ますぶちStyle/宝石箱の片隅

ジュエリーや宝石、真珠を中心に、ジュエリー・ビジネス、歴史まで幅広く書いていきます。是非ご一読下さい。

AZClubジュエリーの歴史研究 定例ゼミ『古代の金(gold)とジュエリー技法』(21) 『私たちが現在使っている ジュエリーの技法の殆どがこの時代に完成された』

2023年07月31日 | 日記

AZClubジュエリーの歴史研究

定例ゼミ『古代の金(gold)とジュエリー技法』(21)

 

 

『私たちが現在使っている

ジュエリーの技法の殆どがこの時代に完成された』

 

 

 

ジュエリーを作るために、

普段当たり前のように使っているさまざまな技法ですが、

その基本の殆どは、紀元前8〜5世紀に完成されたものです。

勿論現代の方が進歩していることが多いのですが・・・。

しかし、技法によっては

現代の作家たちよりレベルの高い技法がある事をご存知でしょうか。

例えば粒金(グラニュレーション)という技法。

イタリアのトスカーナ地方で興ったエトルリア文明の工芸美術品は、

19世紀になって広く知られるようになりましたが、

その時代のジュエリー作家たちが

どうしても超えられない精度の高い技術でした。

考古学様式の天才カステラーニは、

古代の工芸品を収集しながら徹底的に模倣することから始まり、

やがて、エトルリアの工芸品に勝るとも劣らない作品を作り上げます。

そう、模倣から始まりオリジナルを作り上げることこそが、

すべてのモノ作りの基本なのです。

私たちが携わっているジュエリーは全て、

こうした先人たちの努力の上にある

といっても過言ではないでしょう。

ゼミではこうしたジュエリーの歴史をほんのちょっとだけ学びます。

その先は皆さんの努力と知恵次第、といったところでしょうか。

 

ZoomによるOnlineゼミになります

2023年8月21日(月)18:00〜20:00

定員7名(定員残りあと僅か)

参加料2500円

**AZClubジュエリーの歴史研究ゼミはJewellerystory_0512@yahoo.jo.jp までお申込み下さい。またジュエリーについてご意見、ご質問を承っております。お気軽にお寄せください。


宝石たちの1000物語・シリーズー4 (9)第69話 《アメシスト/amethyst》『アメシストの涙』

2023年07月30日 | 日記

宝石たちの1000物語

人に歴史があるように、宝石にもそれぞれの物語がある。1000文字に収められた最も短いショートショート。1000の宝石たちの煌めき。それは宝石の小宇宙。男と女の物語は星の数ほどあります。そしてそれぞれの物語は切なく哀しく、時には可笑しく愚かしく。

 

 

シリーズー4

(9)第69話

《アメシスト/amethyst》

 

『アメシストの涙』

 

私が初めてボーナスを貰って、一番最初にやったこと、

それは母親への贈り物でございました。

私の母はごく普通の日本の母親でした。

戦後の混乱期を病弱な夫と三人の子供を抱えて、死に物狂いで働いてきたのです。

私は長男だったけれど、戦後の食糧難もあり、もともと父に似て身体が弱かった。

小学校も3ヶ月遅れの入学。医者が手放す病気も2度ほど経験しました。

でも現在のような一人前に育ててくれたのは、全て母のお陰なのです。

私が大学を卒業して、銀座の宝石店に就職が決まったときは

誰よりも喜んでくれました。

実家に報告がてら帰省すると、お赤飯を炊いてくれたのでした。

初めての給料は母親への贈り物にしようと決めていたのは、

誰よりも母親を愛していたからです。

幸いに宝石関連の会社に就職していたこともあり、出入りの業者に頼んだのでした。

私がボーナスで払える金額で飛び切りの宝石を調達して貰いました。

母のリングサイズは仕事にかこつけて聞き出していたのです。

久しぶりに母の元に帰り、そっとリボンのかかった箱を差し出しました。

母は一瞬驚いた表情を見せました。

そして何も言葉が出てきませんでした。

箱を開けもしないうちから、母の目にはたちまち涙が溢れだしたのです。

それ以来母がその指輪をつけたのを見たことがありませんでした。

ある時何かの拍子にその理由を聞いてみました。

母は恥ずかしそうに笑って

「勿体無くてつけられない。時々箱から出して眺めて、拭いて仕舞うの」

と答えたのです。

母は古いタイプの田舎者です。

そりゃあ女だからオシャレもするし、地味な化粧も欠かしません。

でも「これは私の宝物だから特別なのよ」が口癖でした。

「ジュエリーは付けてこそ輝くんだよ、だから誰に遠慮なく着けてオシャレを楽しんで」

「そうかい、おまえがそういうなら着けるようにするよ」

しかし母が亡くなるまでその指輪を着けたのを見る事はありませんでした。

葬儀が済んで母の身の廻りを整理しているとき、

箪笥の奥深くから懐かしい宝石箱が出てきました。

そしてあのアメシストの指輪が白い布に何重にも包まれて

ひっそりと息づいていたのです。

アメシストの指輪は私と母とを繋ぐ唯一の思い出として、

誰にも話さず今日まできました。

病弱な私を必死の看護で生き返らせてくれた母親でした。

そして今日私があるのも母親の愛情の賜物、と言ったら少し大袈裟でしょうか。

アメシストの指輪は今でも母のお墓の奥深くにひっそりとあるのです。

 

 


宝石箱の片隅「深夜のモノローグ」・no.0026『プロ(玄人)とアマ(素人)の差』

2023年07月29日 | 日記

宝石箱の片隅「深夜のモノローグ」・no.0026

 

『プロ(玄人)とアマ(素人)の差』

 

 

 

 

プロを玄人という人はかなり年齢が高い人かもしれません。

そして多くの分野でプロとアマの線引きができなくなってきています。

この要因の一つはインターネットの普及にあるでしょう。

恐らく近い将来、

AIがプロでその道の専門家はアマに分類されるかも知れません。

私はグラフィックの分野で長年やってきましたが、

写真の世界もデジタル技術が普及して、

プロとアマの差が不透明になったような気がします。

微かに残っているのは、

プロフェッショナルとしての矜持(プライド)くらいでしょうか。

プライドが持てるか持てないかなんて、

かなり精神的なレベルでしか話せないのは、技術なんて必要としていないのです。

これは私くらいの年代の人たちからすると、とても悲しい事になります。

純粋なクリエイティブな職業人はいらないからです。

「・・・・・・・・」


『ジュエリーを読む・第12回/ ジュエリーの意匠・ヤドリギ』

2023年07月29日 | 日記

思いつくまま、取り留めのない

ジュエリーにまつわる話あれこれ

 

 

『ジュエリーを読む・第12回/

ジュエリーの意匠・ヤドリギ』

 

 

 

 

ジュエリーの意匠でよく用いられる一つに「ヤドリギ」があります。

左のブローチはミキモト、そして右のコームはフーケの作です。

ヤドリギは宿木と書きます。

そう、他の木に寄生して育つのです。

花言葉は「困難に打ち勝つ」「克服」「忍耐」などで

常緑樹であるヤドリギが氷雪の中でも緑の葉を保っていることに由来するとか。

他にもさまざまな説があり、

ジュエリーのテーマとしては格好の植物なのでしょう。

こういった意匠に基づいたジュエリーはロマン主義になります。

ジュエリーの歴史と範囲は恐ろしく広く

私たちの身近な存在として大切にされてきました。

もっとジュエリーを身に付けてお洒落を楽しみたいものです!!!

 

*これを読んでご質問・ご感想など Jewellerystory_0512@yahoo.co.jp までお気軽にコメントお寄せください。必ずご返信いたします。


ますぶちStyle『日本の美意識』再スタートの件

2023年07月27日 | 日記

 

 

ますぶちStyle『日本の美意識』再スタートの件

私の記憶が正しければ、

10年くらい前にAmebaブログで10回まで掲載していたのですが

何分、性格が気まぐれ、その上熱し易く冷め易い事が災いして

途中で投げてしまっていました。

つい先日パソコンの資料類を整理していたらこのデータが目に入り

どうせ残りの人生は短いけれど1日の時間はたっぷりあるので

再開する事にした次第です。

 

また、途中で挫折する可能性は大なのですが

そうなったところで誰からもお叱りを受けないので

第1回からの文章を加筆修正してブログ掲載していこうと思います。

掲載の順番は以前と変わるかもしれませんが

もしお気に留めていただければ幸いです。

例によって拙文故に読みづらい箇所も多々あると思いますが

どうぞ宜しくお願い致します。

 

*ますぶちStyle『日本の美意識』は、美術・宗教・文学・芸術・政治などの分野を問わず、主に書籍、図録を通して歴史に登場してくる人物の足跡を追い、自分なりの視点で日本の美を探る事にあります。

*掲載はジュエリーの歴史研究ゼミ登録メンバー専用の『NewsLetter』にて行う予定です。