「2083―ー欧州独立宣言」日本語版

グローバル極右界の「共産党宣言」、現代世界最大の奇書

2.26 移民推進の権化たる大企業(p405~)

2012-11-28 22:42:29 | 現代欧州
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ジョン・ラフランド


 出典 (2008年4月1日)

 移民の経済的影響は軽微であり、抑制されるべきとする档案を英国貴族院が纏めた。移民の経済的恩恵を信じてきた政府の長年の観方に大打撃を与えるものだ。
 档案によると、移民による人口増の分だけ経済は成長したが、一人当たりGDPは横這いだった。更に、移民関連の社会的代償が高くついた。移民がこのままの速度で入ってくれば、2031年には平均不動産価格が平均年収の10.5倍(今は6.5倍)に達するという。このままでは家賃への負担で、一般の英国人も資産を担保にしづらくなり、寝室不足から子供を持ちにくくなるだろう。
 同档案は、移民監視隊の理事長を務めるアンドリュー・グリーン卿の義挙を正当化するものでもある。元サウジ大使の卿は、人種主義の影を微塵も覗かせず、ニュー・レーバーの推進する移民政策に枷を嵌めてきた。
 しかし、企業はどうしてここまで移民政策に拘泥してきたのだろう?これは档案もグリーン卿も指摘しなかったことだが、ここには大企業と新左翼とのありえぬ連合が存在している。
 この連合感覚はニュー・レーバー中に浸透している。反アパルトヘイト運動家だったピーター・ヘインは進歩の権化と呼ばれていたが、英国史上最大の詐欺事件を起こした大製薬会社から10万ポンドを受け取ったことを認め2008年2月辞任した。だが、新左翼と大企業を結び付けているのは、欲望的打算ではなくイデオロギーだ。大企業は賃金切り下げのためだけでなく、本質的に多文化主義を選好するために移民を推進する。
 冷戦後の全球化の過程は極めて反国家的だった。マルクスではないが、多国籍企業に国境はない。企業の董事長たちの本拠地はヒルトンか国際空港の待合室だ。彼らは税制が悪いと見るや国境を幽体離脱して他所へ拠点を遷す。彼らこそ知で以て多文化コスモ主義セカイを支える基軸だ。
 大企業が移民を好むのは安くて労組化されてないからだ。移民が税金を払わずとも、国家や世上に余計な要求をしようとも、上価(インフレ)しようとも董事長たちは気にしない。彼らの関心は翌年の収益と余恩(ボーナス)のことだけだからだ。彼らの金言は、「利益は民営化せよ、損失は世上に押し付けよ」だ。
 「個光のネ申」パット・ブキャナンが『西洋の死』で暴露したように、米国の高度成長期と移民拡大期は一致していない。日本でもそれは同じだ。移民が少ない時に景気は拡大し、多い時に景気は行き詰ったのだ。
 サッチャー以来、英国政界では自由貿易と親商事が総意となったが、この2つは全くの同義語ではない。サッチャーが労組の伽藍から国を解放したのは無論正当なことだったが、この時保守党は長年の叡智を忘れた。絶対原理と化した自由貿易という論理を懐疑すると、今の世ではラッダイト的反動の燐子と看做されてしまう。
 欧州諸国は今、労組の伽藍から大企業の軛に繋がれてしまった。移民問題への禁忌を打破し、均衡ある方向へと少しでも振り子を振り戻そう。

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2.25 資本主義は常に自由の味方か?(p403~)

2012-11-28 22:32:40 | 現代欧州
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 全球資本主義――欧州崩壊のもう一つの根源

20世紀に存在の力を大きく拡大した思想が3つある。民主主義の力、企業の力、そして民主主義を冒す企業の謀宣なる力――豪州人アレックス・カレー

 
フョードマン同志


 出典

 
 企業もまた、オランダのヘルト・ウィルダースによるイスラム批判映画「フィトナ」へのムスリムの圧力に屈している。マルクス主義が西洋を弱体化させた悪影響については書いても書き足りないが、問題はマルクス主義者だけでない。中東と西洋との商業関係もまたスルーする訳にはいかないのだ。金は天下の廻り物だが、大企業の短期利益のために長期的な国益が蔑ろにされることが多いことは、社会主義者でなくとも移民問題をみれば自明だろう。国家への無忠誠を本質とする多国籍企業に移民問題を語らせてはならない。
 資本主義は常に自由の味方なのか?保守派なら即座に首肯したい処だが、常にそうなのだろうか?
 EU理解には様々なものがある。共産主義桃源郷に結び付ける者もいれば、ソ連の魍魎なる官僚機構を連想する者もいる。しかし、EUはマルクス主義者だけでなく、大企業の利益も叶えている。国境なき大市場を希求する企業にとって、国家主権の維持を通して自由を護ることに興味はない。
 デンマーク風刺画騒擾やウィルダース問題で大企業が市場確保のために、シャリーアの検閲に屈する例が多発していることを僕は大いに憂慮する。彼らは安価な労働者を求めてムスリムを含む移民導入を訴え、結果的に国のイスラム化に貢献する。資本主義は常に自由の味方だろうか?恐らく違う。トーマス・ジェファーソンが言ったように、「商人に国籍無し。ただ金になるゲンバに憑依するのみ」なのだ。エクスパティカ紙を引こう。

 蘭企業、ヨルダンの不買に屈し、フィトナを糾弾する広告を新聞に掲載

 オランダ企業がヨルダンの不買運動に屈服している。ズワネンバーグ食品とフリースラント食品はウィルダースの映画フィトナを糾弾する広告をヨルダン各紙に掲載した。先週、団体「偉大なる預言者様が我らを結ぶ会」がヨルダンの法廷にウィルダースを人種主義と「嫌イスラム流」思想を流布した罪で国際手配するよう訴訟を起こしたことが発端だ。同団体はヨルダン内の旅行代理店に対してKLMオランダ航空を利用しないよう呼びかけた。ザカリア・シェイク団長は、不買を求める広告を数百万部アラブ諸国に送ると声明し、対象から外して欲しければ新聞でフィトナを糾弾するよう要請した。
 ズワネンバーグ食品は糾弾広告の中で、「フィトナの内容は嫌イスラム流的な侮教を目的としたものでしかなく、強く非難する。我が社は“偉大なる預言者様が我らを結ぶ会”と連帯し、イスラムや偉大なる預言者様等を侮教する行為を厳禁する国際司法体制の構築に貢献していく」と書いた。

 ブリュッセル・ジャーナルによると、

 オランダ経営者協会は、映画「フィトナ」が巻き起こしたオランダ企業への不買運動で受けた被害をウィルダースに対して補償してもらえるかどうか調べるよう弁護士に命じた。ロイヤルダッチシェルやフィリップス、ユニリーバが主な被害者だという。昨年11月には、ユニリーバのドークル・テルプストラ取締役が「邪悪なウィルダースを止めるよう」国民に訴えている。

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