闘え!文庫魂

空手を愛する熱い仲間たち
金沢文庫木元道場生におくるメッセージ

第52回全日本のご報告と新時間割について

2020年11月23日 | お知らせ
2020.11.23.MON.
先生から文庫道場の皆様へ
第52回全日本大会が終わりました。3人の選手達の熱き戦いの結果は充分に満足のいくものではありませんでしたが、それでも紛れもなく、まさに命がけの稽古を耐え抜き、成長した姿がそこにはありました。そして何よりその結果を受け止め、かつ前に進もうとする気持ちを持つことができ、大会出場に際し応援してくれた人々への感謝の言葉を聞いた時、
「この子達はもっともっと強くなれる。」
と確信しました。何故ならその中の何か一つでも欠ければ今以上に強くなることはできないからです。
 
 大会初日は入場口の抗体検査から始まりました。
時間差集合の為、手島海咲選手と検査にかかったのですが、これが大変でした。指先に針を刺し、少量の血を採って検査をするのですが、海咲選手の指から中々血が出ません。指を変えたり揉んだリしても出ず、都合4回針を刺しました。担当してくれた方も根気よく付き合ってくれたのですが、これには頭を抱えてしまいました。そこで最後に私が歯磨き粉を絞り出す要領でギューっとやったらやっと血がでました。結果は「抗体無し(陰性)」。後から来た梅澤彩音選手、手島一翔選手の両名と私も「抗体無し(陰性)」で胸を撫で下ろしました。私が「抗体あり」だった場合会場には入れませんので、潔くホテルに戻るつもりでした。しかし、「抗体あり」即ちコロナに罹った状態で指導をしていた可能性があるわけで、稽古生や保護者の方々に報告の上、謝罪と何かご迷惑をおかけしていないか確認する必要があります。それで「抗体無し」の線が出るように「頼むーっ。」と思わず心の中で手を合わせたのでした。
 検温、手の消毒を済ませて入場できたのですが、会場内の密を防ぐ為一度退出せねばならず、アップを含めた試合進行に合わせて再入場の時間を指定されるという徹底ぶりでした。2回戦からの試合となった3名ですが、彩音選手と海咲選手は1時間程度の待ち時間でしたが、一翔選手はそこからもう1時間外で待たざるを得ませんでした。しかし、選手達は黙って指示に従ってくれました。
 小井事務局や高野さんをはじめスタッフの皆さんが、孰考に熟考を重ね考えたスケジュールを丁寧にわかりやすく選手やセコンドに伝え、リスクを考慮しつつ、状況に応じて選手ファーストに可能な対応を織り込んでくれました。なんと優秀で、なんと愛情ある方々だと改めて感動しました。
 地階のメインアリーナは試合場と支部長スタッフの席と通路でほぼスペースが埋まるぐらいの広さでした。中で待機できるのは3試合前からで再度手の消毒を行います。無観客であるとはいえ、試合の緊張感はいつも通りですし、観客の声がない分、選手の手足が相手の体を打つ音が場内に響き、改めてフルコンタクトルールでの試合の激しさ、過酷さを思い知らされました。手島海咲選手が宮野道場の大木苑選手に判定勝ちを収めた後、彩音選手が多くのブロック大会で優勝している東京東支部の小嶋夏鈴選手に判定で敗れ、一翔選手が第12回世界大会の代表でもある世田谷杉並支部の渡辺優作選手に力及ばず判定で敗れます。
 彩音選手は初陣、一翔選手は高校1年の時以来の無差別全日本の出場だった訳ですが、試合の結果が出るまでの全ての時間と経験は試合に出た人にしか味わうことができません。勝利をあげる事が出来なかった悔しさも。二人はこの結果を受け、涙を流しながらも前に進むと決めてくれました。
 海咲選手の3回戦の相手は、体重別全日本であるJFKOフルコンタクト大会の軽重量級で3度の優勝を誇る武立会館の木村敬代選手です。パワフルで重い突きと下段を狙いすまして放つ木村選手と、フットワークと体裁きで躱しながら回転のある突きを放つ海咲選手との一進一退の攻防は延長まで続きます。「一本」「技あり」に続いて上位に位置する判定基準は「ダメージ」です。この「ダメージ」が軽々と表情や動きに出ないよう選手達はよりハードな稽古で追い込み、何事もなかったように振る舞うのを常としています。海咲選手は戦い抜きました。
判定は3対2で海咲選手の勝ちでした。何かほんの少しの隙やミスがあれば勝つことは出来なかった。それくらいギリギリの戦いでした。
 2日目。この日も外での待ち時間が若干ありましたが、対戦相手の前日の試合動画を見ながら対策を立てました。準々決勝の相手はJFKOフルコンタクト大会の軽量級で実に5回の優勝を誇る芦原会館の菊川結衣選手です。海咲選手としても実に6度目の対戦となります。越えようと修練を重ねても戦う度に更に高い壁となって海咲選手を阻んできました。
全体重をかけて胸を打ち下ろす左右の突きに加え、近年強い下段を混ぜて攻撃を仕掛けてきます。
その対策に多くの時間を割いてきました。
 そして、臨んだ準々決勝。残念ながら3対0の判定で敗れました。また、勝たせてあげる事が出来なかった。司馬遼太郎の歴史小説「坂の上の雲」で秋山真之が部下の指揮官に放った言葉「無識の指揮官は殺人者なり。」先生としての力不足は即ち稽古生達の可能性と未来を阻むものであると心に刻んだはずなのに。まだまだ先生としての努力と覚悟が足りませんでした。海咲選手だけでなく、今回の出場選手全員がこんなにも純粋に真摯に空手に情熱を捧げてくれているのですから。必ずこの子達が、そして次に続く子達が栄冠を手にできるよう先生は全力を尽くします。
 海咲選手はこの大会の「技能賞」に選出されました。本来で有れば表彰式での授与になる訳ですが、「試合敗退後すぐに退出。」が今回の決まりだった為、受賞を知ったのは自宅に戻ってからでした。第49回大会に続き、2度目の受賞となりました。今回入賞には一歩及びませんでしたが、小さな身体で無差別の全日本で勝つ為に、ひたすら鍛え抜き磨いてきた戦う技術、技能を認めて頂いた事はとても嬉しく感じました。
最後になりましたが、このコロナ禍の不安のある中、子達を送り出してくださったお父様、お母様、協力してくれた組手メンバーの皆んな、一緒に稽古してくれた上級者の皆んなやシニアの皆さま、可愛い写真で応援してくれたおチビさん達、稽古には中々参加できないけどずっと文庫道場を支えてくれている皆んな、そして保護者の皆様に心より感謝申し上げます。誰一人欠けても、何一つ欠けても今の文庫道場は成り立ちません。全日本の挑戦は選手だけのものではなく、木元道場、文庫道場全員の挑戦です。選手はその気持ちで戦ってくれていることを知っていただきたくこの文章を書きました。
 明日からまた稽古がスタートします。選手は健康観察の為、1週間稽古を休む様指示を出しました。
組手メンバーも1週間は予めお知らせした稽古時間の出席に留めるようお願いしました。
 明日からの新時間割表を載せます。稽古時間を若干伸ばしたのと、稽古開始時間や開館時間、金曜の型クラスなどに変更が入りましたので、ご注意ください。対面稽古を開始とご連絡しましたが、ここ数日の感染拡大を鑑み、充分な距離を取っての対面稽古から始める予定です。それでもご事情のある方は遠慮なくお申し出ください。

今後とも、宜しくお願い申し上げます。
押忍。
吉岡 智





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