ヘルスリサーチの方法論('13)
カリキュラム編成論('13)
臨床心理面接特論('13)―心理療法の世界―
障害児・障害者心理学特論('13)
日本の技術・政策・経営('13)
自治体ガバナンス('13)
環境工学('13)
美学・芸術学研究('13)
アフリカ世界の歴史と文化('13)-ヨーロッパ世界との関わり-
ことばとメディア('13)―情報伝達の系譜―
音楽・情報・脳('13)
ソフトウェア工学('13)
研究のためのICT 活用('13)
現代物理科学の論理と方法('13)
健康や保健医療に関する研究には、基盤となるアプローチがあるのと同時に、多様な研究方法が存在する。調査研究について大別すれば、量的研究や質的研究があり、またそれらを組み合わせた方法論的トライアンギュレーションも存在する。また、たとえば量的研究においても、介入的研究や質問紙による調査、WEB 調査なども存在する。本科目では、研究遂行のためのガイドとなるべく、健康や保健医療の研究のアプローチの基礎について概略を紹介し、一部の方法については具体的に言及する。保健・医療・看護・健康に関連する学生をコアターゲットとして考えているものの、福祉、生活、心理、教育、社会など、幅広い領域の学生も受講できるよう、また内容的にも各自の研究に十分役立つよう、工夫してある。
※他の生活健康科学プログラム関係の科目と並行して学ぶことが望ましい。
カリキュラム編成論('13)
本科目は、学校におけるカリキュラム編成の理論と方法について解説することをねらいとしている。理論面においては、歴史的考察をふまえながら、カリキュラム統合、編成法の類型、基盤におく学力観、学年発達等の視点について検討する。一方、方法面においては、学校を基盤としたカリキュラム開発に焦点をあてて、今日の学校が課題としているカリキュラム編成の方法について、実践事例を豊富に紹介しながら解説する。具体的には、習得・活用・探究の連携、言語活動の充実、総合的な学習の時間、教科横断的なカリキュラム編成、カリキュラム・マネジメント等の視点から考察する。さらに、海外のカリキュラム編成の最新動向についても実践的な解説を加える。
※教職科目「教育課程の意義及び編成の方法」に対応しているため、学校での実践事例を豊富に紹介して具体的な解説を行うので、理論と実践を関連付けながら理解することが望ましい。各回で紹介する参考文献については、できる限り読むようにすると理解を一層深められる。予備的知識は特に必要としないが、学校のミドルリーダーとしての当事者意識を持って臨むことによって、より実践的な知識を得ることができるようになっている。もちろん、若手教員や学校関係者以外の受講も歓迎する。
臨床心理面接特論('13)―心理療法の世界―
心理療法を行う臨床心理士には、外科手術のためのメスも、化学的に身体(脳)に働きかける薬も与えられていない。基本は、クライアントの心身が訴える声に耳を傾けること・セラピストの心身で受けとめること。しかし、この「心身が訴える声に耳を傾けつづけること」が如何に困難な営みであるか、そして、逆に、「一人の生きた人間(セラピスト)が、長期間にわたって耳を傾けつづける・受けとめつづけること」によって、クライアントの心身がゆっくりとではあるが、確実に「変容」の歩みを始めるものであることを、30 章(4単位)にわたって詳細に論じる予定である。
障害児・障害者心理学特論('13)
様々な障害のある人に臨床心理学的援助を提供するに当たって必要な基本的知識を全15 回にわたって講義する。各障害について理解するために、先ず、障害の概念(状態像)やアセスメントの方法について説明し、さらに、発達的視点からみた障害のもつ意味、社会的視点からみた障害のもつ意味について説明し、障害のある人の心理学的援助のあり方について講義する。
日本の技術・政策・経営('13)
日本は、科学・技術立国を国の経営方針として、科学・技術により産業を振興し、国民生活の向上を図ろうとしている。国の政策は、どのような分野を推進し、それに関して基礎科学や基盤技術が、大学や産業においてどのように整備されていくのか、その現状を知るとともにその課題を考える。この科目は、日本の産業技術の歴史と現状からこれからの技術のための政策とそれを実現するための経営について、大学院で研究する上での手がかりを提供するものである。そこでは、科学・技術政策と産業の重点分野の動向及び研究開発支援体制を主に、政策から推進体制さらにその成果までを総括的に扱う。
自治体ガバナンス('13)
分権改革後の自治体は、自治体運営(ガバナンス)の主体としての責任がますます大きくなりつつある。他方で、財政悪化という条件の下で自治体の取り得る政策選択肢も無制限ではない。こうした状況にあって、自治体がいかなる住民サービスをどの程度提供するか、その政策システムを構築するかは、自治体の政策当局のガバナンスの課題である。政治学・行政学の研究成果を活かしつつ、現場の実験的試みも紹介しながら、この主題に取り組む。
※自治体の直面する諸課題について、性急な回答やノウハウを求めることよりも、理論的・歴史的な考察を踏まえつつ検討することが望まれる。その意味では、学部の政治学・行政学関係の諸科目を履修していることが望ましい。
環境工学('13)
[自然環境科学プログラムと共通]
環境工学は、環境問題の解決手法開発の学問である。環境問題そのものは、過去半世紀の間に大きく変化し、従ってその問題解決のための考え方も変化し、従来の工学という枠にとどまらず、理学、農学、医学のような理系学問のみならず、社会学、経済学、法学のような人文系の学問も含めた総合的な解決策が求められるようになってきた。この意味では、環境工学には単なる個別の技術開発のみではなく、望ましい環境像を実現するための総合的なシステムの確立までもが求められている。本講義では、環境問題の認識方法から始まり、現在重要と思われているいくつかの分野における最先端の研究がどのように行われているか紹介し、総合的な見方を身につける助けとしたい。
美学・芸術学研究('13)
美学は、美とは何か、を考える学であり、芸術学は、芸術とは何か、を考える学である。美は、芸術に限らず、自然にも存在している。本講義は、自然美にも言及するが、考察の主体を芸術美におき、芸術が、文化の総体と深く豊かに関わっていることを、具体的芸術作品に即しながら、詳しく考察する。前半においては、全体に亘る体系的な考察を行い、後半においては、世界史上初の本格的美術批評家であったディドロの美学・芸術学の深く豊かな意義を明らかにしてゆきたい。
※本講義は、1997年より開講された学部講義「芸術の古典と現代」と、前半において、重複している部分があるが、この講義は、大学院が設置されていなかった時代に開講された講義であり、内容的には、大学院に相当するレベルのものを多く含んでいた講義であった。もちろん、本講義は、この学部講義と異なるものを多く含んでおり、また、重複部分においても、多くの改訂・増補がなされている。かつての「芸術の古典と現代」を受講された方は、この点に留意されて本講義を受講して戴きたい。
※関連科目
学部「芸術史と芸術理論('10)」、「社会の中の芸術('10)」、「舞台芸術への招待('11)」
アフリカ世界の歴史と文化('13)-ヨーロッパ世界との関わり-
この科目は地域文化研究III を引き継ぐもので、前回ヨーロッパの歴史と文化という枠組みのなかで「旅」をキーワードとして考える科目であったが、今回は「ヨーロッパとアフリカ」という視点から、古代ギリシア・ローマの時代から現代まで、ヨーロッパとアフリカとの関係をさまざまなテーマで考えていきたい。地中海を挟んでヨーロッパとアフリカは古来、密接な関係を築いてきた。近代にはその関係が一方的な支配・被支配、奴隷制の展開、植民地化といった不幸な関係に変質していった。それぞれの時代にヨーロッパがアフリカをどう見ていたか、またアフリカがヨーロッパに対してどう関わってきたかを歴史学、文学、人類学などさまざまな分野の学問を動員して考察する。
※関連科目
学部「地中海世界の歴史(’ 09)」、「ヨーロッパの歴史と文化(’ 09)」
ことばとメディア('13)―情報伝達の系譜―
ヒトは、ことばによるやり取りに、様々なメディアを用いることで、その範囲を拡大・多様化してきただけでなく、本質的な変革を多岐にわたって成し遂げてきた。
ヒトが用いてきた、そして今用いている様々なメディアの実際例を取り上げ、それを、ことばによるやり取りという観点から分析・解説し、メディアとことばの関係を示すことによって、ヒトとヒトとの間の伝達の様々な容体の本質を考え、ことばによって支えられてきた、社会や文化の一端を考える手がかりを提供する。
※「メディア」という言葉が科目名に入っているが、マス・コミュニケーションを中心的に扱う科目ではなく、様々な媒体(=メディア)とことばの関係を扱う科目である。
音楽・情報・脳('13)
情報学の進展は、音楽をはじめとする文化的事象を、科学的な研究の対象とすることを可能にした。とくに脳科学と連携したその成果は大きく、「音楽とは何か」といった本質的な問題を考察する新しい材料が多出している。そこで、この講義では、最先端の情報学と脳科学を応用して、音楽に対する情報学ならではのアプローチの成果を学ぶ。主任講師らがこれまで蓄積してきた音響映像資料を多用し、一部スタジオでの実演を取り入れ、体験性情報を重視した講義とする。
ソフトウェア工学('13)
今や情報システムは、電気・ガス・水道から交通システム、通信システム、あるいは経済関係の活動まで、ありとあらゆるものを支えるものとなっているが、その本質は、情報処理機械、すなわちコンピュータの中で稼動しているソフトウェアが担っている。ここでソフトウェアは一種の抽象概念であり、目に見えるものではないために、その存在は、その作成や運用に携わっている人々以外にはほとんど意識されることがない。ましてやその複雑さや構築の困難さに思いが及ぶこともないのが実情である。本科目では、このように特殊な存在であるソフトウェアをどのように作ればよいかという問題と対峙している「ソフトウェア工学」について学ぶ。
まず最初にソフトウェアの作成が「工学」を必要とする程に難しいタスクであることを学んだ後、ソフトウェア工学の概要をその発展の様子を含めて理解する。
情報学プログラムの学生を主なターゲットとするが、ソフトウェアやソフトウェア工学に関心を寄せる他コース・プログラムの学生も興味をもって理解できるように、先端的な内容も含めて平易に解説する。
研究のためのICT 活用('13)
大学(院)の研究において、インターネット等の情報通信技術(ICT: Information Communication Technology)を活用することは必須の時代になっている。本科目では、情報学分野を中心に、研究の方法論を講ずる中で、研究のプロセスのさまざまな場面で役立つ情報通信技術を紹介する。研究とは何か?研究方法論とは何か?ということを絶えず意識しながら、各種の技術やツールの意味について考察を加えたい。
※関連科目
「デジタル情報の処理と認識('12)」、「情報機器利用者の調査法('12)」
現代物理科学の論理と方法('13)
物理学は、物質と時空を研究対象として、普遍的な法則性の理解を深めてきた。その過程で、特定の研究対象だけに限らず、対象の空間・時間スケールを超えて異なるスケールで有効な様々な物の見方(論理)や方法論が発展した。本科目では、従来の科目の一般的分類にとらわれずに、広い範囲で有効性を持つ物理科学の基礎的な考え方・方法論とその具体的応用に焦点を当て、物理科学の基礎としての現代物理学の神髄について最先端の成果や将来の展望も含めて、大学院科目ではあるが、初学者が入門しやすいように工夫した講義を行う。
※物理学全般について、放送大学学部共通科目の「物理の世界」程度以上の理解があることを最低限の前提とする。放送大学学部専門科目、「力と運動の物理」、「現代物理」等を履修したのと同等レベル以上の知識や運用力があるのが望ましい。