ますぶちStyle/宝石箱の片隅

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宝石箱の片隅「深夜のモノローグ」・no.0024『ロシアのダイヤに関する記事』

2023年07月12日 | 日記

宝石箱の片隅「深夜のモノローグ」・no.0024

 

『ロシアのダイヤに関する記事』

 

 

 

 

今朝の朝日新聞に掲載された、

ロシアのダイヤモンドに関する記事を

お読みになった方もいらっしゃるでしょう。

ここに書かれている事はどこまで真実を語っているのか。

どう言った取材のもとに書いているのか。

いくつかの疑問を持ちながら読みました。

記事を読まれた皆さんは如何でしたでしょうか。


ESSAY『ジュエリーを読む[様式と技法]』『第1夜・アーツアンドクラフツ[1]』

2023年07月12日 | 日記

ESSAY『ジュエリーを読む[様式と技法]

 

 

『第1夜・アーツアンドクラフツ[1]』

 

 

 

19世紀の半ばのイギリスでは、

18世紀に興った産業革命による大量生産・大量消費の弊害が出始めました。

一方、芸術におけるアカデミズムでは古典主義が主流であり、

またルネサンスの代表的な画家であるラファエロ以外は

認めないという方針があり閉鎖的でした。

これに反発したのが、ロセッティ、ミレイ、ハントたちで

「ラファエル前派」を結成してアカデミズムに対抗したのでした。

しかし私は個人的には、

このラファエル前派はかなり無理があるように思えます。

なぜならヨーロッパの人たちはルネサンス以降、

いつの時代も常に古代ギリシアの完成された美を追求しているのです。

その頂点がラファエッロであり、

ラファエル前派がアカデミズムに抵抗する理由が見当たりません。

尤も古い感覚と既存の体制に対して、というのなら解らなくもありません。

その証拠に、ラファエル前派の画家たちの描く絵は

ロセッティを先頭に、みな画一的で、斬新さがどこにも感じられない。

そして案の定、彼らはそれぞれの主張が異なり、10年弱で解体してしまいます。

ラファエル前派が行き詰まった後を受けて、

1860年頃ウィリアム・モリスとジョン・ラスキンらが中心になり

「アーツアンドクラフツ」という美術運動が起こります。

この運動を分かり易くいうと、

産業革命によって粗製濫造してきた物作りを、もう一度見直そうというもので、

ラスキンが掲げたゴシック建築の職人の手によるモノ作りにあります。

ウィリアム・モリスは染色家でしたが、

彼に刺激を受けた建築家や工芸家などが集まり、

機械に頼らない、手づくりを目指します。

モリスの洗練されたテキスタイルデザインは

フランスのアール・ヌーヴォーを大いに刺激しました。

この理想は高くイギリス(イングランド)という風土にも溶け込んで

20世紀の初頭から第一次世界大戦まで続きます。

しかしアーツアンドクラフツは

イギリス以外には殆ど広がりを見せませんでした。

これに対して19世紀の末にフランス、ベルギーで興った

アール・ヌーヴォーは瞬く間に

ヨーロッパ全土、そしてアメリカに広がっていきます。

しかし、アール・ヌーヴォーも

20世紀に入ると急激に衰退していきます。

その点アーツアンドクラフツは約50年間という長いスパーンで

イギリスの芸術に影響を与えた功績は大きいと言えるでしょう。

**画像はミキモト真珠島博物館所蔵品

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