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大手電機メーカー8社後退の原因(2)

2017年06月24日 21時50分17秒 | 写真

1985年の通信自由化まで、日本の通信市場は日本電信電話公社による独占状態だった。現代社会で電話を使わない人などいない。つまり国民から税金を徴収するように、何兆円もの電話料金がNTTに集まる。そこから設備投資として、NTTを家長とした「電電ファミリー」であるNEC、富士通、日立製作所、東芝、沖電気工業に流れた。1990年代半ばには、その額は4兆円を超えた。NTTは絶対的な存在として通信機器メーカーの上に君臨したのだ。

■NTTドコモへの忠誠心が、“ガラパゴス化”という結果を招く

 NTTによる独占状態にあれば、当然「下請け」にあたる電電ファミリーは「NTTの言う通り」に通信機器を開発する癖がつく。イノベーションに挑むより、NTTのご機嫌を取っていた方が安泰だ。その体質が日本の中だけで特異な技術進化を遂げてしまい、世界に通用しないガラパゴス化を起こしてしまう。NTTには可愛がられたが、それと引き換えに自分の頭で考え、決断する能力を失った。そのツケは携帯電話の敗北となって現れる。

 NTTドコモは1999年、世界初のモバイル・インターネット・サービス「iモード」を開始した。iモードがモバイル・インターネットの世界基準になれば、ドコモ仕様の携帯電話を作っている電電ファミリーもまた、世界を制覇できるはずだった。しかし結果は惨敗。巨額の投資をしたドコモも電電ファミリーも経営を圧迫する結果に。NTTドコモへの忠誠心が裏目に出た。

 日本ではドコモなどの通信会社が顧客に端末を売る。メーカーは作った端末をすべて通信会社に買い取ってもらう。つまりメーカーにとって直接の顧客は通信会社であり、最終顧客である我々ではない。一方、利用者が自由に端末を選べる欧米では、メーカーが端末開発に全力を傾注し、最終顧客を奪い合う。半導体と同様、「偏執狂」だけしか生き残れない戦いが展開されていたのだ。「本業」に注力して競争力を失った日本は、外国の「偏執狂」に勝てるはずがなかった。