : 秋田光彦氏(大蓮寺住職・パドマ幼稚園園長)
●テーマ : 「いま大阪でアートに求められるもの」
●主 催 : CITEさろん/大阪市都市工学情報センター共催
●参加費 : 入場無料
●詳 細 : CITEトークセッション(12月6日分)参加者募集のお知らせ

からほりボランティアガイド養成講座のご案内

2010年11月19日 | まちづくり活動情報
先日、ブログにてご紹介いたしました「高齢者外出介助の会」より、空堀地区でのボランティアガイド養成講座の開催について、ご連絡を頂きました。

「高齢者外出介助の会」では、多くの方に空堀のまちの魅力を知ってもらうことを目的として、「空堀ボランティアガイド養成講座 地図でふり返るからほりの歴史」を企画されました。この講座は空堀の古い地図を見ながら、昔の空堀の様子について学ぶというものです。2回目には、まち歩きも計画されています。
ボランティアガイド養成講座となっていますが、どなたでも参加可能です。講座を受けたら、ボランティアガイドをしなくてはならないということはありませんので、空堀のまちに興味のある方は、気軽に参加してみてはいかがでしょうか?

講座は2010年11月27日(土)と12月11日(土)の2回開催されます。詳細は下記の通りです。

(第1回)
日 時:2010年11月27日(土) 13:30~15:30
内 容:『秀吉の「空堀」はどこにある』、『大阪三郷まちはずれ』
(第2回)
日 時:2010年12月11日(土) 13:30~16:00
内 容:『幕末から近代、にぎわう庶民の町へ』、『まち歩き』
(共 通)
講 師:西部 均
会 場:からほりさろん(地図
参加費: 1000円(2回)、資料代500円
定 員:20名
申込先:特定非営利活動法人 高齢者外出介助の会(TEL&FAX 06-6764-4002)

中崎町の魅力にふれた第1回大阪市まちづくり担い手育成講座

2010年11月12日 | 大阪市まちづくり担い手育成講座
11月9日(木)に第一回大阪市まちづくり担い手育成講座を開催しました。
第一講の会場は中崎町。


受講生のほとんどが、この日初めて顔を合わす方々ばかり。少し緊張した面持ちで自己紹介を済ませたあとは、グループごとにまち歩きを開始しました。


グループリーダーを務めてくれている近畿大学の学生さんに先導されて、路地が入り組み迷路の様になっている中崎町を散策。まちの魅力や課題を直に感じることが出来ました。

古い長屋の良さを活かしたお店を見つけたり、


雰囲気の良い看板を見つけたり、


植栽が置かれ、路地が生活空間の一部になっていることを見つけたり、


公園で弾き語りをしている人がいたり、


ネコがいたり…。


まち歩きの後は、グループでまち歩きをして気が付いたことを話し合いました。この頃にはみなさんの硬さもとれて、活発に議論をされていました。議論が盛り上がり、時間が足りないという声も…。


そして、中崎町について感じたことをグループごとに発表。


新しさと古さが入り混じったまちなみ。それでいて、路地を歩くとなにか良いコトに出会えそうな、オモチャ箱みたいなまちの魅力にみなさん魅了されたようです。一方で、細く入組んだ路地空間が、防災面などに問題があるのでは?との指摘もありました。

発表のあとは、日替わり店長により運営されている、中崎町のコモンカフェをプロデュースしている山納氏をゲスト講師に迎えてお話をお伺いしました。


山納氏からは、まちづくりを行うということは、まちや住民の方々と真っ正面から向き合うことが必要だということを、カフェの運営を通じて得た体験をもとにして、お話をして頂きました。
リアリティある話をお聞きして、これからまちづくりの担い手になろうとされている、受講生のみなさんは、気を引き締められていた様でした。

まちづくりの厳しい一面に気付かされもしましたが、中崎町の魅力や、実際にまちづくりが行われている現場に触れることで、受講生のみなさんのこれからの活動に向けたモチベーションもアップしたのではと感じた第一講でした。


講座の詳細についてさらにお知りになりたい方は、まちづくり便りをご覧ください。

まちづくり便り創刊号(PDF:2,329KB)

第二講は11月20日に野田で地域の資源を活かしたまちづくりを学びます。

福祉のまちづくり ~高齢者外出介助の会の取組み~

2010年11月12日 | まちづくり活動情報
少子高齢化が進む中で、社会は福祉の面で大きな問題を抱えています。
高齢になると、行きたいところがあっても我慢をしたり、家族の方の不安から外出を制限されたりすることで、行動範囲が以前より狭くなりがちです。それによって地域とのつながりが切り離されることもあります。
今回はそういったお年寄りの外出支援を行うことで、安心して生活を送れるように活動している空堀地区の高齢者外出介助の会を紹介します。

【高齢者外出介助の会の取組み】
高齢者外出介助の会は、大阪市中央区の空堀商店街の中にある「からほりさろん」を拠点に活動しているNPO特定非営利活動法人です。お年寄りのみなさんに、より楽しく、充実した日常生活を過ごして頂くことを目指して活動されています。


外出介助としては、足腰が弱くなったり、寝たきりのお年寄りの移動手段を確保するため、車椅子やシニアカ―の貸出しを行うとともに、メンバーがお年寄りの外出に付き添うなどのサポートを実施されています。


活動当初は地元の方だけでなく、地域外の方に対する外出介助もされていたそうです。しかし、ここ数年は外出介助の依頼が減ってゆき、それに伴って外出介護を手伝ってくれるボランティアの方も減っていったため、現在は原則として活動拠点のある中央区に限り外出介助の活動をされているそうです。ただ、ボランティアの方が集まれば、中央区以外での外出介助を再開したいと考えておられるそうで、常時お手伝いをしてくれるボランティアの方を募集されています。

この他にも、「からほりさろん」での食事会、「大阪の文学を学ぶ会」と題した勉強会を行うなどの交流活動を継続的に実施するとともに、空堀のイベントや出来事などを発信しているコミュニティ紙”からほり新聞”の作成・発行、家具の移動などを手伝う在宅支援、入退院時に同行する入院支援など、地域レベル、生活レベルでの幅広い活動をされています。

高齢者外出介助の会の取り組みは、単なる外出介助や交流活動の実施にとどまらず、高齢者の方々が人と触れ合うきっかけを提供することにより、お年寄りの充実した生活の実現につながって行くものです。外出する機会が少なくなりがちなお年寄りにとっては、イベントに参加したり、展覧会へ出掛けたり、友人とお茶をするなど、地域や人と関わる”きっかけ”をつくることが、何より大切だと思います。

近畿大学都市計画研究室 村田


高齢者の自立を支え、閉じこもりを予防するためには、福祉サービスの整備、安全・安心な歩行環境の確保、日常生活を支えるコンパクトなまちの存在が必要になります。

バリアフリーのまちが広がっていくとともに、生活に必要な施設(例えば、銀行、病院、商店街など)が身近な地域の中に存在することが必要です。お年寄りだけでなく様々な世代が交流できるような拠点施設も必要です。しかし、そうしたハードの整備だけでは不十分で、人と人との関係が大切なのは言うまでもありません。

コミュニティの関係が希薄化しつつある今日にあっては、そうした関係を自ら作り出すような活動が大きな意味を持ってきます。ここで紹介した「高齢者外出介助の会」は、まさにそういう意味で地域にとって非常に重要な存在です。

交通弱者である高齢者にとって、まちなかはバリアだらけです。市民が自らできることを考え実行する中で、少しでも福祉のまちづくりが進展することが望まれます。

近畿大学 脇田


高齢者外出介助の会(NPO法人)のホームページ