梅田スカイビルはどの国の観光客にも人気があるが、「特に、伝統的な建築物が主体のヨーロッパは近代的な高層ビルが少なく、格好の観光素材になる」という。スイス人女性(24)は「ユニークな形が印象的。友達にも勧めたい」と喜んでいた。
開業21年を経て再評価された背景が知りたい。設計を手がけた原広司・東京大学名誉教授に聞くと、「『空中都市』を創りたかった」と振り返る。
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地上から見上げた梅田スカイビル。ガイドブックが「未来の凱旋門」と星付きで紹介
地上から見上げた梅田スカイビル。ガイドブックが「未来の凱旋門」と星付きで紹介
「世界の高層ビルで際だった特徴があるものはなかなかない。認められるにはヘンテコなだけではダメで、必然性がいる。
空中都市や空中庭園は古来、世界中にある物語。普遍的な幻想だから古くならず、外国人からも愛されるのでは」と原さん。空中庭園といえば古代バビロンが有名だが、スカイビルが海外の人の想像を強く刺激するのだろうか。
建築当時、連結超高層ビルは珍しく、展望台をワイヤでつり上げる世界初の工法を用いた。「世界遺産と並ぶとは思わないが、現代建築の一つの代表として後世に残るはず」と自負する。
京都や奈良には長い歴史を持つ社寺が立ち並ぶ。しかし、世界から日本を代表するとみなされた建築物が大阪にもあると知って、うれしくなった。次回、友人が遊びに来たら、お好み焼き店や道頓堀に加え、梅田スカイビルも案内しよう。
(大阪・文化担当 佐々木宇蘭)
[日本経済新聞大阪夕刊関西View2014年3月25日付