ますぶちStyle/宝石箱の片隅
“ジュエリーの事は風に訊け” vol.31
『本物のジュエラーとは何か』
ジュエラーの解釈は人によって色々あるだろうけれど、一流宝石店、ジュエリー作家の証明(定義)はそれほど難しい事ではない。
自分が作り販売した商品を、結果的にどれだけ買い戻せるか、という一点に尽きる。
カルティエやヴァン・クリーフ、ティファニーなどを見ればそれは歴然。
カルティエなどは買い戻したジュエリーで、世界各地で巡回展をやるほどだ。
尤も最近のカルティエもかなり危なっかしいところはありそうだが・・・。
宝石商ばかりでなくジュエリー作家でもこれを実践している方はいらっしゃる。
ドイツのあるジュエリー作家は、100年後を見据えて、自分の作ったモノの中でお気に入りは、決して売らずに自分のコレクションにして仕舞っておくという。
100年後にどう評価されるかということはそれほど問題ではなく、自分の作り出すモノに絶対の自信があるからに他ならない。
そういった発想が全くできないのが、日本の宝石商でありジュエリー作家である。
(もしそういった作家や実践している宝石商を知っていたら是非教えて欲しいものだ)。
日本にジュエリーが入ってきて以来、商売の本道を叩き込まれたにしては、一番大事なことが疎かにされているのが現実だ。
いかにして高く売ろうかというよりも、どうでも良い加減なモノを、どこよりも安くそして数多く売るかしか教えて貰わなかったからね。
それは今でも変わらない。だから日本という市場ではジュエラーが育たない。
表面的にはいくら立派な店を構えても、中身がお粗末では本末転倒になってしまう。
残念だけれど仕方がないね。
でも今回の新型コロナウイルスを切っ掛けに、ジュエリーに対する抜本的な見直しを考えることは可能だろうか。