遅生の故玩館ブログ

中山道56番美江寺宿の古民家ミュージアム・故玩館(無料)です。徒然なる日々を、骨董、能楽、有機農業で語ります。

瑠璃南京煎茶碗

2019年12月20日 | 古陶磁ー中国

先のブログで、白南京と思われる煎茶茶碗を紹介しました。

今回は、瑠璃南京の煎茶碗5客です。

 

古い桐箱に入っています。

煎茶美術館と書かれた布に包まれています。

 

5客とも、無疵です。

 

白抜きで文字が書かれています。

 

       径 5.5㎝x高 2.6㎝

 

高台内には、「大明成化年製」の記銘があります。

 

光にかざしてみると、白抜きで書かれた文字がかすかに透けて見えます。やはり、明末くらいの南京手ですね。

煎茶美術館を調べてみましたが、ありそうでありません。

どこかの数寄者が、プライベートに美術館を造って楽しんでいたのかもしれません。それが廃館となって、所蔵品がドッと売りに出されたのでしょう。

とても他人事とは思えません(^^;)

 

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「どうだ」、それとも「なぁんだ」の巨大埋木細工、仙桃置物

2019年12月18日 | 漆器・木製品

20年位前の話です。大阪で、月一回、ある研究会がもたれ、参加していました。メンバーは10人ほどでしたが、結構な強者(つわもの)ぞろい、その中にどういうわけか弱者(よわもの)の私も。毎回、スピーカーが話題を提供し、それをネタに喧々諤々の議論というわけです。趣旨は壮大。21世紀の新しいオピニオンの創出というもので、季刊、300頁余の雑誌にまとめ、書店で販売していました。

研究会は夕方からで、それまで時間があります。まず、東洋陶磁美術館をみて、そのあと近くの老松骨董街をぶらぶらするのが常でした。同じ骨董街でも、日本橋や青山と違って、さすがに大阪、庶民的です。高級品を扱う店でも、一見してビンボーコレクターとわかる私にも、虫けら扱いではなく、普通に応対してくれます(^.^)

何度もウロウロしているので、この界隈には親しみがあります。ビルの谷間に埋もれている神社やイワクありげな祠を見つけると、何だか得をしたような気になり、チャリ銭をなげ入れ、また、ブラブラ。

この日もあちこち見歩いたのですが、ピンとくるものがありません。今日はダメか・・・細い路地にある、開いているのかわからない店に入りました。いかにも骨董屋然とした主人が一人・・・客はなし。やはり、品物もパッとしません。

ふと上を見上げると、棚の最上段に見たこともない黒い塊が座っているではありませんか。

「あれは売りもんやありまへん」

「ちょっと見せてくれませんか」

「何ですか、これ?」

「埋木や。こんなん後にも先にも初めてや」

「いくらくらいするものなんですか?」

「売りもんやないで、値はないわ。100万出す人もおれば、1000円でもいらんていうのんもおるやろ」

・・・・・・・うーん、こまった。こういう言い方の場合、店主はこちらに値踏みをさせてるいるんですね(^^;)

「三でどうですか?」

「そりゃキツイわ」

「じゃあ、五で」

こういうこともあろうかと、いつもカバンにしのばせている風呂敷に包んで、そそくさと店を出ました。

 

非常に大きくて重い真っ黒な埋木細工の置物です。

凄い存在感です。

 

こちら向き(反対側)が正面でしょう。

長 27.5㎝ x 幅 11.2㎝ x 高 17.8㎝。 重量 3.1㎏。

 

前から

 

上から

 

下から

底が平になっています。

 

枝、葉の部分はかなりしっかり彫られています。

 

 

筋状の疵は、植物由来の品である痕跡でしょう。木目は全く観察できません。

 

 

これは、いったいどういう物だろう。ひょっとして大名道具か?

会議中、机の下に置いた風呂敷包みが気になって仕方がありません。

この日のスピーカーは、国立民俗学博物館名誉館長梅棹忠夫氏。今からすれば晩年に近く、目が不自由でしたが、知的好奇心は旺盛でした。話題は、お賽銭とお布施。さすがに、日本民俗学・文化人類学の泰斗。目のつけどころが違います。朝晩の散歩時の神社へのチャリ銭の投げ入れから始まって、日本の宗教、文化まで幅広く、深いお話でありました。

おー、そういえば今日、普段、神社などにいったこともない私が、大都会の真ん中で、チャリ銭をはたきました。

なるほど、そのおかげで、この品をゲットできたのか・・・・・これからは、骨董漁りに出かける時はチャリ銭をポケットにいれておかねば(^^;)

 

ついに、「どうだ」と自慢できる埋木をゲットできました。

名付けて、「どうだの埋木」。

 

それにしても、この埋木、真っ黒です。今までに見てきた埋木とはずいぶん違います。

石炭?石炭なら細工をするうちに、割れてしまいます。炭化はすすんでいますが、木の性質が保たれているのしょう。  

そこで、ハッと気が付きました。ジェットです。

女性の喪服にあしらわれる、漆黒の宝石(黒玉、黒琥珀)と言われる物です。日本では、ネックレスが一般的です。イギリスのビクトリア女王が、夫君の服喪に際して着用したことで有名になりました。西洋では、mourning jewelryとよばれ、女性のコレクターアイテムのひとつです。

産地は、アフリカ、アメリカ、中国など。しかも通常の埋木と違って、海底から採れるのだそうです(海埋木)。

そこそこの値がするジェットですが、中国産となるとなぜかダラ安。

もし、今回の品が中国産なら・・・・・・・「なぁんだの埋木細工」になってしまいます(*.*;)

 

ところで、これはいったい何の形なのでしょうか?

最初は仏手柑と思ったのですが、どうも違う。

色々調べたところ、中国の故事に登場する幻の果物「仙桃」に行きつきました。

崑崙山に住む女神、西王母が、3000年に一度実を結ぶという仙桃の木を管理し、不老長寿を願う漢の武帝に与えたという故事です。

すると、今回の品は中国製か?当然、ダラ安?

もう少し、お賽銭を気張ればよかった!?

 

気を取り直して、しかるべき所へ置いてみました。

今できの物にはない品格と風格が備わっていると感じるのは欲目でしょうか。

 

 

書の掛け軸と取り合わせてみました。

「どうだ」とか「なぁんだ」なぞにとらわれてはいかんぞ、と諭されているのかも知れませんね。

 

【掛軸 悠】古田紹欽(1911-2010):仏教哲学者。鈴木大拙門、禅の思想を研究。仙厓の研究家としても知られる。

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ヨーグルトは緑の勝ち

2019年12月15日 | ものぐさ有機農業

ピンポーンとチャイム。

牛乳配達さんです。

いつもは、箱に入れてあるだけなのに、今日は何?

「私どもの宅配センターも来年で20年になります。最初からのお客様に、わずかですが、お礼を」

と言って、記念のタオルとヨーグルトR1を5個いただきました。

 

もうそんなになるのか!

 

20年ほども毎日食べ続けていたのは、これです。

最初のうちは、家族全員に一個ずつ。しかし、お金が相当にかさみます(^^;)

ということで、これを種にして、ヨーグルトメーカーで増やしています(^.^)

LG21は20年も食べてきたからたからもういいか。今日もらったR-1 はデザインも斬新だし、効きそう。そろそろチェンジしてみるか?

「何いっとるの!今までのが胃に効くヨーグルトやがね!そんなもん、ほかにはあらへんわね」と、岐阜人でもないのに流暢な岐阜弁でおっしゃります。

えー、初めてです、そんなことを聞いたのは!

毎日、漫然と食べていただけの私には驚きです。

 

あらためて包装を見てみると・・・

赤のR-1と緑のLG21。

パッケージだけを見ると、どうみても赤を選びたくなりますが・・

キャチコピーは?

「こだわり触感」と「胃で働く乳酸菌」。

効能をうたっているのは緑のLG21の方です。

同じメーカー、しかも、赤R-1の方が新しい製品。

そんなはずはないとホームページをのぞいてみると、

緑のLG21は、胃のような強酸性の条件下でも死なずに繁殖し、ピロリ菌を抑える、とあります。データまで示しているではありませんか。

一方、赤のR-1は、強さを引き出すんだそうです。しいて言えば免疫力アップでしょうか。

こりゃあ、違いは歴然です。

そいえば、十年以上、一緒には暮らしていない息子、呑兵衛ではありませんが、私のような下戸でもない。この間、胃の調子がおかしいということで胃カメラをのんだところ、胃が荒れていて胃潰瘍の一歩手前、ピロリ菌もどっさりということがわかりました。で、ピロリ菌を退治したら胃も良くなったそうです。

すぐさま、緑LG21を毎日食べるように言ってやりました(^^)

 

病気デパートの私も、おかげさまで、胃と腸だけはずっと平穏です(^^;)

 

ところで、20年近くも毎日ヨーグルトを食べていると、食べ方が少しずつ変わってきます。

今日は、

ウコン粉+きな粉+梅ジャム+柿(熟々)でできあがり。

我が家のヨーグルトの食べ方20年変化は、ほぼこの逆順です。最初は、時々の果物を単独トッピング。そして、どっさり採れる果物のジャムが加わりました。最近、ウコン(84歳の姉から供給)も加わりました。きな粉は、ウコンだけでは味がきついので、味眩まし用に入れてます。

甘味には、ヨーグルトメーカーでつくる時に、黒糖とはちみつを入れます。

さて、柿がすんだら、次の果物は何にしようか?と考えていたところ・・・・またもや、ピンポーン。

配達屋さんが、新製品です、といって試供品をもってきました。

今度の品は、青色ヨーグルトです(^^;)

緑、赤とは別のメーカーです。

中性脂肪を下げる、海と牧場の恵、DHA+EPA、とのキャッチコピー。

要するに、ヨーグルトにDHA、EPAを加えただけの物です。変わりばえしません。

スーパーの棚を見ると、どんどん新しいヨーグルトが出ているような錯覚をおぼえますが、本当の新製品はなかなか出ないものですね(^.^)

 

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仙台埋木細工の盆

2019年12月13日 | 漆器・木製品

仙台埋木細工の盆です。

小さめの盆で、煎茶盆か香盆でしょう。

松島の風景が彫られていて、やはり松島土産として売られていた品です。

               14cm x 21cm x 1.4cm

裏側を見る限り、圧縮度はそれほどではありませんが、先回の埋木菓子皿よりは手取りも重いです。

 

あまりに見事な黒色なので、黒漆を塗ってあるのかと思いましたが、彫り跡や疵の割れを見ても、やはり黒色です。

光の当たる角度を変えてみました。

 

直射日光をあてると・・・

いずれも、わずかですが木理が浮かび上がり、埋木であることがわかります。

このように炭化がすすんだ埋木細工もあるのですね。売られていた当時の価格も、この方が高いのでしょうか。

象牙でもそうですが、生き物は年々の成長が肌理となって残ります。木の場合は特に顕著です。ですから、非常に上等な塗りの漆器でも、よく観察すれば、浮き出た木目が必ず見られます。

最近はプラスチックの漆器でよくできた品がありますが、このようにすれば、本物の漆器とみわけられます。

 

もう一つは、やや大型の盆です。

          21.1cm x 27.6cm x 2cm

 

 

木目を強調した吹き漆処理がなされています。

 

裏側は簡単に削ってあります。

 

大きいこともあって、手取りもズシリと重いです。

この盆は、一見、唐木盆のように思えます。重さも似ています。しかし、圧縮炭化による肌理のち密さはやはり埋木ならではです。また、唐木では木目をこのように強調することはありません。

実は以前、この盆とほとんど同じ造りで一回り大きな品を見たことがあります。ボール紙の化粧箱に入っていました。表には、「仙台埋木細工  〇〇商店 明治36年」とありました。

年代のわかる埋木細工は希少です。

買っておくべきでした。

でも、同じ物が増えるとまた、また、ネチネチと言われるし(^^;)

 

 

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粗大ゴミから救出、加納鉄哉の火鉢

2019年12月11日 | 故玩館日記

収穫した里芋をダンボールに入れながら、ふと目を横にやると、どこかで見た物が置いてあるではありませんか。

ここは、何でもかんでも入れておく雑多小屋。その一角、粗大ゴミのコーナー(正確には、粗大ゴミに出す物の一時置場)です。

 

中には、落ち葉とセミの死骸まで(^^;)

 

外に出してやれば、なかなかの品です。

                径34㎝、高28㎝

 

必死で読みました。

            渡 江

 

             一 葦

 

           面 壁

 

             九 年

 

          鉄 哉 刻 花押

 

何とか読めました(^-^)

 

  「渡江一葦 面壁九年 鉄哉刻」

 

「渡江一葦」は、達磨が一葉の小舟に乘って、楊子江を渡ったという故事、

面壁九年」は、達磨が少林寺に籠もり、九年間壁に向かって座禅を組み、悟りを開いたという故事、

から来ています。

 

 加納鉄哉は、明治、大正に活躍した彫刻家です。フェノロサ、岡倉天心とともに、奈良の寺院などに所蔵されていた仏像を調査しました。その後、鉄筆彫刻や絵画などに、多くの作品を残しました。当時は、富岡鉄斎と並び称されるほどの人気作家で、彼の作品を求めて門前列をなしたと言われています。

 

 なるほど、この顔は達磨(だるま)。

                   

それにしても、こんな重い物を、どうやって、故玩館の軒下から、階段を降りて、向かいの小屋まで運んだのでしょうか。女性の力、あなどれません(^^;)

火事場の〇〇チカラ?

今の所、火の気はないんですけど(^.^)

 

火の気のないうちに、揚子江ならぬ中山道を渡って、マシな置き場所に、こっそりと運び上げました。

達磨の火鉢をめぐる狐とタヌキの化かし合い。

負けるが勝ちの心境には、なかなかなれません。

この場所で、座禅を組めば、悟りが開けるのでしょうか(^^;)

 

粗大ゴミ、それとも彫刻家の名品?使い道のない火鉢の綱引き、心理戦はまだまだ続きそうです(^.^)

 

 

ps.

先のブログルス釉瓶掛と同様、この達磨火鉢にも、底に分厚い板(4㎝)が付いています。よく見ると、底に穴を4カ所あけ、太い木ネジで止めてあります(写真2枚目)。大胆な加工ですね(^^;)

 

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