まちづくりはFeel-Do Work!考えるより感じよう、みずから動き、汗をかこう!(旧“まちづくり”便利帳)

まちづくりの支援者から当事者へ。立ち位置の変化に応じて、実践で培った学びの記録。もう一人の自分へのメッセージ。

◎『それでもなお、人を愛しなさい―人生の意味を見つけるための逆説の10カ条』

2004-12-08 23:57:00 | おすすめ書籍など
それでもなお、人を愛しなさい―人生の意味を見つけるための逆説の10カ条

早川書房

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ケント・M・キース著

知る人ぞ少ないですが、すごい本です。
少なくとも自分はこの本の影響で、人生が変わったように思います。
『第一章』は深く心に響きました。
ここに掲載された逆説の十ヶ条は、あのマザー・テレサも影響を受けたそうです。
周りに流され易い人や、後押しをして欲しい人、ぎりぎりのところで悩んでいる人、社会起業家にもオススメの一冊です。

    『第一章 おかしな世界』

 この世界が狂っているということをまず認める、そこから始めるのが最善です。この世界は全くどうかしています。
 環境汚染によって私たちは自分たちの首を絞めています。生態系は全て衰退しています。人口は地球がサポートできないようなスピードで増加の一途をたどっています。私たちは、まるで資源が永久に存続するかのように振るまい、資源を補おうとも、持続可能な未来を築こうともしていません。
 核軍縮は進んだものの、いまだに何万個という核弾頭が地球に存在しています。これは地球に存在する男性、女性、子ども全てを三回か四回殺すに十分な数です。わずか数百個の核弾頭が都会の頭上で爆発しただけでも、太陽光をさえぎり地上のあらゆる生命体を死に至らせるだけの暗雲が生まれるのですから。
 地球上の全ての人が十分なカロリーを得られるだけの食物が生産されています。しかし、毎年、何十万という人々が餓死し、十億人以上の人が深刻な栄養失調の状態にあります。
 何百万という人々が治療可能な病気にかかっています。推定では、7億人が回虫、十二指腸虫、鞭虫などの寄生虫に悩まされています。貧困にあえぐ国々は、ポリオやはしか、黄熱病などを予防するためのワクチンを買ったり、結核やハンセン氏病と闘うための薬を分配するだけの経済力がありません。貧しい国々の八千万の子どもの中で、ジフテリア、百日咳、破傷風に対して免疫性を持っているのは八百万に過ぎません。熱帯地域の国々では、二千五百万の人々が予防可能な病気が原因で失明していると推定されています。
 アメリカ合衆国は世界で最も豊かな国ですが、一千百万人以上の子どもは貧困線よりも低いレベルでの生活を余儀なくされています。貧困線よりも低いところで生活する五歳以下の子どもの数は、1980年から1990年にかけて23%の増加を見せました。
 未来は子どもにかかっていると私たちは口では言いますが、子どもとたくさんの時間を一緒に過ごすことはしません。親が子どもと意味のあるかかわりの中で過ごす時間は一日数分間ですが、子どもがテレビを見て過ごす時間は数時間になります。家庭でできないことを学校がやってくれることを期待していますが、学校の先生に払う給料はプロのスポーツ選手に払う報酬に比べたら雀の涙しかありません。毎年、卒業証書の字も読むことができない何十万人もの若者が高校を卒業しています。
 十代の若者たちを世の中から切り離し、学校という建物の中に隔離しています。若者にほとんど何の責任も持たせず、まして、彼らに何かを要求することなどありません。自分には能力がある、所属する場所があると感じさせてくれる大人の社会から切り離された彼らは、疎外感を味わい、帰属意識を与えてくれるギャングの仲間になろうとしたりします。1980年代、アメリカではのべ十三万五千人以上の子どもたちが銃を持って登校したと推定されています。その結果として学校での集団殺傷事件が起こると、アメリカ国民は悲しみに暮れるのです。
 アメリカは訴訟社会です。一年間に一億件もの訴訟が行われているのですから。これらの訴訟の中には、自分自身の行動に責任があると考えない個人によって起こされるものもあります。間違ったことをしたときですら、他人を訴え、そうして金持ちになることもあるのです。
 一方で、妻や夫を裏切った人、子どもを裏切った人、殺人を犯した人、窃盗を働いた人、麻薬をやっている人など、常軌を逸したことをしている人達が、テレビのトークショーのゲストになってテレビに出演します。中にはそのような体験を本にしたり、テレビや雑誌、映画などに話を売ったりして、莫大なお金を得ている人もいます。
 能力によって人を評価することを基準にした国を築きたいと私たちは思っています。しかし、実際には、何を知っているかよりも、誰を知っているかの方がより重要であることが多いのです。平等な社会を目指していると口では言いますが、人種的、民族的に少数派の人たちは平等を求めて戦ってこなければなりませんでしたし、平等はまだ達成されていません。
 これまで人類のために役立ってきた智恵から多くの人たちが逸脱しています。中にはすべてのことは相対的であり、主観的であるという結論を出している人もいて、どんなことにも意味はなく、人生は空虚で意味がないと不平を言います。
 確かに、この世界は狂っています。あなたにとってこの世界が意味をなさないと言うのなら、それはあなたの言うとおりです。この世界はまったく意味をなしていません。
 大切なことは、それについて不平を言うことではありません。希望を棄てることでもありません。それはこういうことです。世界は意味をなしていません。しかし、あなた自身は意味をなすことが可能なのです。あなた自身は一人の人間としての意味を発見できるのです。それがこの本のポイントです。これは、狂った世界の中にあって人間としての意味を見つけることについての本です。
 この世界は狂っていますが、あなたは狂っていません。だから、あなたは逆説の中に人間としての意味を見出すことができるでしょう。「逆説」とは皆が信じている意見とは対照的な考えであり、常識と矛盾しているようでありながら真実であるものです。私はここに、生きる意味を見つけるための逆説の十カ条を記します。
 この十カ条を受け入れることができれば、あなたは自由の身になるでしょう。この世界の狂気から自由になるということです。逆説の十カ条はあなた個人の独立宣言と言ってよいかもしれません。壁に貼って、あなたが自由であることを思い出すためのよすがにして下さい。これから死ぬまでの間、正しいと思うこと、良いと思うこと、真実であると思うことを、あなたにとってそれは意味があるというただそれだけの理由で、実行することは可能です。
 逆説の十カ条は病的でもなければ、悲観的でもありません。正しいこと、良いこと、真実であることを実行すれば。多くの場合その貢献に対して感謝されるでしょう。しかし、世の中の拍手喝采がなくとも人間としての意味を見出すことができるならば、あなたは自由な人です。他の人が感謝の気持ちを持とうが持つまいが、自分にとって意味があることを実行する自由が、あなたにはあるからです。本当の自分でいる自由があなたにはあります。本来あるべき自分になる自由が、あなたにはあります。他の人たちが見逃している意味を発見する自由があなたにはあります。その意味を発見した時、これまで体験したどんな幸せよりも深い幸せが見つかることでしょう。
 逆説の十カ条は生きる意味への呼び掛けです。狂った世界の中に人間としての意味を発見しようという呼び掛けです。本書で逆説の十カ条の意味を探求し、逆説的な人生を送る方法について語りたいと思います。

      ●逆説の十ヶ条●
1 人は不合理で、わからず屋で、わがままな存在だ。
  それでもなお、人を愛しなさい。
2 何か良いことをすれば、
  隠された利己的な動機があるはずだと人に責められるだろう。
  それでもなお、良いことをしなさい。
3 成功すれば、うその友だちと本物の敵を得ることになる。
  それでもなお、成功しなさい。
4 今日の善行は明日になれば忘れられてしまうだろう。
  それでもなお、良いことをしなさい。
5 正直で率直なあり方はあなたを無防備にするだろう。
  それでもなお、正直で率直なあなたでいなさい。
6 最大の考えをもった最も大きな男女は、
  最小の心をもった最も小さな男女によって撃ち落されるかもしれない。
  それでもなお、大きな考えをもちなさい。
7 人は弱者をひいきにはするが、勝者の後にしかついていない。
  それでもなお、弱者のために戦いなさい。
8 何年もかけて築いたものが一夜にして崩れ去るかもしれない。
  それでもなお、築きあげなさい。
9 人が本当に助けを必要としていても、
  実際に助けの手を差し伸べると攻撃されるかもしれない。
  それでもなお、人を助けなさい。
10 世界のために最善を尽くしても、
  その見返りにひどい仕打ちを受けるかもしれない。
  それでもなお、世界のために最善を尽くしなさい。
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3 コメント

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まだ読んでませんが・・・ (れお)
2004-12-23 01:35:31
まだ読んでませんが、この10箇条を見ると

それでも頑張らなきゃ!

なんて思ったりもします(^^ゞ
返信する
この本はいい (sin)
2007-08-13 20:38:02
色々悩み事がありましたがこの本を読んで、今自分が何を目標にしたら良いのか・・・生きる事の意味みたいな物が分かりました
返信する
トラックバックお願い致します。 (katintou)
2008-12-02 18:14:26
初めまして。この本の翻訳者の奥さんに大学で教わる機会があり、検索していたら偶然ここにたどり着きました。学生時代にも感銘を受けましたが、社会に出てからあらためて読んでみたいと思います。

逆説の10か条に関係のある日記を書く機会があったので、トラックバックさせていただきたいです。
不適切でしたらお教えくださいね。
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