入山日 2014年10月25日(土) 単独 (銀峯上部から見た、歩いてきた銀峯とその先のピーク)
今回は久しぶりに栃木の山に戻ってきた気がしました。
25日は庚申山の未踏尾根を歩いてきました。今年たそがれオヤジさんが歩かれたルートの後追いです。たそがれさんの未踏尾根にどんどん足を踏み込んでいく記事にはいつも感銘を受けていますが、今回”銀峯”というピークに自作の山名板を取り付けられたというので、歩く楽しみが増えました。今回の目的は紅葉見物、未踏尾根の踏破、そんなところです。
実は、天下見晴らし経由の尾根はもっと安易に考えていたのですが、歩きづらい急な登り、岩場の巻きなども多く、障害ヤブは多くはないものの簡単には歩き通させてはくれない尾根でした。 (10/25 夕方)
(尾根に乗って数分の登りはおとなしい森の中の歩きだったが、20分も歩くと次第に小枝がうるさくなってきた。 激戦?の予感も漂いだす。)
(以上を予告編より引用・・・)
コース: 銀山平P 7:00 ・・・ 一の鳥居 7:50 ・・・ 庚申山山頂部 11:25-12:00 ・・・ 山荘脇 13:05 ・・・ 一の鳥居 13:50 ・・・ スタート地へ 14:35
歩き始めの林道は紅葉には少し早い感じ。あと数日でこの周辺は深く色づいて凄いことになる。始めて来た20年くらい前、偶然その光景を目にして今だにその真っ赤な景色が忘れられない。
林道からいつも屹立して見えるピークがある。(P ↓) 方角からして、あれが銀峯なのかなと思う瞬間があったが、はっきりはわからない。
一の鳥居まで林道を歩く、林道は微かに登っていて案外労力を要する。今日は不思議と脚に力が入らないイメージ。なにかやる気にならないというか、だるいというか。平日の仕事の疲れ、生活の不摂生のせい?。あまり調子がでないので、林道を歩いていて帰ろうかと一瞬思ったくらいだ。
なんとか不調を我慢して歩いて、一の鳥居へ。ヤブ尾根にとりつけば気分も変わって、元気もでるかもしれない、と思った。一の鳥居から一般ルートで山入り。最初の数分は天下見晴らし尾根へのとりつき口を探りながら歩いた。水無沢右岸の尾根なので、一般ルートで沢を右岸に一度渡る地点がある。その先あたりから尾根にとりつこうと目星をつけた。
(一般ルートを適当な地点から離れ、ヤブ入り。最初は尾根の形状が2箇所くらいあるので、奥の方の尾根を選んで進む。最初の混沌とした地形の地点は見事な紅葉の森の中でもあった。)
さほど苦労せず、(急な斜面をよじ登って)尾根型に乗ることができた。最初に乗った地点のその尾根は、歩きやすく障害ヤブのない普通の尾根だった。
少し尾根を登っていくと、紅葉した木々のヤブが行く手にで出して、少しばかり煩わしい。ヤブはそれほど濃くはないので歩行に障害にはあまりならない。ただし急な斜面が多く、次第に岩混じりの尾根になってきた。(P ↓) 少し激戦の雰囲気が漂い出していた。
尾根にとりついて30分くらい登った地点。岩稜を登っていく。岩の間には赤く葉が色づいた潅木が生えていてとても綺麗。最初は潅木を掴んだりして登っていく。一点だけ登って次のステップにいくのに危うい場所があった。強引に行けるレベルの傾斜だったが、その間に潅木のヤブがあった。その先に行って、もっと困難な場所に遭遇してヤブの岩稜を降りる自信がなかったというか、不安だったので少しだけ降りて右から巻くことにした。
(岩場で格闘していた地点から左となり(南)の尾根を紅葉越しに眺めた。この時景色を味わっている余裕なし)
巻くのにも少し難渋。普通に巻こうとしたら、巻きの先が急傾斜で危うい。そのため、第二弾の巻きを敢行、もう数メートル下から巻いた。
(巻いて進んできた地点を振り返る、写真で見ると結構危険?。実際はそほどでもなく歩けた。)
巻きの斜面からみると、巻いた岩稜は結構大きかったようで、左脇に巨大な岩の壁が聳えていた。数分の巻きだったのだろうが、実際に長く感じた。こんなことをしていたら、山頂まで何時間かかるかわからないなあ、と考え出した地点だった。
巻きがおわり少し急に別の支尾根を少し登って本来の尾根に合流。その後は急だけれど、比較的普通の尾根になり助かる。(P ↓) 時に岩場も現れる。
針葉樹林帯がメインの尾根だったが、時に鮮やかな紅葉もあらわれるのはさすが庚申山。こんな木々の下をつめていった。
1500M地点の最初のピークに到達した。(P ↓) ここまで意外に長く感じた。このピークは平坦、眺望無し。ほんの少し下って、少しだけ登り返してすぐまた次のピークに着いた。
二つ目のピーク1540Pを過ぎると木々のむこうに庚申山の山頂部がかなり近くに見えていた。この1540Pから尾根上にはまた岩が時々で出して、都度巻いたり、間をよじ登ったりして進んでいく。(P ↓) 最初の大巻きしたところのような岩場はその後出てこないので助かる。
(紅葉の下の岩場の巻き )
見上げると、真っ青な空ときれいに色づいた葉たち。
天下見晴らしに近づいた雰囲気が出てきた。なぜそんな雰囲気があったかというと、その展望台は過去に二、三回は来たことがあったから、似た風景を感じ取ったのだろうと思う。巨岩を巻いたり登ったりしてヤブにかすったりしながら、この先行き止まりの看板の後ろから天下見晴らしによじ登れた。
(天下見晴らし付近から見た、登ってきた尾根方向 )
天下見晴らしからは、袈裟丸山や小法師岳方面の稜線がよく見えた。そのあたりの高度では、紅葉はもう遅い状態。それでもカラマツなのか、黄色と遅く残った紅葉で秋の雰囲気を楽しめる。
正面に庚申山。左手前にとんがっているのが目指す銀峯なのだろう。
天下見晴らしからは尾根伝いに数分歩き六林班峠への一般ルートを横切る。この横切ったルートを見るのは本当に久しぶりだ。今日はこのルートは歩かないで、横切ってそのまま尾根伝いに銀峯を目指す。ルート横断地点から急な笹斜面を登る。踏跡は最初ごく薄くあり、笹の急斜面が始まるとほとんど無くなってしまった。頭上のカラマツの黄葉がきれい。
さらに、急登をこなしていく。カラマツが少なくなり、広葉樹も混じり出す斜面。
双耳峰のような巨岩があって、(p ↓)それは真ん中を通過。その後すぐまたひとつの巨岩、それは右を巻いた。
巨岩を巻いて更に急な笹ヤブ斜面を登ってピークらしい尾根上に立つ。少し周囲の木々を見渡してたそがれさんの付けられた名板を発見。凝った作り、それでいて大袈裟ではなく周囲の雰囲気を壊さないレベル。地味な樹林間の銀峯ピークと調和していた。
銀峯からは、木の根っこの脇に隙間の穴ボコが多く空いているような地点を通過して、少し下ってまた登り返す。目の前に見えた庚申山山頂部と直下の岩壁がより大きく見えてきた。
雰囲気のよい明るい尾根を登る。この周辺も結構急。非常に足尾の尾根っぽい。
岩場の面倒な巻きなどが、また出てくるといやだな。庚申山の山頂直下でそんなに穏やかに最後、登りつめられるはずがない、などと思っていた。先をみると山頂直下まで普通の尾根が通じているような雰囲気だった。
尾根のすぐ東側(右)をみると、落ちたらただ事ではすまない絶壁もあった。
もうちょっとで山頂だなと思う地点は濃い樹林帯に入って、最後かなりの急な登りを強いられる。(p ↓)
そういえば銀峯ピークより北側の尾根はずっとシカ道のような踏跡がかなり明瞭に続いていた。
登りもおわり、平坦に近い踏跡を辿って少し進むと、単独男性が遠景を撮影していた。そこで一般ルート合流、その男性と挨拶をしたが、へんな方向から出てきたことは問われなかった。その人に富士山が見えていることを教えていただいた。意外にもよく撮れた(感謝)。
一般ルート合流点は山頂の名板のある場所のすぐ近く。山頂の西の展望台に行くと、出発時挨拶した栃木の御夫婦が休憩されていた。山頂にはそのお二人のみ、ヤブルートでなな”が登ることを知っていたそのお二人に、お疲れさまと言われた。山頂はこれ以上がないような晴天。白根方面の稜線を中心に見えるものは全て見えていた。
(説明の必要はない。)
(説明の必要はない。)
こんなに松木沢方面が美しく黄葉しているのを見るのも、10年ぶり以上だ。
(遠方右は錫ケ岳だろう。県境尾根もくっきり見えた。)
山頂でゆっくり写真をとったりして休んでいると三人のおじさんグループも登ってきた。入れ替えで下山。復路はもちろん一般ルート、お山めぐりコースに行くかどうかは、分岐での気分で決めよう。
(岩に生える木々の紅葉が美しかった。)
いつも気になって見てしまう。このトンガリ巨岩、すぐ下が正規ルート。
結局お山めぐりコースはやめた。通常メジャールートだけでも岩肌に映える紅葉がきれいだったのと、明日も福島に観光で遠出の必要があったから。お山めぐりの紅葉も素晴らしいのは知っていた、それはまた来年のお楽しみにしようか。
岩峰群から離れて傾斜もゆるくなる。振り返ると鮮やかな色彩の林。この時期山頂部は紅葉は終わっていても、樹林が豊富なこの周辺は色鮮やかなのは、この山何度も来ているのでよく知っていた。
鮮やかな紅葉の中を降ていく。この綺麗さの中、出会った登山者はそんなに多くない。全部で20人をくらい?。山荘よりも下った地点で大きめのザック登ってくる老夫婦と息子さんらしき青年の3人グループが登ってきた。挨拶してすれ違う時、一番後ろにいた青年に、「明日は皇海山ですか。」と尋ねると、笑顔が帰ってきた。この日、すれ違った皇海山狙いらしき登山者は約8名くらい、翌日は快晴もあってすばらしいロング歩きを楽しめただろう。
秋色に染まる林の中にいた夫婦蛙岩。
七滝の脇にあるテーブル・ベンチに腰掛け軽い食事をしていると、下り途中で追い越させてもらった高齢のかたのグループもやってきて、撮影をしていた。記念写真のシャッターを押してあげた。この場所、紅葉の天井の下にいるような感じで実にきれい、夢の中にいるような場所だった。
一の鳥居からは、紅葉に色づいた渓谷やかすかに見える滝などをみながら歩く。朝絶不調だった足もいつしか普通に戻っていた。きっとあのちょっとだけ危うい岩場の対応あたりで、心と体が目覚めて正規の状態に戻ったのだろう。
庚申山は山荘より上、急な岩壁をよじ登る鎖、はしごの連続の山。そんな山にルート無し尾根で山頂に到達できることは、3年前までの自分の常識のなかには無かった。そんなことで、往路の未知尾根歩きはたやすい歩きだけではなかったが、達成感はある。復路の一般ルート、特に上部の岩と紅葉の風景、下部の黄葉の林はとてもきれいだったので歩き終わった感想はなおさら良くなった気がする。 ■■
(林道も美しい色に覆われていた。この後、数日経つと、もっと色も深まりとんでもない味わいの渓谷になることを、経験上知っている。)
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行かれましたね!最初の画像がまだ記憶に新しい感じです。自分も例の山名板を参拝しなくてはなりませんね。ご利益があったのでは?・・・・工事が終わったらまたコメント入れますね。
あの急峻な、岩を登っていくはしご、鎖ルートの庚申山にルート無し尾根で登るというのが、実は今回の醍醐味でした。
例の山名板はひっそりとたたずんでいましたよ。画像も載せられるかと思います。
展望も素晴らしかったですよ。
σ(^^)が庚申川のゲート手前のスペースに,車を停めたのが7時少し前で,出発したのが7:10分ですから,おそらくすれ違ってハズですヨ。ゲート前の沢側に停めたミラで,準備をしていた変なオヤジを見なかったですかネ。
銀峯,たそがれオヤジさんとななころびさんの記事を読んで,十分,状況が分かりました。此で安心して向かうことができますヨ(笑)。
水面沢沿いも庚申七滝の紅葉も綺麗でしたが,着いたのは,夕方で薄暗かったからなぁ~。
日中に凄いのを見ちゃってたんで,感動がイマイチでしたヨ。
私が巻いた岩場はみー猫さんなら、軽く直登ですんだかもしれないです。あの尾根、ルーファンは必要ないですが、巻き道を探すのをルーファンとするなら、確かにルーファンも楽しめました。
今後、庚申山に登る時、また使ってもよいと思える尾根でもありました。
当日ゲート前に何台か車あり、空きスペース少しありは覚えていまして、そこに人がいたかは覚えていないのです。
タイムマシンがあるなら、その時間に戻ってみたいです。
瀑泉さんと認識できずに残念、またいつか会う機会もあるでしょう。
私が巻きで難渋した岩場は滝や沢歩きの人なら軽く直登かもと思っています。
日中、すごいものを見られたと聞いて非常に興味が沸いております。記事が楽しみです。今年の秋も紅葉満喫みたいですね。
私が最近行ったのは10月12日でしたから、あの山名板が2週間も経ずに他人様のネットにさらされるとはねぇ…。ありがとうございます。
自分の記事も含めて、いただくコメントなんかを拝見すると、水ノ面沢右岸尾根に興味を示されている方が最低2人はいらっしゃるようで、一気に驚きのマイナールートになっちゃいましたね。
あのコースのハイライトは、銀峯の先、庚申山直下から眺める銀峯方向の展望かと思います。異様なボコボコピークの姿が何とも言えません。
願わくは、ななころびさんの記事に触発されて、ピンクやら赤のテープ、リボンが付けられることのないように祈りたいものです。
それにしても、瀑泉さん記事も含め、庚申山の色づき、なかなかのものですね。行く日がずれただけで、こうも違うものなのですね。うらやましいの一言です。
過去に数えきれないくらい登っている庚申山ですが、こんな登り方ができるなんて、たそがれさんの記事をみるまで気づかなかったです。機会を与えていただきありがとうございました。
異様なボコボコピークはたしかにかなり異様、でも今まで登っていてその景色は気にしたことがなかったのです。何見てたんだろう。
確かにあの尾根に、テープは付けてほしくはないですね。登っている限りまちがいようのない尾根ですから。(途中で下ろうとすると、間違った尾根に下りてしまうかも。)
でもたそがれさんの記事に集うお知り合いのかたがたは、テープなんて付けないから大丈夫でしょう。
この時期の庚申山は山頂付近より下は、紅葉がきれいですね。久しぶりにあそこの紅葉を楽しみました。