日光山系 ななころびのあの山の向こうに

あの山の向こうには何が待っているのだろう。7回ころんだら7回起き上がる、平凡ハイカーななころびの気まぐれ山行録です。

滑落事故で有名なその山は、頑丈なハシゴで完全防備されていたが、危険は危険。  鹿沼/石裂山

2014-09-01 23:56:16 | 山行

入残日 2014年8月30日 曇 単独 (東剣の峰からの一旦の下りハシゴ、降りてから上を見た図)
まだ、8月であるのに、毎日ほどほど涼しい。8・10頃台風が日本を通過した後、ほとんどの日で天気は曇りや雨。8・10あたりで今年の夏は終わってしまった気分。30、31日は休暇なのだけれど、やはり北関東の天気は曇りや雨予報で全く気分がのらない。遠出や時間のかかる高山は敬遠して、未踏の近場の山のピークハントをすることにした。

石裂山。。。 自分としては、めづらしく目標を決めて完走しようと決めた栃木100の中の山の一つ。今年の春先、雪田爺”さんが行かれた際、3月の大雪で山の斜面の杉倒木がひどく、登山道が機能しなくなっていた記事を見た。それでも先輩はなんとか苦労して山頂をふんだようだけれど、なな”も今年早春には尾出山熊鷹山で杉の大倒木帯に難渋していたので、これは当面石裂山には行けないかなと思ったものだった。
つい数日前、三倉山などを一緒にあるいた山友のYGさんが石裂山に登ったようで、倒木はなんとか片付けてあることを知った。山自体は非常に面白そうなので、こんな高山に出向けない日にはうってつけ。朝がたまで雨予報なので、ゆっくりスタートした。
加蘇山神社脇を歩き出す。沢沿いを登っていく、沢の脇にはいまだ倒木がたくさん横たわっていた。



コース: 加蘇山神社 10:39 ・・・  東剣の峰 12:21 ・・・石裂山 12:58 ・・・ 月山 13:21 ・・・ 加蘇山神社 14:38 

神社の前のスペースに車には先客お思われる車1台のみ、今日は静かな歩きになりそうだ。最初は沢沿いの道を緩やかに登っていく、道は概ね山道の様相だった。




千本かつらと表示のあった木(P ↓)の脇を通り抜けて、なおも沢沿いを進む。山深い非常にいい雰囲気。秋もすばらしいのではないか。



ゆっくり歩いて約1時間で中の宮という場所に到着。この日の鹿沼は結構蒸し暑く、歩いていると背中や胸はびっしょり汗をかく。あづま屋があっていい風が通っていたので、ゆっくりパンを食べながら休憩した。その地点からは急峻な山道に変わるらしく、看板に”ここからは鎖場など連続するゆえ、いい加減な気持ちで歩いてはいけんよ。”というような主旨のことが書かれていた。
中の宮からすぐに、最初のけっこうな岩場が出てくる。ただしハシゴと鎖が渡してあるので、難なくクリアー。朝までの雨で岩が少し濡れているのがちょっと嫌らしい。




分岐があって、一方に登っていく方の階段には"奥の宮"とあったので行ってみた。20メートルほどハシゴを登って、岩壁の洞穴のような箇所に神社が祀られていた。その先は行き止まり。



分岐まで少し戻って、山道に復帰。その後もミニ鎖場や梯子場が連続するコースを登っていく。
(ひげすり岩の脇を行く。)


ひげすり岩付近。岩にへばりついて、可憐な花が咲いていた。



1時間40分ほどで、大きな恐怖をかんじる地点もなく東剣の峰に到着。ほんのわずかなスペースの小ピークに”東剣の峰”と山名板があり、進む方向に目指す山頂らしいピークが見えていた。



東剣の峰から一旦、急に下る。ほぼ、垂直に下る感覚のその斜面には5段階くらいに梯子が設置してあった。最初の梯子を短く下って下を覗くと結構な恐怖感。技術的に難しいとかでの恐怖より、なにかヘマをしでかしたら大変な事故になってしまうのではないか、というような恐怖感。
(下を覗くと見えないところあたりまで梯子が連続している。)


慎重に5段梯子を下り終えて鞍部へ、鞍部からは急登ながら危険のない普通の斜面をのぼり返して"西剣の峰”ピークへ到着。
(西剣の峰周辺で咲いていたお花 )



西剣の峰の展望台に寄り道して眺望を得た。北方面に多少の眺望がある程度だった。
(山はよくわからなかったが、鳴蟲山の北西にある811pあたりかなと思ったが、よくわからない。)


西剣の峰から目指す石裂山ピークが大きく見えていた。そのピーク直下の西面は断崖。



西剣の峰から、また梯子、鎖で急に下るがそれも長くは続かず、鞍部へ。
(西剣の峰から下りうを振り返る。)


鞍部からは、岩混じりの急斜面を登るって石裂山までの最後の仕上げ。(P ↓) 急斜面であるけれど、梯子/鎖はなく安全な登りを少しこなすと山頂の一角の分岐へ、そこから少しだけ西に尾根伝いに歩くとすぐに石裂山山頂に到達した。



ここもまた誰もいない静かな山頂だった。山名板は2枚。



山頂からは、北西、北方面の展望が開けていた。左の平らなのは横根山の一角?、手前の稜線は大滝山/白髭山とかか?。



石裂山の山頂ははっきり言ってそんなに気分爽快な場所ではない。そこまでの行程を無事歩けて、満足感にひたれるような達成感系のピークだった。休憩もそこそこに月山を経由し周回して下山すべく、北へ尾根伝いに進んだ。石裂山から月山までは、平穏な稜線が続いていた。(P ↓)



石裂山山頂から20分弱で月山ピークに到着。ピークにはひしゃげて倒壊しそうな神社があった。そのまま尾根なりに進むルートは通行禁止となっていた。昔は歩いていたのだろう、今行くとどうなっているのかしらとふと考えてしまったが、ここまでの行程の危険度を考えると進んでみる気は到底起きてこなかった。



月山からはおとなしく指定ルートで南東方向へのルートで下山。下り始め最初は尾根を感じさせたが、すぐに尾根型のないような斜面を急降下。いくつか鎖場、梯子場もあるが、往路での梯子場のような危うい場所は皆無で、気楽に降下していけた。
(下りでの鎖勝負場、たいしてリスキーではなかった。)


稜線を歩く局面では風が涼やかで、汗も引いていたが、下り斜面で風が通らないためか、かなり汗べっとりの感じ。途中何度か渡る小さな沢、その通過の都度、タオルを水で濡らし、顔や上体を拭いて一息入れる。
(かなり降りてきた地点ではこんなお花があちらこちらに咲いていた。)


下り行程は案外楽に降りてこられて、加蘇山神社に到着。先行の車1台はもうなくなっていた。この神社には樹齢500年や800年の杉の大樹があった。その生命力の強さにあやかるべく幹に手で触れて、パワーをもらってきた。
朝がたまで降っていた雨は、歩いている最中は一度も降ることもなく、意外と空も明るくて気持ちよく歩けた。
自分としては以前から、死亡事故のイメージがあった石裂山。密かに恐れて足を運ばなかった山だが、栃木100を歩いているのが縁で、この日初めて歩けた。
歩き終わってのコースの危険度の感想は・・・、予想以上でも以下でもない感じか。帰りに、加蘇山神社下の社務所のようなところにいろいろ登山への注意看板があって、降りてからだが、読んでみた。平成3年だか4年には滑落死亡事故が3件もあったそう。なな”の推測だが、そんな事故多発を受け、今日自分が利用した梯子などは、その後設置されたのではないだろうかと思う。 5段連続の梯子場も、梯子がなかったとして見た場合、部分部分は鎖がところどころ通してあれば、登れそうな気もした。下る場合がやはり危険なのではないか・・・。梯子設置で安全化されたとはいえ、それなりに危険なコースであるのは間違いない。初心者が単独では入らない方がいいだろう。
ただ、変化に富んだこの山のコースは、低山にしては短時間でも十分すぎるほど楽しむことのできるものではあった。 ■■



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6 コメント

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石裂山を歩いたのは・・・ (瀑泉)
2014-09-02 00:31:24
彼此16・7年前になりますが,当時からあの恐ろしい言い回しの看板は設置されていましたヨ。
ななころびさんのご推察のとおり,おそらくは死亡事故を受けて,ハシゴが設置されたようで,当時から,今ある東剣の峰辺りのハシゴは設置されていました。
ただ,古い鎖も残っていて,どちらも使えたんですが,今はどうなんでしょう。それと,既に,月山から先のルートも通行禁止でしたヨ。
ちなみに奥の院は,当時から手すりはあったんですが,ハシゴは無かったんですヨ。なので,登ったはいいが,スラブで滑って降りるのに苦労したことを,今でも良く覚えています。
石裂山 (みー猫)
2014-09-02 07:21:57
おはようございます。
瀑泉さんと同じ頃に登っていますが、長いアルミのハシゴがなかったように記憶しています。最近は西側登山道から登っております。上り専用みたいで、尾根の途中にここから下りちゃっダメって表示があったと思います。小さく周回もできるみたいですよ。間違っちゃったがとんでもないことになるっていう気持ちよくわかります(笑)ななさんなら問題ないと思います。お疲れ様でした。
瀑泉さん (ななころび)
2014-09-02 23:12:28
こんばんは。
あの恐ろしい文言の看板はそれなりに効果があるのでしょうね。やはりあれを読むと注意しますから。
ロッククライミング経験者以外入るな、と書いてましたが、クライミングをやるような人は石裂山の一般ルートなんてあまり歩きませんよね。
東剣の峰からの下りの5段?梯子には古い鎖は無かった気がします。
奥の院への階段もしっかりついていましたが、下るときはそのすぐ脇に適当な踏み跡があったので、現在はそれを辿れば容易に降りられました。
瀑泉さんは17年前に歩かれたとか、結構お若いイメージなのですが、キャリアは結構長いのですね。
みー猫さん (ななころび)
2014-09-02 23:19:02
こんばんは。
みー猫さんの時は、あの長い連続ハシゴはなかったのですか? 鎖だけだと結構怖いと思うのですが・・・。
西側からの破線ルートで登れるのですね、たしか”下っちゃダメ”看板は今回もありましたね。落石の為とか、書いてあったような気がします。
あの連続ハシゴで間違ったことをしたらとんでもないことになりますね。みー猫さんのあるいた大滝山もそうみたいですが、鹿沼の山はあなどれません。
Unknown (大納言)
2020-04-13 13:43:17
また滑落死亡事故が発生致しました。
クライミング経験者でないとダメよ (とちまる)
2021-10-18 19:49:45
2021/9/14 またまた死亡事故が発生しました46歳男性
 そして山の難易度設定が上がりました

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