最前線の子育て論byはやし浩司(2)

子育て最前線で活躍する、お父さん、お母さんのためのBLOG

●年中児に長さを教えるbyはやし浩司

2012-01-24 08:47:58 | 日記
【受験競争は、子どもをつぶす&心をつぶす】

●受験競争の弊害について

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 受験戦争の害悪は、3つある。

(1) 心の破壊
(2) 学習の功利性
(3) 虐待性

 そのほかにも、
(4) 人間の優劣意識の増長
(5) 挫折によるトラウマ化
(6) 学習の受動化
(7) 知識の偏在化、などがある。

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●受験競争の弊害

 ここでは受験戦争の害悪について考えてみたい。

(1) 心の破壊

 受験競争を経験すると、子どもの心から温もりが消える。
高校生よりも中学生、中学生よりも小学生のほうが、影響を受けやすい。
受験塾の「夏の特訓教室」に参加しただけで、ガラリと人柄が変化することも珍しくない。
親は「やっと心構えができました」などと言って喜んでいるが、それ以上に大切なものを破壊されていることに気づいていない。

 子どもにとっても、不幸なことである。
ある中学2年生(男子)は、夏の間、東京にある母親の実家から、有名進学塾に通った。
(「有名」という言い方は、本当に不愉快だが……。)
で、1か月後に帰ってきたが、たしかに別人になっていた。
気取り始めたというか、仲間の中でも、「ぼくは別格」という意識を強く表に出すようになった。

 が、誤解がないように言っておく。
1か月程度、どこかの進学塾に通った程度で、学力があがるなどということは、ありえない。
絶対に、ありえない。
催眠術にでもかかったような状態にはなることはあるが、その程度。
よくカルト教団に入信した信者が、独特の優越感をもつことがある。
それに似ている。
他人の思想を注入してもらっただけで、自分が優秀になったと思い込んでしまう。
返す刀で、他人を下に見る。
そういうことはある。

(2) 学習の功利性

 「功利性」というのは、極端なばあい、「親のために勉強してやる」という意識をもつことをいう。
中には、「親がうるさいから、どこかの大学に入ってやる」と言い出す子どももいる。
さらに親が「勉強しろ」と言えば言うほど、親は、その責任を取らされる。
「100点、取ったから~~を買ってよこせ」と。
実際、親に向かって、こう言った子ども(高校1年男子)がいた。
「(学費の安い)公立高校へ入ってやったから、バイクを買ってよこせ」と。

 さらには、親が事業に行き詰まり、倒産したときのこと。
親が娘を呼んでこう言った。
「お金がないから、大学進学をあきらめてくれ」と。
その娘は、この言葉に、猛反発。
「親らしく責任を取れ」「借金でも何でもして、私を大学へ出すのは、親の義務!」と。

 勉強イコール、自分の利益と結びつける。
これを「功利性」という。

(3) 虐待性

 親は子どものためと思い、子どもに向かって、「勉強しろ」と言う。
その言葉自体は、日常会話的なもの。
が、同時に、無意識のうちにも、子どもを脅すことがある。
「こんな成績では、~~中学へは入れないわよ」
「あなたはダメになってしまうのよ」と。

 これはある塾教師が教えてくれた話である。
こう言った。
「ある母親は、子どもに近くの公園に住むホームレスの人たちを見せ、こう言ったという。
『あなたも勉強しなければ、ああなるのよ』と」と。
とんでもない母親ということになるが、子どもの受験競争には、そんな魔力もある。
人間としての常識を狂わす。

 恐怖と不安で、子どもを追いつめる。
その上で、「勉強しろ」と言えば、これはもう立派な、虐待である。

(4) 人間の優劣意識の増長

 勉強ができる子どもは、おかしなエリート意識をもつ。
明治以来の学歴主義という、亡霊が、いまだにのさばっている。
そのエリート意識が、子どもの心をゆがめる。
私の知人の中には、会社を退職し、70歳を過ぎても学歴を振りかざし、威張っている男がいる。
私に向かって、こう言った。

 「ぼくは、努力によって、ここまでの人間になりました」と。

 私たちの世界では、こういう人間を、「バカ」と呼ぶ。

(5) 挫折によるトラウマ化

 受験競争の恐ろしいところは、失敗したときにわかる。
(不合格イコール、「失敗」ということではないのだが……。)
それがトラウマになり、弱化の原理として働くようになることがある。
何をしても、ここ一番というときに、しりごみをしてしまう。

 だから私はいつもこう言う。
「子どもの受験勉強は、不合格になったときを考え、準備しなさい」と。
とくに小学受験や中学受験では、注意する。
この年齢の子どもには、その「失敗」を自己処理する能力は、まだない。
劣等感(コンプレックス)の種としてしまうことが多い。

 が、仮に不合格になったとしても、親がそれを笑ってすませば、子どもはそれをトラウマ化することはない。
子どもは親の様子を見て、「失敗した」ことを知る。
自信を失う。
それが弱化の原理として、子どもをうしろ向きに引っ張ってしまう。

(6) 学習の受動化

 ある東大生が、こう言ったという。
「答のない問題を、させないでほしい」と。
これは恩師の田丸謙二先生から、聞いた話である。

 あるとき田丸謙二先生が、1人の学生に何かの研究テーマ(問題)を与えた。
で、それについてその学生がこう聞いた。
「この問題には、答があるのですか」と。
それに答えて、田丸謙二先生が、「ありません」と言うと、先の言葉が返ってきたという。

 答のない問題しか、解かない。
だれかが用意した道しか、進まない。
学習の仕方が受動的になると、そうなってしまう。
子どもの受験勉強でも、だれかに指導してもらわないと勉強できなくなってしまう。
参考書を読み、それを頭の中に叩き込むことはうまくても、自分で道を切り開くことができなくなってしまう。
だからこう言う。

 「答のない問題を、させないでほしい」と。

(7) 知識の偏在化

 受験勉強で学ぶ範囲というのは、きわめて限られた範囲の「知識」でしかない。
ないことは、毎年大手の出版社から発刊される、「辞典」を見ればわかる。
私も数年前、それを調べてみた。
「イミダス」という辞典である。

 で、中学校や高校で学ぶ科目は、ドの程度のものか、その割合を調べてみた。
「イミダス」は、社会一般で使われている、広い「知識」を網羅している。
が、驚いたことに、理科、社会にしても、その数10分の1にもならなかった。

 が、受験生たちには、それがわからない。
受験教育で与えられる「知識」が、すべてと思い込んでしまう。
つまり極端化された一部の知識をもって、それが人間が生きていくために必要な、「全」知識と思い込んでしまう。
これはたいへん不幸なことでもある。

 反対にこういうこともある。

 私など文科系の大学を出たこともあるが、大学を卒業してからこのかた、実生活の中で、二次方程式はおろか、一次方程式すら、使ったことがない。
歴史の年号など、すべて忘れた。
国語にしても、この30年以上、直木賞受賞作品も、芥川賞受賞作品も、読んだことがない。

 が、この日本には、おかしな偏見が蔓延している。
学問のアカデミック性は、大切なことである。
それはよくわかるが、その一方で、「実用的なことを教えるのは、教育ではない」と。
アメリカでは、中学校の数学は、中古車の買い方から教える(プレンティス版「代数」)。
その中で、小切手の書き方も教える。
日本の教育と、指導の目的、内容そのものがちがう。

 が、受験生にはそれがわからない。
「合格するため」に、「学ぶ」。
「学ぶ」の語源は、「まねる」だそうだ。
そういう教育をもって、「教育」と思い込んでしまう。

 ついでに言えば、あの直木賞にせよ、芥川賞にせよ、そういった賞を取る作家というのは、「文章のために文章を書く作家」という印象を強くもっている。
先日も芥川賞の受賞作家がテレビで紹介された。
が、見るからに「?」。
まともでない。
私はその男を見たとき、「こんな男の書く文章など、読みたくもない」と思ってしまった。

●AO入試

 こうした受験競争の弊害をなくそうと、さまざまな努力がなされている。
AO入試と呼ばれる入試方法もそのひとつ。
が、『敵も然る者……』、その春には、予備校ではその対策講座が開かれる。
つまりイタチごっこ。

(AO入試については、何度も書いてきたので、今回は省略する。)


●終わりに

 受験競争は避けては通れない道かもしれない。
しかしここに書いてあることを知っているか、知っていないかだけでも、子どもの世界を見る目は変わるはず。

 何も考えず、一方的に子どもに受験競争を強いるような「愚」だけは、避けたい。

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Hiroshi Hayashi+++++++Jan. 2012++++++はやし浩司・林浩司

【ある母親からの相談】(YOUTUBE)

●やる気をなくした子どもを、どうすればよいか

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Hiroshi Hayashi+++++++Jan. 2012++++++はやし浩司・林浩司

【年中児に、長さを教える】


(1)
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(2)
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Hiroshi Hayashi+++++++Jan. 2012++++++はやし浩司・林浩司



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