質疑2の危険木の伐採事業について
Q:ナラ枯れとはどのようなものなのか
A:ナラ枯れは、カシノナガキクイムシが病原菌、ナラ菌を運ぶことによってナラ類、シイ、カシ類等の樹木が枯れる伝染病。県内では平成18年度までは但馬地方のみだったものが、次第に南下し、平成28年度以降は阪神地域、播磨淡地域に被害が拡大している。
Q:三木市内のナラ枯れの状況
A:平成29年にナラ枯れ発生。その後市内全域で点在して発生。令和2年度から県立三木山森林公園、三木ホースランドパーク、あじさいフローラ三木の公園内で集中発生。
Q:各事業の予算算出根拠について
A:あじさいフローラ三木及び三木ホースランドパークの金額は兵庫県の森林病害虫等防除事業における標準単価を基に算出。危険木1本当たりの単価は、木の伐採、破砕、運搬、根株部分の薫蒸に係る費用として20万円を計上。
県の文化財指定の伽耶院開山堂の北側の斜面地に植生する2本のナラの木の撤去作業は、対象木が急傾斜地にあり伽耶院開山堂に落下しないように固定をした上での高所作業となる。
山林整備や倒木処理の専門業者の見積りを参考に算出。2本の木の伐採撤去に係る費用は59万3,000円。今回の伐採事業は文化財保護を目的としたもので、県の補助対象。総事業費の県1/3市1/3、事業者1/3の負担。市負担額19万7,000円を計上。
Q:今後の防止対策
A:ナラ枯れ被害は既に全国で蔓延しており、伝染拡大を防ぐことは困難と認識。また、ほとんどが発生後5年から10年で収束しているため、市は感染予防対策を講じるのではなく、落枝や倒木による人的被害が発生しないよう対策を講じる。
2回目以降
Q:ナラ枯れの調査方法は?
A:ナラ枯れを起こしますと大体7月頃から葉が赤茶色に変色する特徴があり、枯れた木を発見しやすいことから、市内全域を車や徒歩で移動しながら目視による方法でナラ枯れの発生状況を確認し、人家裏や人の立入りの多い場所など人への被害を及ぼしそうな被害場所の有無や被害が集中して発生している箇所を記録し、県に報告。
Q:他市では空中から見たりしているが、今のところそこまで被害が広がってないのでしてないという理解でよいか。
A:県内ではナラ枯れ被害の重点対策を行う市町に対して県事業でナラ枯れの被害対策を行っているが、三木市はまだ被害の程度が県事業の対象になっていない。しかし、枯れた木の倒木などによる被害を未然に防止するため、今後は市内で発生状況に応じて他市の状況を参考に調査内容と事業の検討を行う。
Q:土砂災害のおそれも考えられるがどのように考えているか。
A:県の対策は、①不特定の県民が入る森林、②保安林や保安林と一体となった斜面にある森林のうち防災機能等の高度発揮が求められる森林、③地域資源として良好な自然環境や景観を有する森林。今三木市はこの①②に対する県の優先順位として防災機能を高度に発揮される森林はないという判断。
Q:民有地のナラ枯れも考えられる。伽耶院は国の文化財で補助が出てるが、そうじゃないところについては補助があるのか?国、県の補助がなければ、市の補助を考えているのか?
A:県の基準はある程度の量がないと人への被害も対象の市とはならない。三木は県事業の対象にならない。倒木等の被害を防ぐ市独自の施策は今後の市内の発生状況と、他市の状況も参考にし、事業検討する。
Q:市の歳入で森林環境譲与税がある。他市ではナラ枯れの問題に活用している。今回の予算は使われるのか。使ってなければ、使わない理由は。
A:令和3年度の森林環境譲与税の額はまだ確定していない。今後森林状況を見ながら、ナラ枯れ事業にも積極的に活用していきたい。
A:あじさいフローラ三木には、国有林で、森林贈与税を国有林に対しては使えない。
Q:ナラ枯れの木の活用方法は。
A:ナラ枯れを起こした木は細かくチップにして、そのまま燃やすのが一応原則になっている。ナラ枯れのカシノナガキクイムシの活動は、6―9月に羽化して飛んで行くので、逆に伐採した木を動かすのも6―9月の間は動かしていけないと林野庁からの指導がある。普通のチップより小さいサイズ、大体4ミリとか6ミリぐらいまで小さくする。ある程度細かい裁断をし、処理をしたものは使える場合がある。
板東
以前は里山に生えていたナラの木は老齢化する前に伐採して資源として活用されてきた。今里山に人が入らなくなったので、ナラの木が老齢化して、そこに虫が入り被害が広がっていると言われている。里山保全が大事だと思う。土砂災害の観点からも、ナラ枯れの木をほっておくとその木の周辺に翌年また広がるので、本来であれば枯れた木は伐採すべきと思う。私もまだ勉強不足で、専門家の御意見も聞いて必要性を検討してほしい。神戸大学の黒田慶子先生はナラ枯れの第一人者で、全国の対策の一つの柱となっている。その方が「放置したら感染被害は広がる伝染病という認識が薄く行政の担当者が防除に消極的となる傾向があると」指摘している。今回の兵庫県や三木市の対応がそれに当たるのか、私には今現時点では判断できないが、気になるところ。
土砂の災害予防の観点から、里山を管理することが必要。里山の管理は、イノシシの問題もある。三木市にはボランティア団体が数団体ある。そういう団体を育成していくことが今後必要になる。