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オペラとクラシック音楽に関する肩の凝らない芸術的な鑑賞の記録

4/6(金)新日本フィル/新・クラシックへの扉/下野竜也のオール・グリーグ・プログラム

2012年04月10日 00時56分30秒 | クラシックコンサート
新日本フィルハーモニー交響楽団/金曜午後2時の名曲コンサート
「新・クラシックへの扉」第20回


2012年4月6日(金)14:00~ すみだトリフォニーホール S席 1階 2列 20番 3,600円(年間会員)
指 揮: 下野竜也
ソプラノ: 半田美和子*
管弦楽: 新日本フィルハーモニー交響楽団
【曲目】
グリーグ: 序曲「秋に」 作品11
グリーグ: 組曲『ホルベアの時代より』作品40
     1.前奏曲 2.サラバンド 3.ガヴォットとミュゼット 4.アリア 5.リゴドーン
グリーグ:『ペール・ギュント』第1組曲 作品46
     1.朝 2.オーゼの死 3.アニトラの踊り 4.山野魔王の宮殿にて
グリーグ:『ペール・ギュント』第2組曲 作品55
     1.イングリッドま嘆き 2.アラビアの踊り 3.ペール・ギュントの帰郷 4.ソルヴェイグの歌*
《アンコール》
 グリーグ: 劇音楽『ペール・ギュント』作品23 第5幕より「ソルヴェイグの子守歌」*

 新日本フィルハーモニー交響楽団の金曜午後2時の名曲コンサート・シリーズ「新・クラシックへの扉」。2011-2012シーズンの第4回は,下野竜也さんの指揮で、オール・グリーグ・プログラムという珍しいものだ。今年1012年3月の第19回に続いて北欧ものである。また、下野さんは読売日本交響楽団の正指揮者だが、最近はすっかり人気者になって、各オーケスチラからも引っ張りだこだ。つい3日前、二期会創立60周年記念ガラ・コンサートでは東京交響楽団を指揮したのを聴いたばかりである。

 1曲目の序曲「秋に」という曲は初めて聴いた。作品11というから初期の作品であまり馴染みのないものだろう。公演プログラムにも聴けるのが稀だと書かれていた。グリーグらしい曲であることは間違いなく、厳しい冬のイメージは伝わってくる。北欧系の透明感溢れる音楽と新日本フィルの繊細な音色は合っているのかもしれない。熱っぽさよりも、クールな印象の強い演奏だった。
 2曲目の組曲『ホルベアの時代より』は、前奏曲が有名で、しばしばオーケストラのアンコールなどで演奏される。オーケストラといってもこの曲は弦楽5部の合奏曲。新日本フィルの弦楽は音量は不足気味の感を免れないが、音質は繊細で美しい響きを持っている。曲自体も弦楽の厚みを感じさせる構造になっているので、なかなか聴き応えがあった。下野さんの指揮はリズム感が明瞭でクッキリしているし、メリハリのある音作りをするので、引き締まった演奏になった。抒情性というよりは機能性に優れていたように感じた。

 後半は『ペール・ギュント』第1組曲と第2組曲が続けて演奏された。子供の頃音楽の授業で聴いたときに覚えた旋律が次々と登場してくるので、聴くたびに非常に懐かしい感覚がよみがえってくる、不思議な曲だ。もとはイプセンの戯曲のための劇音楽として書かれた曲で27曲からなっており、物語の内容に沿った音楽であるが、後に作曲者自身の手により、第1組曲と第2組曲、合わせて8曲の組曲に編纂された。そのため、この8曲はとくに有名になっていて、グリーグの代表作とされる。これは演奏会用のもので、曲順も物語には沿っていない。今日の演奏では、特別に第8曲「ソルヴェイグの歌」に、ソプラノの半田美和子さんを招いてノルウェー語の歌唱付きである。
 下野さんの指揮は、全体に速めのテンポでリズム感良く、会長に勧められていく。「朝」も早めだったから、一気に夜が明ける感じだった。舞踏系の曲ではリズム感が明瞭なのがうまく機能して、新日本フィルから清々しい音を引き出していた。演奏自体もコンパクトにまとまっている感じで、さほどダイナミックではないが、メリハリもちゃんと効いている。しかし機能的にまとまっている分だけ、やや淡泊に感じられた。今年2012年の2月に読売日本交響楽団でも『ペール・ギュント』を聴いているが、その時のオスモ・ヴァンスカさんの方がねっとりと濃厚だったような印象が残っている
 「ソルヴェイグの歌」が始まる前に、半田さんがステージ後方の2階部分、パイプオルガンの演奏席に登場し、美しくも切ない歌唱を聴かせてくれた。半田さんはとてもキレイな声の持ち主で、今日のような状況での歌唱は初めて聴いたのだが、上品で清冽な歌唱がとても素直に情感を表していたと思う。
 アンコールには半田さんがもう1曲歌ってくれた。こちらは劇音楽『ペール・ギュント』の本編から、「ソルヴェイグの子守歌」を。この曲は初めて聴いた(と思う)が、どこか哀愁を帯びたノルウェー語の響きがとても美しかった。

 ここのところ仕事が忙しく時間が取れなかったので、駆け足でレビューをしてしまった。コンサートから日にちが経過してしまっていて、あまりタイムリーでなく、ちょっと間の抜けた感じがしてしまった(反省)。

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