Bravo! オペラ & クラシック音楽

オペラとクラシック音楽に関する肩の凝らない芸術的な鑑賞の記録

4/6(金)日本フィル第639回東京定期/インキネン指揮マーラー交響曲第5番はオーケストラが見事な演奏

2012年04月11日 00時31分39秒 | クラシックコンサート
日本フィルハーモニー交響楽団 第639回 東京定期演奏会
【マーラー撰集 Vol.3】


2012年4月6日(金)19:00~ サントリホール・大ホール A席 1階 2列 17番 3,800円(春期会員割引)
指揮:ピエタリ・インキネン
管弦楽: 日本フィルハーモニー交響楽団
【曲目】
シベリウス: 付随音楽《死(クオレマ)》
      1.カンツォネッタ 2.ロマンティックなワルツ 3.鶴のいる風景 4.悲しきワルツ
マーラー: 交響曲 第5番 嬰ハ短調

 日本フィルハーモニー交響楽団の東京定期演奏会、2011/2012シーズン春期の第2弾は、主席客演指揮者のピエタリ・インキネンさんによるマーラー・シリーズだ。インキネンさんはフィンランド出身で1980年生まれの32歳。見るからに知的なで清潔感の漂う青年である。今日のプログラムはお国もののシベリウスとマーラーの交響曲第5番だ。

 先月から聴き始めた日本フィルの定期演奏会だが、結論を先に言ってしまえば、今日もまた素晴らしい演奏で、これまでの日本フィルのイメージ一新である。
 前半のシベリウスの「クオレマ」は、指揮者の希望により当初発表されていた曲順を変更して演奏された。もっとも有名な「悲しきワルツ」を終曲にもってきたのは、とくに劇付随音楽としての物語性を重視するというわけではなく、4曲を抜粋して演奏する際の、組曲としての音楽的な効果を狙ったものだろう。各曲ともに、精緻で厚みのある弦楽のアンサンブルが秀逸で、さらに木管やホルンもうまく抑制され、美しい弱音を聴かせていた。北欧風の、とくにシベリウスらしい透明感のあるサウンドと内面的な熱さがバランス良く描き出されていたのは、お国ものらしい素直な表現なのだろうと思う。

 後半はマーラーの5番。今年2012年はマーラーの5番の当たり年になってしまい、4月の時点ですでに聴くのが3回目となった。最初は1月12日の東京フィルハーモニー交響楽団の東京オペラシティ定期シリーズで、外山雄三さんの指揮(公開リハーサルと合わせて1日に2回聴いた)。これがまた素晴らしい演奏だった。そして次が、2月17日の南西ドイツ放送交響楽団バーデン=バーデン&フライブルクの来日公演で指揮はフランソワ=グザヴィエ・ロトさん。こちらはオーケストラの機能性の高さを見せつけられた。さて今日はどんな演奏になるかと興味津々であったのだが…。
 演奏が始まってみれば、金管が冒頭のファンファーレから小さめの音量で良い音を出してくる。16型の弦楽5部がピタリと合ったアンサンブルで分厚く鳴らす。繊細な弱音部分から前合奏のffまで、若いインキネンさんが、オーケストラを見事にコントロールしていて、堂々たる押し出しの演奏であった。インキネンさんの演奏は、スタンダードで安定感があり、素直に好感が持てる。スコアに忠実に演奏すれば、曲の方が名演奏を弾き出してくれる、そんな印象でもあった。それにしても日本フィルが極めて良い音を出していた。とくにトランペットやホルンの抑制された弱音が見事で、フル・スケールのオーケストラが実にバランス良くドライブされていた。各パートがオーケストラ全体の中にキレイに溶け込みつつ、それでいて明瞭な音を出してくる。複雑に絡み合ったこの大編成の曲が、有機的に一体化しつつ、しっかりとした構造で描かれていた。先月に続いて、日本フィルは素晴らしい演奏を聴かせてくれた。これは私だけの思い込みではなかったようで、終演後にも会場のあちこちから、「先月も今月も良かったね~」という声が聞こえてきた。

 というわけで、日本フィルの春のシーズンは大当たり。主席指揮者のラザレフさんに続いて、主席客演指揮者のインキネンさんも名演を聞かせてくれたのである。そうなると来月もまたまた期待が高まってくる。今度は5月18日。ラザレフさんと上原彩子さんによるラフマニノフだ…。絶対に良さそうな予感がする。

 ← 読み終わりましたら、クリックお願いします。

コメント    この記事についてブログを書く
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする
« 4/6(金)新日本フィル/新・ク... | トップ | 4/8(日)アンサンブル・フォル... »
最新の画像もっと見る

コメントを投稿

ブログ作成者から承認されるまでコメントは反映されません。

クラシックコンサート」カテゴリの最新記事