大阪のまちづくりぶろぐ

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大阪府庁「正庁の間」を見に行ってきました!~都市景観資源その5~

2012年08月09日 | 都市景観資源
 今回は大阪府庁本館にある「正庁の間」をご紹介します。
 大正15年に竣工した府庁本館の5階中央にあるこの部屋は、当時は年末年始の行事や人事発令・式典などに使われていたそうです。近年は、庁舎が手狭になっていたため、執務室として使用されていましたが、ご存知のように、南港のWTCビルを大阪府が買い取り「大阪府咲洲庁舎」として利用されるようになったこともあり、改修工事を行い、当時に近い姿で復元され、現在は毎週水曜日と金曜日に一般開放されています。

 一部、変形・破損している部品を新たに製作したり、塗装しなおしたりしていますが、ほとんどは元々の部材をそのまま利用しており、当時の雰囲気が見事に再現されています。
 ダークブラウンの寄木貼(よせぎばり:色や木目の異なる木片を組み合わせて張ったもの)の床は、執務室だったときはビニールシートで覆われていたこともあり、今でも十分利用に耐えるもので、いい感じで古くなっており、部屋に重厚な雰囲気を与えていました。

(室内全景)
 天井の中央には立派なステンドグラスがはめ込まれ、自然な光を部屋に取り込んでいます。天井ステンドグラスとしては国内最大級で、その面積(55㎡)は国会議事堂参議院議場のものに次ぐ大きさとのこと。また、大正時代はステンドグラスの黎明期にあたるらしく、当時のまま現存しているものは希少で、現役の都道府県庁舎にあるものとしては最も古いものだそうです。ただ、ステンドグラスは立派だと思いましたが、その横に吊るされているシャンデリアは、あまり豪華ともいえず、ちょっと寂しい感じがしました。



(国内最大級の天井ステンドグラス)

 また、壁には天使や獅子のレリーフなど壮麗な室内装飾が当時の部材のまま復元されているほか、昭和30年頃の御堂筋や道頓堀などの風景画が飾られています。そして、窓からは大阪城とOBPが一望できます。

(大阪城を一望できる窓からの景色)

 奥の部屋は「時代玩具展示室」となっており、府指定有形民俗文化財の貴重なおもちゃコレクションが展示されているそうなのですが、この日はたまたま休みだったのか、もうこの企画は終了してしまったのか、なぜかドアが閉まっていました。

 大阪府庁本館は平成22年に大阪市の都市景観資源(※)に登録されました。歴史のある大阪府庁については、府庁の機能を移して美術館として活用する案などがあり、この「正庁の間」もいつまで公開されているかわかりませんので、今のうちに、この部屋を訪れて、府庁が建てられた大正時代の雰囲気を味わってみてはいかがでしょうか。

○大阪府庁本館の場所
  所在地
    大阪市中央区大手前2丁目1番22号
  地 図
(※)都市景観資源について
 大阪市では景観的に優れた、新しい建物や歴史的建造物、橋や樹木等を「都市景観資源」として登録しており、現在、162件が登録されています。「大阪のまちづくりぶろぐ」では「都市景観資源」を取り上げ、大阪の魅力を紹介していきます。詳しくはHPをご覧ください。