板東しょうごの「ふるさと三木に帰れる町に!」

一度三木から離れた若者が、ふるさとに帰ろうとしても、仕事がないから帰れない。若者がふるさと三木に帰ってこれる町にしたい!

両備グループ小嶋社長の「地域公共交通再生の実現へ向けて」その1

2014-05-13 06:00:45 | 生活相談

両備グループ代表兼CEOの小嶋光信社長が2013年11月12日(火)に衆議院議院国土交通委員会での交通政策基本法の審議にあたり、公共交通事業者の参考人として地域公共交通の今後の在り方を陳述しています。

 

公共交通を考える上で非常に大事な意見だと思うのでご紹介するとともに私の思うところを書きます。

「地域公共交通再生の実現へ向けて ~ 交通政策基本法の必要性」ということ両備グループのホームページに小嶋社長の陳述内容が掲載されています。

 


 

先進国で公共交通を民間に任せっきりなのは日本だけ

 

 まず、小嶋社長は先進国の公共交通の状況について述べています。三木市でも、確実に意識したかどうかは別にしてマイカーを増やす施策をこれまでしてきたと思います。

小嶋:

 先進国で公共交通を民間に任せ切った国は日本一国しかない。

ヨーロッパは道路を造って、マイカーを増やす施策をとれば公共交通の顧客の半分以上がマイカーに移行し公共交通の経営が出来なくなることを知っていた。

アメリカ型のマイカー社会は交通弱者(子ども、高齢者、経済的に運転できない人など)の交通問題を招くとし、フランスなどを中心に国民に等しく交通を保障する権利「交通権」という概念が生み出された。

交通権を保障する手段として「公設民営」という方法が一般的にとられ、上下分離により行政と民間の役割分担が行われている。

 

地方公共交通のビジネスモデルの方程式

 

次に、地方において、マイカー普及により公共交通事業者が事業として成り立っていない理由について述べています。

小嶋:

 マイカー普及前に売上100-経費90=経常利益10であっても、マイカー時代の到来後、乗客の減少等で売上が半分(売上50)となったからと言って、必要経費は変わらず(経費90)、赤字(経常利益 -40)となるため、必然的に経営悪化になる。

 

 

地方財源の欠乏で、地域公共交通は存続の危機

 

 その上で、国の規制緩和、補助金削減により地域公共交通が危機であることを述べています。マイカー普及と規制緩和、補助金削減と公共交通がなぜ経営がやっていけないのかについて考えさせられます。

小嶋:

 規制緩和で地方の路線バスは、ほとんど赤字路線の補助金が減少し、バス路線や事業の撤退が自由になる。また費用対効果の概念導入で、赤字路線の減少が加速し、公共交通企業の倒産を招いた。

また、赤字路線維持のために始めた高速バスも、違法ツアーバスや、高速道1000円政策等で収益力を失う。

 

公共交通衰退の理由

 

 小嶋社長は非常にシンプルに公共交通衰退の理由をまとめておられます。

③の補助金行政の副作用部分が一般的に問題を指摘されている部分だと思います。小嶋社長が「副作用」と表現しているように補助金そのものが悪いのではなく、その副作用をどうコントロールするかが問題なのだと思います。

⑤で費用対効果の話が出てきますが、三木市の直通バスやコミニティバスの問題でも費用対効果の話が出てきます。公共的事業の非能率、非効率の是正はしなくてはならないが、誤った費用対効果の概念導入が問題であると指摘しています。

小嶋:

一般的に、公共交通衰退の理由は、

① マイカー時代の到来で利用者の50~60%の顧客を喪失

② 地方都市のスプロール化⇒交通渋滞が慢性化⇒路線バスの定時性喪失⇒マイカー増加

③ 補助金行政の副作用
ア)経営不在を助長する結果
 コスト削減⇒補助金減少。誤った経営感覚、経営改善努力がなされない
イ)顧客不在の自滅的な労使不仲を助長する結果

 スト⇒顧客減少⇒業績悪化⇒逆に補助金増加or運賃値上げ⇒顧客減少⇒業績が悪化⇒補助金増加

「負のサイクル」

④ 規制緩和が衰退に拍車
 衰退産業の規制緩和は過当競争を生む。

 参入の緩和⇒供給過剰⇒不当廉売⇒労働者の賃金低下⇒労働の質低下⇒事故多発⇒安全・安心の喪失

 

【規制緩和の幻想】… 規制緩和は、供給が需要よりも少ない産業で行うべき。供給過多の産業で規制緩和をすると、過当競争で、供給過多の産業には致命傷となる ⇒ 現実にタクシー(業界)や観光バス(業界)は滅びる寸前。

 

⑤ 公共への誤った費用対効果の概念導入

 公共事業に費用対効果の概念が持ち込まれると、儲からない路線やバス事業はやめれば良いという理屈になる。路線廃止や事業縮小・廃止が地方で加速した。公共的事業の非能率、非効率の是正はしなくてはならないが、誤った費用対効果の概念導入により、地方では、全ての公共事業を廃止・縮小しなくてはならなくなる。

本来、公共交通は、儲からなくても住民に保障すべき移動手段である。


 

陳述はまだ続きますが、今回はこの辺にしておきます。

この後、小嶋社長の取組んだ内容、今後の地域公共交通の在り方、交通政策基本法への流れ等について述べれらています。

 

コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

里山資本主義の藻谷浩介氏が三木で講演

2014-05-12 10:08:08 | お知らせ

粟生線の未来を考える市民の会ではこの度、シンポジウムを開催することになりました。 
その名も「里山と粟生線を活かしたまちづくりシンポジウム」! 

http://kokucheese.com/event/index/173886/

基調講演では、「デフレの正体」や「里山資本主義」の著書でも有名な藻谷浩介氏に登壇していただきます。 

「里山資本主義」って何という方はコチラ

また、「地方鉄道から見る粟生線を活かしたまちづくり」をテーマにしたシンポジウムでは、「鉄道復権―自動車社会からの「大逆流」―」や 「路面電車ルネッサンス」の著書でもお馴染みの宇都宮浄人氏をコーディネーターに、 万葉線の再生を経て、ひたちなか海浜鉄道の活性化に尽力されている吉田千秋氏、 「まちと電車を元気にしたい」と阪堺電車を中心に活動されているRACDA大阪・堺の福井隆一郎氏などが登場します。

日  程 6月15日(日)

時  間 開場 12:30

     開始 13:00~15:30

場  所 三木市立市民活動センター3階 大会議室

      (673-0403 兵庫県三木市末広1丁目6−46)

参加費 無料

※事前申し込みが必要です

申込方法はこちらをクリック

なお、当日午前中(10:00~)に粟生線の未来を考える市民の会総会も1階多目的室にて行います。

 





コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

二宮厚美神戸大学名誉教授の講演を聞いて - その3(分権化)

2014-05-06 19:10:02 | 研修会など

 法人税や所得税を上げるとグローバル社会では企業や富裕層が海外に逃げていくという議論があります。

二宮先生の、国公労連のインタビューでの議論です。

高い税金だから逃げていくという理屈の前に低い税金でも逃げていく企業は逃げる

企業が立地する、投資するのは海外の市場で儲かると判断するからである。

また、多国政企業(グローバル企業)にとって母国の力は必要であり、例えばテロの危険性、財産の没収、不当な訴訟に対して守ってくれるのは進出相手国ではなく日本企業なら日本国であり、多国籍企業は無国籍ではありえない

それでも、出ていくような愛国心のない企業はほっておいたらいい。

 

 私にとって、グローバル企業が母国を必要とするという議論は初めて聞く話で合点がいきました。

また、「愛国心のない企業」の話はいつも思っていることであり、そんな企業に国が気を使わなければならないというあり方絶対おかしいと思っています。

 

 さて、グローバル社会では、法人税や所得税を下げなければ国際競争力が低下してしまうという理屈で法人税を下げて、消費税を基幹税化し税の在り方が垂直型再分配(累進課税等)から水平型再分配が税の在り方に変って行くという話を以前しました。

二宮先生は、消費税以外にも今の分権化の議論の中にも水平型再分配に移行する仕掛けあることを指摘しています。


 その前に、現在、集権vs分権という構図で議論がなされています。以前は革新と言われる我々が地方分権を主張して来ました。

主張してきた私たちがいま分権にどちらかと言うと反対の論陣を張っています。

どうなっているのか、私も説明出来なくていました。

分かりやすい引用がありましたのでご紹介します。これは、一橋大学名誉教授の渡辺治先生の講義(第9期とちぎ自治講座(2012.2.4))の一部分(※P10の下から4段目から)を抜粋したものです。

 

例えば、ここで美濃部さんが登場したとしますと、確かに財源は乏しいけれども東京都の福祉や医療、介護、教育というものに対してその自由な条例の基準を使って国のミニマム基準をもっと上げることができるわけです。

東京都は当時自主財源でもって老人医療費の無料化をやったわけです。

国は怒りました。今と逆です。

ナショナルミニマム基準を下げるために地方自治体が努力をするんではなくて、当時の美濃部都政はナショナルミニマム基準がないあるいは低すぎるということで、自治体の権限を使いながら上乗せあるいは横出しという形で行ったわけです。

※美濃部=元東京都知事の革新知事

 

これまで、国がナショナルミニマム(※国が国民に対して保障する生活の最低限度のこと)基準を引き上げる努力をすべきことを地方自治体が代わりに行う為に分権を主張していました。

それが、今は国のナショナルミニマム基準を引き下げ、または地方自治体に丸投げすることに問題ありとしています。

 

 二宮先生は、今の税制について、国は「応能負担型」垂直型再分配の税収にもとづいているが、地方自治体の住民税は「応益負担型」水平型再分配機能の色合いが強い。

たとえば、生活保護など典型的な「垂直型所得再分配」で、生存権がかかっているから、全国の統一した行政がやらないとダメ。

地方自治体の運営は主に住民全体が負担して、住民全体、地域全体が利益を受ける。

そうした国と地方の役割の違いがあることを指摘します。

 

 しかし、分権化の議論が進むと税の在り方についても、国の責任を地方に押し付けていくと、地方税中心の税制になります。

すると応益負担型税制で対応することになり、ますますナショナルミニマムを守ることが出来なくなります。

 

 だから基礎自治体を合併して一定程度の規模が必要だという議論もあるようです。

しかし、根本はナショナルミニマムは国が責任を負うべきであり、「応能負担型」垂直型再分配の税収を基本とした税制度を手放さないことだと思います。

 

 

 

 最後に、二宮先生の議論を聞いて自分なりにまとめようと試みましたが、基礎学習の不足による中途半端、思い込みで十分まとめきれませんでした。

今後、もっと勉強していきたいと思います。

 

 

コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

二宮厚美神戸大学名誉教授の講演を聞いて - その2(財政の在り方)

2014-05-04 14:37:49 | 研修会など

前回は、社会保障を国民の権利として、国の責任で持って保障しなければならないというはなしを書きました。

二宮先生の話はそのあと、分権化の話をされたのですが、その前に社会保障の財源はどう考えるのかという話になると思います。


国家公務員一般労働組合が二宮先生にインタビューをされておりその内容がユーチューブBLOGOSの記事になっています。

財源の前に財政の話を少しします。

 

 行政の財政を考える上で、「量出制入」(支出額を決定して収入を考える)はこれまで基本でした。

一方で、一般企業や家計の考え方は「量入制出」(収入額を決定して支出を考える)です。

しかし、財政再建を議論すると行政機関でも「量入制出」を基本に考える傾向があるようです。

 

 では、財政赤字の原因は「社会保障費の増加」だ言われます。

高齢化社会等による自然増があることは確かでしょう。

しかし、構造改革が原因で貧困が広がる中で社会保障費が増加していることを指摘しています。

 

 また、それ以上に税収が減っていることが問題だと言っています。

(※下のグラフは財務省のHPから参照です。資料は板東が調べた内容で、二宮先生がこの資料を参照した訳ではありません。)

http://www.mof.go.jp/tax_policy/publication/brochure/zeisei/04.htm

 『※平成3年(1991年)の4つの税収が50.9兆円なのに対して、平成22年(2010年)は33.3兆円です。平成2年(1990年)10月にバブル経済が破綻し20年スパンでみると所得税、法人税は右肩下がりだと言えるでしょう。一方で、消費税は税率が3%から5%と上がることで20年スパンでは右肩上がりだと言えます。』

 

 税収が少ない原因を①課税ベースになる所得が伸びていない②新自由主義的税制改革で税制そのものが空洞化してしまったことを指摘しています。

 

※新自由主義的税制改革=法人税・所得税を減税し、消費税を増やして基幹税化すること。

 

これからの超高齢化社会に対応するために増税はやむなしとしています。 しかし、その財源を消費税に依拠することには問題ありとしています。

 消費税が基幹税になると水平型再分配となり、所得の再分配が行われなくなるからです。

社会保障を国民の権利として国の責任で保障させるという立場に立つと垂直型再分配の機能を持った税制となります。

基幹税として法人税・所得税を国税として位置付けるべきだと考えます。

 

 この議論になると新自由主義者からは法人税や所得税を上げると企業や富裕層が海外に出ていくと言われます。

この点について二宮先生は分権化の問題と一緒に議論しています。この点は次回にしたいと思います。

 

 

 

 

 

 

コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする