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アナウンサーの声が”ゆっくり、はっきり、聞き取りやすい”ユニバーサル・デザインのラジオが、高齢者を中心に売れているそうだ。日本ビクターが開発したこの商品は、2002年に初代を発売してから今年2月までで、合計1万台を突破した。2万円前後のラジオとしては、健闘している(商品の仕組みについては、下のリンクをご参照のこと)。
開発を担当したという同社の武石浩幸さんのコメントがまたいい。
「高齢の人にとってのラジオは友達のような存在。親に贈って喜ばれたという感想が嬉しい。いい音だけを目指していた時には味わえなかった感動があります。息長く続けたい。」
(2005年3月2日付朝日新聞朝刊31面より引用、ライター・仲宇佐ゆり氏)
この優しさに満ちた商品は、これまでの無機質な使い捨て商品群と異なり、様々な家庭で心温まるエピソードをつくるような、私にはそんな気がする。大量に生産された商品も、いったん『愛着』が生まれると、オンリーワンの商品に変身する。
話を本題に移そう。
日本はこれまで他国が経験をしたことのないスピードで、高齢化社会に向かっている。
社会生態学者で「マネジメントの神様」と呼ばれるP.F.ドラッカー氏も、経済の変化よりも注目しなければならないのは、社会の変化(若年人口の減少、労働力人口の多様化、製造業の変身、企業とトップマネジメントの機能・構造・形態の変容など)だと、様々なメディアを通じて警鐘を鳴らしている。
日本社会の人口構成は、ほぼ確実な予測ができるのだから、あらゆる産業は社会変化に応じた対策を採る必要がある。このことに気付かずに商売の不振に首をかしげていては、挽回の見込みはない。社会の変化、とりわけ高齢者の増加に注目し、マーケティングを軌道修正したい。
高齢者の話題でもう一つ。先月、祖父母の家に行った時の話。
久し振りに孫が来るのが嬉しくて、寿司の出前を取ってくれた。
92歳の祖父はまだ食欲も元気で一人前全部食べることができる。しかし、さすがに入れ歯の顎には、にぎり一貫をほおばることはできない。噛み切って食べるにしても、ご飯がボロボロとこぼれて綺麗に食べることができない。しまいに祖父は、フルーツナイフで寿司を切り始めた。
祖母も醤油を付ける前にお箸で半分にしているが、魚の筋などが邪魔して上手に切れない。
軍艦巻など海苔がしっかりしているものは、若い人でも噛み切るのは大変だ。
そこで、ふと思った。
「実はこういうところで困っている人、案外多いのではないだろうか?」
そして、
「もし、このお寿司が”手まり寿司”のサイズになったら…」
ひょっとしたら、お年寄り以外にも、上品にいただきたいという方からの需要があるかもしれない。長年寿司屋で修行を続けてきた板前には、今更握り方を変えるのには大変な抵抗があるに違いないが、もし『高齢者でも食べやすい一口サイズのお寿司』が増えたとしたら、消費者側の抵抗は案外少なく、喜んでくれる人も多いのではないだろうか。
ゆっくり、はっきり、聞き取りやすい高齢者に嬉しいラジオ(みんなの就職活動日記HPのNEWSより)
同ラジオの商品説明(日本ビクターHPより)
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