真似屋南面堂はね~述而不作

まねやなんめんどう。創業(屋号命名)1993年頃。開店2008年。長年のサラリーマン生活に区切り。述べて作らず

特務艦隊 C・W・ニコル 村上博基

2021-10-25 | 読書-エッセイ/小説etc
文春文庫『特務艦隊』C・W・ニコル 村上博基 | 文庫

本作はふたりの海の男に捧げられていて、
①ウォルター・ニコル(1914年9月22日、英艦アブーキア被雷沈没時に犠牲に。21歳)
②池田武義(海軍少佐当時、特務艦隊の一員として駆逐艦桃艦長)
ということなのだが、
①はニコル家の縁者であろう。大伯父さんとかかな?
これだべ
Action of 22 September 1914 - Wikipedia
12,000 tの装甲巡洋艦はエジプトの地名に由来する艦名のようなので、普通日本語ではアブキール(Aboukir)になるのでは、と思う件。

②は、前作で著者および訳者の両方に助言したという池田武邦氏(建築設計界の大御所で元海軍大尉。海兵72期、軽巡矢矧生存者)の父君(海軍大佐、海兵32期)だわね。
桃 (桃型駆逐艦) - Wikipedia

『昭和二十年夏、僕は兵士だった』 (梯 久美子さん) 3/3 池田武邦さん - 真似屋南面堂はね~述而不作~リンク切れの嵐御免、だからゴメンってば

第一次世界大戦100年と日本 | テンミニッツTV
日本海軍の第二特務艦隊、地中海で奮戦す…その成果と教訓(山内昌之先生ご講演)

主人公の日本海軍情報士官の銛一三郎(特殊訓練を受けているうえ、秘密組織に属していて…)は、アレクサンドリアからマルセイユまでの兵員輸送船団(英連邦諸国から兵士を動員して西部戦線に送り込まないと戦線崩壊の危機。スエズ運河を抜けたところから担当)の情報がドイツ側に筒抜けになっている(ドイツに情報を売っているスパイが関係者にいる)のを遮断するべく、ドイツスパイの排除・無力化を担う。
まあ、ここは創作であり、日本のスーパーマン海軍士官が独スパイ排除に活躍したなんつーことがあったということにしたらすごかんべ・・・なのだろうが、独スパイ排除に努めた英国側の人間は、いたのだろうな。
それと協働した日本の士官とかも、居たとしてもおかしくはない。小説のようなスーパーマンだったかどうかは別の話ね。

日英同盟の絆が盛んに謳われる。この後、太平洋での米日対決必至とみていた米国の策謀によって日英同盟が終了して太平洋戦争での日・英米対決に至るのが辛い。
WWⅠ後の英の対日認識:日本は役に立つ。有難い。助かった。さすが。(でも調子に乗るなよ)
WWⅡ後:英捕虜虐待しやがって許せねぇ。英のアジアでの基盤消滅を決定的にしたのも許せん。
に簡単に切り替わってるのだよね。

日本海軍地中海遠征記―若き海軍主計中尉の見た第一次世界大戦で一躍有名になった片岡 覚太郎主計中尉(日本海軍地中海遠征記 若き海軍主計中尉の見た第一次世界大戦 片岡覚太郎 著 - 真似屋南面堂はね~述而不作)もしばしば登場する。
史実(何月何日に何々船団を護衛して○○から○○への航路にて、雷跡を発見したので駆逐艦〇〇と〇〇が潜航地点に突進して爆雷を投下云々)は史料からそのまま活用している感じ。
その合間には、実在した艦長たちや片岡 覚太郎主計中尉なども登場し、創作キャラクターたちと会話し、酒食を共にしたりもする。

公式記録に現れる以外の心情等を手記で書き残した片岡中将(主計士官の元祖で、やがて昇進してトップに昇る)には、特務艦隊に関して大いに参考にさせてもらったので(子孫とコンタクトはとれなかったが?)、作品中に登場させて敬意を表しておきたい…と考えた故かどうかはもうわからない(http://www.cwnicol.com/)が、献辞に記す以外に方法があると示された感じ。知らんけど

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