神尾真由子&クルティシェフ@東京オペラシティ(2012.11.24)

2012-11-26 | ●コンサートに行きました
神尾真由子&ミロスラフ・クルティシェフのデュオリサイタルを聴きに
東京オペラシティへ行きました。
この日はオールベートーヴェンプログラム。

プログラム
ベートーヴェン/ヴァイオリンソナタ第7、8、9番
アンコール
モーツァルト/ヴァイオリンソナタ第28番K.304第2楽章
ラヴェル/ヴァイオリンソナタ ト長調第3楽章


・・・自分がベートーヴェンが苦手だから思うことなのかもしれないんですが、
ベートーヴェンはあまりこの2人には向かないんじゃないかな・・・。
クルティシェフのリズム感が独特なので、
ベートーヴェンのような、がっちり組上げられた曲だとかえってヴァイオリンは合わせにくいんじゃないだろうか。
神尾さんが自由に歌いきれてないように感じてしまった。
一日前のラヴェル・レスピーギ・フランクのプログラムの方が
ずっと生き生きしてたような気がする。
アンコールのラヴェルで一日前の彼らを思い出して嬉しくなってしまった。
けど、このベートーヴェンプログラムしか聴いてない人があのラヴェルを聴いて
ただの技術ひけらかしと感じてしまったとしたら、それはとても残念なことだと思いました。
なんでプログラムをベートーヴェンだけで固めちゃったのかなー(←それは言いすぎか…?)

とはいえ、クルティシェフのそのリズム感や推進力は堪能したし、
あと、音!
このツアーの中で多分一番響くホール&良いピアノでの公演(多分ね)なので
彼がどんな音を響かせてくれるのかとても楽しみにしていました。
音が空気に溶けて消えていくようで、とてもきれいだった。
プログラムが進むほど、そのきれいな音がもっと響くようになって…。
いいホールであるほど、いいピアノであるほどいい音が出せるって
やっぱり耳がいいんだな~~。
この音を聴いていたら、本当に、切実に、ソロを聴きたいと思ってしまった。


この日は会場にカメラが入ってました。
私としたことが詳細聞いてくるのを忘れてしまったんですが、
楽しみです~アンコールのラヴェルが入ってるといいな~。




Miroslav Kultyshev-Мирослав Култышев






神尾真由子&クルティシェフ@いちょうホール(2012.11.23)

2012-11-25 | ●コンサートに行きました
先週の11月23日、神尾真由子&ミロスラフ・クルティシェフのデュオリサイタルを聴きに
八王子のいちょうホールへ行きました。

プログラム
ラヴェル/ヴァイオリンソナタ ト長調
レスピーギ/ヴァイオリンソナタ ロ短調
フランク/ヴァイオリンソナタ イ長調
アンコール
モーツァルト/ヴァイオリンソナタ第28番K.304第2楽章
ヴィエニャフスキ/華麗なポロネーズop.4


この2人による2年前のツアーは
クルティシェフがショパンコンクール出場直後だったためか十分合わせ切れてないという印象で
それを「知り合ったばかりでまだお互いにいいなと思ってるだけの男の子と女の子♪」とかアホーな表現をしたのは私ですが(-_-;)
今回は、数年つきあってそれなりにケンカもしたけれどお互い理解しあって
もう何を言っても平気♪(音楽が、ですよ)という印象になりました。
丁々発止のやりとりとか、お互い呼応するような美しい部分とかがたくさん聴けて、
デュオならではの音楽を堪能できました。

いまいち響かないホールだったので、最初のラヴェルは楽器が鳴っていなかったのですが、
鳴り始めたな、いい音しだしたな、と思ったころにさしかかったのがちょうど第三楽章で、
ハイレベルの2人が遠慮なしにぶつかりあっていて
まさしく緊迫したヴァイオリンとピアノの掛け合いでした。

暗い、低いピアノの音から始まるレスピーギ。
クルティシェフは暗い音が本当に上手い。詩的。
その暗いところから明るい方を見上げると、静かで美しい神尾さんの音がある、というような。
第2楽章がとても美しかった。
私が神尾さんをいいなと思うのは、彼女の目指す音楽が感じられること。
もっと深いところへ行きたいと思っているのがはっきりわかる。
この日の演奏では特に弱音にそれが現れていて、無垢で、
クルティシェフのピアノばっかり聴いている私の耳にも気持ちよく入ってきました。

クルティシェフのピアノは、どの声部を聴いても全部に『歌』がある。
全部のメロディーを頭の中で歌ってるんじゃないだろうか。
あのポリフォニー感を目の前で聴くと本当にグラグラする。
そして常々、彼のペダリングは変わっていると思っていたので
足元を見てみた。
考え抜かれてる感じは全然しない(笑)。繊細に踏み変えてるわけでもない。
すごく直感的。
軽く跳躍したいときにちょんと踏んで、
大きく飛翔したいときにグーッと踏み込んでいるような気がする。
手は左脳、足は右脳に直結してるんだろうか。
おもしろいな~。


良いコンサートを聴いたときって
お酒を飲んだときに似て、音が体中をグルグル巡ってフワフワした感じがします。
この日の夜はずっとそんな感じでした。



Miroslav Kultyshev-Мирослав Култышев






カシオーリ@紀尾井ホール

2012-11-11 | ●コンサートに行きました
11月8日、ジャンルカ・カシオーリのリサイタルを聴きに
紀尾井ホールへ行きました。

プログラム
シューベルト/ピアノソナタ第4番
カシオーリ/3つの夜想曲
リスト/『伝説』より 水の上を歩く聖フランチェスコ
コッラ/夜想曲第4番『月の虹』
ドビュッシー/前奏曲集第1集より
西風の見たもの、亜麻色の髪の乙女、さえぎられたセレナード
沈める寺、パックの踊り、ミンストレル
ショパン/夜想曲第5番、スケルツォ第1番
アンコール
ドビュッシー/映像第2集より 「金色の魚」
ベートーヴェン/6つのバガテルより第1番
バッハ/無伴奏ヴァイオリン・ソナタ 二短調より第3楽章


会場入口で、カシオーリ自身による解説が配られました。
それによれば、このプログラムのテーマは
『「繰り返し循環するという特徴を持った」夜想曲』だそうです。
(↑ちょっとざっくり要約しすぎかもしれない(^_^;) 2ページに渡って濃厚に解説されてました)
『夜想曲』のテーマにふさわしく、
カシオーリの音は静かで、思慮深い。

でも私には、この静かな音がすごく中途半端聞こえてしまい。

深いところに連れて行ってもらうには深さが足りず、
真っ暗な地獄の底に連れて行ってもらうには闇が足りない。
(天国に連れて行ってくれる系ではないのはすぐわかったので
そちらには期待してなかったけど)
突き詰め方が8割くらいで止まってるように感じた。
これが「技巧的な名人芸を二次的なものにしたい」(解説より)と思った結果なんだろうか。

やたら遅いテンポのショパンのスケルツォだけは
速く弾かれると聞き取れない和声が聞こえてきて面白かった。
でも全体としてはやっぱり中途半端と思ってしまった。


演奏より解説の方がずっと雄弁だと思いました。
演奏の記憶より解説を保存しとこうと思ったのは初めてかもしれない…。