ミラノはミラノ

ミラノ在住のおねえさん(うそ)おっさんの気まぐれ場当たり日記

どう決着を付ける 欧州危機

2011-11-16 06:02:53 | 日記

イタリア大統領ナポリターノ氏の思惑どおり、週明けの月曜日までに、新首相のマリオ・モンティ氏が指名されましたが、市場の反応は、大統領の思惑を外れ、15日の欧州金融市場では、イタリアの10年物国債利回りが上昇し、自力での資金調達が困難で危険水域とされる7%台に再度後退しました。
イタリアの次期政権への期待が後退するなど、欧州債務問題の不透明感はなかなか払拭されず、投資家の警戒感も同様です。
ユーロを売って円を買う動きも見られ、ユーロ/ドルは1.3510ドル台、ロンドン外為市場では、ユーロ/円は103円台まで下値を切り下げました。

本日15日19:45(イタリア現地時間)で新首相初の公式会見が行われ、内外からの注目が集まっています。

新内閣の組閣にあたっては、学識経験者や専門家を集めて、経済危機を乗り越えたいとの新首相の思いがありましたが、元首相ベルルスコーニ氏の政権与党である自由国民(PDL)からの横やりもあって、難航しているようです。

このイタリアの影に隠れるように、ニュースソースがあまり表面に出てきませんが、スペインとて、イタリアと同じ問題を抱えていますし、ギリシャの経済状況が改善されている訳では、ありません。

イタリア国債の利回りが自力での財政再建が困難とされる目安の7%を超えて再び急騰するなか、そのきっかけとなったギリシャ国債のデフォルト(債務不履行)を容認するムードが高まりつつあります。

ギリシャ国債について、欧州連合(EU)は「ギリシャ財政をより持続的なものにする」ため、ギリシャ国債の元本を50%削減することで合意しました。
このことから、格付け会社大手各社は、ギリシャの債務削減が行われる翌年年明けにもギリシャ国債を「デフォルト」格に引き下げる可能性が大きくなりました。

これまで、1998年のロシアや2002年のアルゼンチンのように国債のデフォルトは、度々ありました。
今回ギリシャのような小国がデフォルトを免れているのは、ユーロに属する国だからであり、この延命措置こそが、傷を深くしてしまったのかも知れません。

そして、ギリシャ問題が投資家心理を冷めさせ、さほど心配の材料がなかった、イタリアに飛び火したとも言えます。

イタリアの債務は約200兆円あり、ギリシャやスペイン、ポルトガルより遥かに多のですが、プライマリー・バランス(国債等の発行と債務返済を除く収支)は黒字で、2011年の財政赤字は国内総生産(GDP)で4%台です。
これはフランスや米国より低い水準で、日本の10.5%に比べれば半分以下。
金利の急騰で利払い負担が必要以上に増えなければ、ギリシャ国債ほどの大問題にはならないと考えていた投資家は、大勢いたでしょうし、EUとて同じ考え方をしていたと思います。
経済の専門家がイタリア国家の舵取りをすれば、EUからの資金とこれまで以上の緊縮財政で事態が好転することは、充分に可能な範囲なのです。

一方で、ギリシャは、イタリアのような方程式が成り立たないのは、経済の専門家であれば、だれでも予測可能です。

それは、対外(国際的な)競争力と経済成長を回復させることこそが絶対に必要で、弱い国が競争力を取り戻して初めて、この危機は終わるのですから、弱い国の構造的な対外赤字は、自発的な融資で賄うにはあまりに大きすぎると判断するのは妥当なことで、ここで、いくらギリシャにお金を注ぎ込んでも、焼け石に水なのですね。

このようなことがコンセンサスになれば(なろうとしているのですが)ある一定の機関投資家(主に各国主要銀行等)に泣いてもらえば、ギリシャをソフトランディングさせてあげた上で、デフォルトに導くことも選択肢の1つとしてあり得ると考えるところです。

そして、このことこそが、世界中の投資家が息を吹き返すきっかけにもなることでしょう。

 

 

 

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