遅生の故玩館ブログ

中山道56番美江寺宿の古民家ミュージアム・故玩館(無料)です。徒然なる日々を、骨董、能楽、有機農業で語ります。

粗大ゴミから救出、加納鉄哉の火鉢

2019年12月11日 | 故玩館日記

収穫した里芋をダンボールに入れながら、ふと目を横にやると、どこかで見た物が置いてあるではありませんか。

ここは、何でもかんでも入れておく雑多小屋。その一角、粗大ゴミのコーナー(正確には、粗大ゴミに出す物の一時置場)です。

 

中には、落ち葉とセミの死骸まで(^^;)

 

外に出してやれば、なかなかの品です。

                径34㎝、高28㎝

 

必死で読みました。

            渡 江

 

             一 葦

 

           面 壁

 

             九 年

 

          鉄 哉 刻 花押

 

何とか読めました(^-^)

 

  「渡江一葦 面壁九年 鉄哉刻」

 

「渡江一葦」は、達磨が一葉の小舟に乘って、楊子江を渡ったという故事、

面壁九年」は、達磨が少林寺に籠もり、九年間壁に向かって座禅を組み、悟りを開いたという故事、

から来ています。

 

 加納鉄哉は、明治、大正に活躍した彫刻家です。フェノロサ、岡倉天心とともに、奈良の寺院などに所蔵されていた仏像を調査しました。その後、鉄筆彫刻や絵画などに、多くの作品を残しました。当時は、富岡鉄斎と並び称されるほどの人気作家で、彼の作品を求めて門前列をなしたと言われています。

 

 なるほど、この顔は達磨(だるま)。

                   

それにしても、こんな重い物を、どうやって、故玩館の軒下から、階段を降りて、向かいの小屋まで運んだのでしょうか。女性の力、あなどれません(^^;)

火事場の〇〇チカラ?

今の所、火の気はないんですけど(^.^)

 

火の気のないうちに、揚子江ならぬ中山道を渡って、マシな置き場所に、こっそりと運び上げました。

達磨の火鉢をめぐる狐とタヌキの化かし合い。

負けるが勝ちの心境には、なかなかなれません。

この場所で、座禅を組めば、悟りが開けるのでしょうか(^^;)

 

粗大ゴミ、それとも彫刻家の名品?使い道のない火鉢の綱引き、心理戦はまだまだ続きそうです(^.^)

 

 

ps.

先のブログルス釉瓶掛と同様、この達磨火鉢にも、底に分厚い板(4㎝)が付いています。よく見ると、底に穴を4カ所あけ、太い木ネジで止めてあります(写真2枚目)。大胆な加工ですね(^^;)

 

コメント (6)
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