《あらすじ》
突然現れた女性は、カン・ジョンヒ。
ムヨルの元恋人で、今も忘れられない人……。
ウンジェはショックですっかり落ち込んでしまう。
ムヨルと仲良くするジョンヒを見て、心の中で悪態をつきまくりのウンジェ。
成り行きで飲み比べになるのだが、ジョンヒも負けてはいない。
互いに一歩も引かない酒豪対決。
かわいい顔して案外豪快なジョンヒは、確かに魅力的な女の子だ。
デレデレのムヨルを見ていられないウンジェは何かとふたりの間を邪魔するが……。
ジョンヒを見て、女性らしさに目覚めたウンジェは、眉を整えてお化粧もちょっとして
天パーを一生懸命伸ばしてムヨルを迎えに行く。
と、ムヨルもひげをそってすっきり。
なんなの?この気合いの入りようは?
「香水つけたの?」
「いつもだ」
「つけすぎ……」
「ひげそったの?」
「ああ、心機一転やり直そうかと思って」
「何をやり直したいわけ?」(小声で)
「どうだ、似合ってるか?」
「え~え、顔がつるんとして遊び人っぽい」
ウンジェの言い方にかちんときたムヨル。
「髪型かえた?」
「あ、ええ、そろそろ飽きてきたから。似合います?」
「ああ、かっこいいよ。女装した男みたいだ」
「……」
「あれ?お前眉毛どうした?半分もないぞ?」
取りあえず、このラウンドはムヨルの勝ちかも。
ジョンヒが帰国したことは、部外者にはまだ秘密だ。
ドリーマーズのラウンジで、ドンスはムヨルとコ記者とを仲直りさせる。
促されていやいや握手のまねごとをするふたり。
意地っ張りのふたりだけれど、ムヨルは感謝してるし、コ記者も悪いと思ってる。
ジョンヒが、ムヨルに会いに来た。
「ね、ソ・ユニって誰?」
ジョンヒはユニの入院していた病院へ出向き、彼と相対する。
「ねえ、私のこと知ってる?」
「いえ、覚えがありませんが」
「そうよね」
ジョンヒは、退院祝いのバラをつかみ取ると、それでユニの頬を打った。
「あいつには絶対近づくな!」
ムヨルは彼女の身が心配なのだ。
ユニは、平気で嘘をつき、人を陥れる悪い人間だ。
「じゃ、ご飯おごって」
ムヨルはとにかくジョンヒに甘いのだ。
ジョンヒが手洗いに立った隙に、ムヨルは
離れた席で食事をとっているウンジェに話しかけた。
「なぁ、ジョンヒをどう思う?」
「何が?」
「俺に気があるかな?」
(あんたがその気なのは確かね)
「わかんない」
「女の勘でわかるだろ?」
「無理だね。女装した男だもん」
「あの発言は取り消すから考えてみろ。どうだ?」
「魅力的な子ね」
「そうだろ?」
「美人で、率直で、スタイル抜群、お酒も強い」
「だよな?」
「そんな子が、独り身で居るかしら?
しかもイギリス在住!男女関係に寛大な自由恋愛の国よね。
トムやマイケルって彼氏がいるに決まってる」
途端に不機嫌になるムヨル……。
ジョンヒの買い物につきあうムヨルの警護についてまわるウンジェは、
何かといちゃつくバカップルに、心の中で突っ込まずにいられない。
ジョンヒもどうやらフリーみたいだし。ちぇっ。
きれいになりたいウンジェ。
ドンアはウンジェの好きな人をどうしても知りたくて推理推理。
ムヨルはあり得ないし、キム室長は私のもの、ジン・ドンスは既婚者だし……。
コ記者でしょ!
的外れの推理はこの際ほっといて、自分に自信がないウンジェ。
自分だけの魅力って一体なんだろ?
……筋力?
ムヨルはジョンヒに会いたくて、ドンスの家に出かけていく。
ウヨンをだしに、プレゼントを持って行ったのだ。
部屋を捜していたジョンヒは、
ムヨルの居るマンションの一室に引っ越してくることになった。
ジョンヒの飼い猫が「ショート」だと知ったムヨルはご機嫌。
セカンドでもない、ショート、ピッチャーでもない、キャッチャーでもない、ショート。
ショートは遊撃手の俺のことだろ~。
「あっそ、それはお幸せですわね」
「お前最近おかしいぞ。前よりひねくれてる」
「ふん、もっともっとひねくれてやる」
ウンジェはすっかりすねてしまった。
ケビン・チャンの小屋、警護規則第5条。
警護対象者に特別な感情を持つべからず。
トレーニングルームでぼんやりしているムヨル。
「なぁ、コルトン、初恋はいくつの時だった?」
「プライベートは秘密です」
「まだなんだろ?」
「なんでそうなるのよ」
「図星だろ」
「高1の時よ!」
「今作ったろ」
「失礼な!高3の先輩で、色白で、同じ教会に通ってて、ソン・ジュンギスタイルの!」
ウンジェからアタックしてスケート場でデートしたのだが、
その時不良にからまれてしまった先輩を、ウンジェが助けたのだった。
それから連絡は途絶えてしまったんだけど……。
ムヨルは大笑い。ウンジェの行為は、結果的に男に恥をかかせたことになるのだ。
「何よ、男って見栄っ張りね」
「困ったやつだな。今度から男の前では強い姿なんか見せるなよ。わかったか?」
「もう見せちゃった……」
ウンジェはつぶやいた。
「俺の初恋は……」
「聞いてません」
ムヨルの初恋の話なんかききたくないけど、ジョンヒと別れた理由は知りたい。
一度別れた男女がつきあっても、うまくいかない。
だってそれは未練だから。
別れた原因が解決されてなければ、同じこと。
ムヨルはジョンヒと別れた原因については、教えてくれなかった。
ドンアは、キム室長に頼まれて、ユニの働くバーに潜入捜査に向かう。
厨房の従業員として働いて、誰が彼に入れ知恵したのかを探るつもりだ。
ムヨルは、昔のことを思い出していた。
別れはジョンヒの方が切り出した。
私は迷惑ばかりかけている。こんなことが続けば、あなたは私を憎むようになる。
「そんなのは嫌でしょ?」
お互いに、愛し合ってた。
キライになったわけじゃない。ただ仕方なく、わかれたふたり。
ウンジェもドンスから、その理由を聞いた。
ジョンヒは躁鬱病で、感情の起伏が激しかった。
鬱状態で失踪した彼女を捜しに、ムヨルは大学の合宿所から抜け出して問題になった。
翌年の成績は最悪。
ジョンヒはムヨルのために、身を引いたのだった。
クリスマスイブ、ウンジェの父さんは、どうやら新しい彼女に会いにいく様子。
ウンジェは少し寂しいが、ようやく再出発しようとしている父親を応援したい。
父を送り出して家でのんびり寝ていると、ムヨルから電話がかかってきた。
実はムヨルも暇で仕方がなかったのだ。
「寝てたのか?」
「いえ、寝てません!本を読んでました」
「寝ていた声だ」
「それを確かめるために電話を?」
「クリスマスイブにひとりかよ」
「あんたはどうなのよ」
「クリスマスの意味を考えてる」
「へー、そういうことにしときましょ」
何の用かなかなか言い出せないムヨルだったが、
「遊んでやるから来い」
本当は大喜びのウンジェだが、わざと気のないふりをしてみる。
「え~?」
「食事をおごってやる」
「こんな日はどこも混んでるのにぃ~」
「来るのか、来ないのか?」
もちろんウンジェは口紅まで塗ってちょっとはかわいくして飛んでいった。
それなのに、ムヨルの家には出前持ちが。
「外食じゃないの?」
「どこも予約でいっぱいだよ」
ちぇっちぇっと思いつつラップを外していたら、急にムヨルに唇をぬぐわれた。
「お前なんかついてるぞ。あれっ?口紅塗ってるのか?」
「触らないでよ!」
「なんで急に口紅なんかつけてるんだよ」
「クリスマスだから……」
なんだかんだ言っても、ウンジェは嬉しい。
ムヨルを見ているだけで楽しいんだもの。
「お前さ、初恋の相手が恋しくない?」
「さあね、どこかで幸せにくらしてるでしょ。
ジョンヒさんは何してるの?」
「しらね」
「彼女も呼べばいいのに」
「コルトン、お前が言っただろ。別れた原因が、解決してない」
ムヨルは、運命をしんじてる。運命の赤い糸。
「恋愛や結婚の回数の話じゃない。うまくいくかどうかも、問題じゃない。
運命の人だと、思うこと。すでに別れたのに、終わったと、思えない。
これで終わりではないと、思える」
「それは未練よ」
ウンジェの表情は硬くなる。
「運命なんて信じない。どんなに愛し合ってても、別れたら終わりよ」
「運命の人はいる。誰にでもいる。つらいからあきらめるだけ」
「運命はない。時がたてばお互いに忘れる」
「はっ、愛を知ってるか?」
「知らないとでも?」
「知ってるのかよ?」
「9歳で愛は命取りになると学んだ」
「はは、近所の幼なじみと?」
「母が浮気して、家庭崩壊したんです」
近所の人が押しかけてきて、母は散々責められた。
でも父さんは、母さんを許した。愛してたから。
でも母さんは、夫も子どもも捨てて家を出た。男を愛していたから。
そんな親の娘なのに、愛を知らないって?
母はその後、男と別れた。
15年も母を待ってた父さんには、新しい女ができた。
「8年しかたってないくせに、何が運命よ!」
神妙な顔できいていたムヨルは、ウンジェに言う。
「だけど、そんなに怒ることないだろ」
「死ぬまで忘れられなかったら困るのよ!」
「何の話だよ」
「どういうことか私にもわからないけど、あんたが好きなの」
ムヨルは、驚いて、動けなくなってしまう。
「好きなの。運命があるのなら、私の運命の人は、あんたよ」
ウンジェは、しっかりとムヨルを見つめた。
(つづく)
いやー、やっとロマンスだなー!
強力なライバルが登場して、やっとタイトルに恥じない、
ロマンスが展開してまいりました。
ロマンス部にはいると、あらすじもあらすじか?と言いたくなるほど長くなるんだよね。
だって恋愛ものはディティールが命じゃん?
こそばゆいセリフがまた大事なんだよな~。
ムヨルはジョンヒにデレデレで、ウンジェが焼きもちを隠そうともしないのがかわいい。
ただ、いつもの態度がいつもの態度ですから、焼きもちだということが、
ムヨルには伝わっていません。
残念だな、ウンジェや。
バカップルのデートにいちいち心の声で突っ込みを入れるウンジェが可笑しかった。
「あ、スプーンだぁ~」とバカっぽくぶりっこするウンジェ最高!
多かれ少なかれ、やってるだろ、世の女子は。若い頃、一度くらいは。
眉を整え、口紅を塗り、好きな人の前では、かわいくありたい女心。
健気だねぇ~。
ムヨルにはぜんっぜん通じてないけどね~。
んでもさ、ムヨルはクリスマスイブにウンジェを誘うじゃない。
もちろん、ジョンヒのことはあきらめなきゃいけないのかなと思っているから
誘わなかったわけだけれど、
ウンジェを誘うときのムヨルのあの長い間が、気になるとこだよね。
なかなか遊びに来いって言い出せない。
そして言うとなったら、めっちゃ早口。
お前は中学生男子か!
妙にじらされたら、恥ずかしさも倍増して切れかかるのはムヨルらしい。
ふふふ、かわいいとこあるじゃないか。
ちょっとはウンジェを好きな気持ちがあるんでしょ、ムヨラ。
ウンジェのことを信頼しているのは確かだよね。
必死に自分を捜して山奥まで来てくれたこと、実はジーンと来てると思う。
乱暴者のムヨルは意外に純情で、「運命の人」なんてことを信じてる。
女の子ナンパして一夜限りってのもアリな男なのにねー。
そのへんは別ものと割り切っているということでしょうね。
ジンさんも、そんな気配ありました。
「ムヨルはまだジョンヒのことが好きなようだ」
「別の女性ともつきあってたわ」
「それはそういうのもあるだろ」
みたいな会話があったよね。
奥さんのスヨンさんは、わりと冷静に事態を見ているようです。
え?スヨンさんのことは、いまだに虫が好かないですよ。
なんでかって、ジンさんにめちゃくちゃ愛されてるからですよ!
無駄な嫉妬ですけど、いーんです。
「運命の人は誰にでもいる。つらいからあきらめるだけ」
なんか、これ聞いて急に切なくなっちゃいましたよ……。
本当にそうなのかも、と思えるような恋愛してた友達がいたもん。
でも、心のどこかで「そんなアホな~」と突っ込んでいる自分もいる。
今、目の前にいる人たちを本気で大事にできないなら、
せっかく生きてる意味がないよな。
ウンジェの考え方も、つらい思い出のせいでかたくなすぎると思うけど……。
「愛は命取りになる」ってのは、別の意味でも納得だな!
今んとこ、ウンジェの愛は命取りになる感じだぞ。
流れのままにとうとう告白しちゃったしね……。
どうなるんだろうか?
実はかわいいウンジェ。自信を持つんだ!
ムヨルは受け入れられる状況じゃないよねー。
晴天の霹靂って感じ?
天敵だと思っていた相手が、自分のこと好きだなんてどうするよ?
ただ、そんな……別に……きらいってわけじゃないし、
いろいろ自分のためにがんばってくれたのはありがたいって思ってるし、
なんかすでに側にいることに慣れてきてるし、
話しててけっこう面白いし……。
ってくらいには、思っているんじゃないですかね。
でも、ジョンヒがいますからね。
なぜ別れたのかと思ってたけど、キライで別れたわけじゃないんだね。
こういうのが一番面倒ですね。
そして病気のため、彼を振り回してしまいがちなジョンヒ。
躁鬱病と字幕にありましたが、現在は双極性障害と呼ばれているようですね。
芸術的才能との関連が議論されている、とウィキにもありますが、
ジョンヒには絵の才能があるんでしたっけね。
プロ野球選手を支えるためには、献身的な妻の努力が必要だろうな、
というのは、スヨンさんを見ててもわかりますけれども、
自由奔放そうなジョンヒははたしてそれができるんでしょうか?
病気もあるし、無理、と思ったからこそ、彼女は別れを切り出したんでしょうしねぇ。
しかし、今になってなぜ戻ってきたのか?
ややこしいところですね。
ついつい、会話部分を抜き出して書いてしまいましたが、
こうして文章におこしても、あまり雰囲気が伝わらないかな。
やはり会話のテンポや空気感は見ていないとわからないですよね。
ムヨルとウンジェの掛け合いが楽しくて、私は好きです。
ケンカばかりしてた第1話から、楽しかったですもん。
ハッピーエンドを期待してますよ……。
ウンジェの愛についてのトラウマが、最後の最後に障壁となるかもね。
でもさ、お父さんが会ってた女の人って、逃げたお母さんだと思わない?
なんとなくそう感じたんだけど、どうだろう?
なかなかうまくいかない本筋とは裏腹に、
サイドカップルは順調に関係を深めていっているようです。
潜入捜査のために、キム室長につけまつげを装着してもらうドンア。
戦略ではありません。天然です。
なかなかの色っぽさですね。
無事装着完了後の、キム室長のこめかみの汗が可笑しいです。
ロボットなのに汗かくんだ……じゃなくて、
表面は平静を装ってても、かなり動揺してるんですね、室長。
ドンアの、戦略でない仕草がより大きな効果をあげているんですねー。
がんばれードンア!
うさぎりんごもかわいいぞ!
目をつけるのはデフォなのか。
ムヨルを狙っている誰かは、ジョンヒにも何か送ってきた様子。
今回はロマンスモードでしたが、
ムヨルが危険なことにかわりはありません。
次回はサスペンス展開?
※そうそう、今回から、私の中ではジン・ドンスは「ジンさん」です。
「ドンスさん」てなんかもったりしててヤだな、と思ってたんだよね。
そしたらコ記者が字幕で「ジンさん」と呼んでたので、あ!これだ!と拝借しました。
ほんとは「ヒョンニム」だか「ドンスヒョン」って呼んでたと思う。
韓国では、普通は「ジン・ドンス シ」と、日本で言う「さん」にあたる「シ」をつけますが、
「ジン シ」という、名字+シ の形はあり得ないそうです。
「ドンス シ」は有りね。
だからほんとは「ジンさん」はおかしいんだけど、私の中では呼びやすいので、
これで今後は書いておきます。あしからず。
本当に呼び方については訳が難しい韓国語です。
突然現れた女性は、カン・ジョンヒ。
ムヨルの元恋人で、今も忘れられない人……。
ウンジェはショックですっかり落ち込んでしまう。
ムヨルと仲良くするジョンヒを見て、心の中で悪態をつきまくりのウンジェ。
成り行きで飲み比べになるのだが、ジョンヒも負けてはいない。
互いに一歩も引かない酒豪対決。
かわいい顔して案外豪快なジョンヒは、確かに魅力的な女の子だ。
デレデレのムヨルを見ていられないウンジェは何かとふたりの間を邪魔するが……。
ジョンヒを見て、女性らしさに目覚めたウンジェは、眉を整えてお化粧もちょっとして
天パーを一生懸命伸ばしてムヨルを迎えに行く。
と、ムヨルもひげをそってすっきり。
なんなの?この気合いの入りようは?
「香水つけたの?」
「いつもだ」
「つけすぎ……」
「ひげそったの?」
「ああ、心機一転やり直そうかと思って」
「何をやり直したいわけ?」(小声で)
「どうだ、似合ってるか?」
「え~え、顔がつるんとして遊び人っぽい」
ウンジェの言い方にかちんときたムヨル。
「髪型かえた?」
「あ、ええ、そろそろ飽きてきたから。似合います?」
「ああ、かっこいいよ。女装した男みたいだ」
「……」
「あれ?お前眉毛どうした?半分もないぞ?」
取りあえず、このラウンドはムヨルの勝ちかも。
ジョンヒが帰国したことは、部外者にはまだ秘密だ。
ドリーマーズのラウンジで、ドンスはムヨルとコ記者とを仲直りさせる。
促されていやいや握手のまねごとをするふたり。
意地っ張りのふたりだけれど、ムヨルは感謝してるし、コ記者も悪いと思ってる。
ジョンヒが、ムヨルに会いに来た。
「ね、ソ・ユニって誰?」
ジョンヒはユニの入院していた病院へ出向き、彼と相対する。
「ねえ、私のこと知ってる?」
「いえ、覚えがありませんが」
「そうよね」
ジョンヒは、退院祝いのバラをつかみ取ると、それでユニの頬を打った。
「あいつには絶対近づくな!」
ムヨルは彼女の身が心配なのだ。
ユニは、平気で嘘をつき、人を陥れる悪い人間だ。
「じゃ、ご飯おごって」
ムヨルはとにかくジョンヒに甘いのだ。
ジョンヒが手洗いに立った隙に、ムヨルは
離れた席で食事をとっているウンジェに話しかけた。
「なぁ、ジョンヒをどう思う?」
「何が?」
「俺に気があるかな?」
(あんたがその気なのは確かね)
「わかんない」
「女の勘でわかるだろ?」
「無理だね。女装した男だもん」
「あの発言は取り消すから考えてみろ。どうだ?」
「魅力的な子ね」
「そうだろ?」
「美人で、率直で、スタイル抜群、お酒も強い」
「だよな?」
「そんな子が、独り身で居るかしら?
しかもイギリス在住!男女関係に寛大な自由恋愛の国よね。
トムやマイケルって彼氏がいるに決まってる」
途端に不機嫌になるムヨル……。
ジョンヒの買い物につきあうムヨルの警護についてまわるウンジェは、
何かといちゃつくバカップルに、心の中で突っ込まずにいられない。
ジョンヒもどうやらフリーみたいだし。ちぇっ。
きれいになりたいウンジェ。
ドンアはウンジェの好きな人をどうしても知りたくて推理推理。
ムヨルはあり得ないし、キム室長は私のもの、ジン・ドンスは既婚者だし……。
コ記者でしょ!
的外れの推理はこの際ほっといて、自分に自信がないウンジェ。
自分だけの魅力って一体なんだろ?
……筋力?
ムヨルはジョンヒに会いたくて、ドンスの家に出かけていく。
ウヨンをだしに、プレゼントを持って行ったのだ。
部屋を捜していたジョンヒは、
ムヨルの居るマンションの一室に引っ越してくることになった。
ジョンヒの飼い猫が「ショート」だと知ったムヨルはご機嫌。
セカンドでもない、ショート、ピッチャーでもない、キャッチャーでもない、ショート。
ショートは遊撃手の俺のことだろ~。
「あっそ、それはお幸せですわね」
「お前最近おかしいぞ。前よりひねくれてる」
「ふん、もっともっとひねくれてやる」
ウンジェはすっかりすねてしまった。
ケビン・チャンの小屋、警護規則第5条。
警護対象者に特別な感情を持つべからず。
トレーニングルームでぼんやりしているムヨル。
「なぁ、コルトン、初恋はいくつの時だった?」
「プライベートは秘密です」
「まだなんだろ?」
「なんでそうなるのよ」
「図星だろ」
「高1の時よ!」
「今作ったろ」
「失礼な!高3の先輩で、色白で、同じ教会に通ってて、ソン・ジュンギスタイルの!」
ウンジェからアタックしてスケート場でデートしたのだが、
その時不良にからまれてしまった先輩を、ウンジェが助けたのだった。
それから連絡は途絶えてしまったんだけど……。
ムヨルは大笑い。ウンジェの行為は、結果的に男に恥をかかせたことになるのだ。
「何よ、男って見栄っ張りね」
「困ったやつだな。今度から男の前では強い姿なんか見せるなよ。わかったか?」
「もう見せちゃった……」
ウンジェはつぶやいた。
「俺の初恋は……」
「聞いてません」
ムヨルの初恋の話なんかききたくないけど、ジョンヒと別れた理由は知りたい。
一度別れた男女がつきあっても、うまくいかない。
だってそれは未練だから。
別れた原因が解決されてなければ、同じこと。
ムヨルはジョンヒと別れた原因については、教えてくれなかった。
ドンアは、キム室長に頼まれて、ユニの働くバーに潜入捜査に向かう。
厨房の従業員として働いて、誰が彼に入れ知恵したのかを探るつもりだ。
ムヨルは、昔のことを思い出していた。
別れはジョンヒの方が切り出した。
私は迷惑ばかりかけている。こんなことが続けば、あなたは私を憎むようになる。
「そんなのは嫌でしょ?」
お互いに、愛し合ってた。
キライになったわけじゃない。ただ仕方なく、わかれたふたり。
ウンジェもドンスから、その理由を聞いた。
ジョンヒは躁鬱病で、感情の起伏が激しかった。
鬱状態で失踪した彼女を捜しに、ムヨルは大学の合宿所から抜け出して問題になった。
翌年の成績は最悪。
ジョンヒはムヨルのために、身を引いたのだった。
クリスマスイブ、ウンジェの父さんは、どうやら新しい彼女に会いにいく様子。
ウンジェは少し寂しいが、ようやく再出発しようとしている父親を応援したい。
父を送り出して家でのんびり寝ていると、ムヨルから電話がかかってきた。
実はムヨルも暇で仕方がなかったのだ。
「寝てたのか?」
「いえ、寝てません!本を読んでました」
「寝ていた声だ」
「それを確かめるために電話を?」
「クリスマスイブにひとりかよ」
「あんたはどうなのよ」
「クリスマスの意味を考えてる」
「へー、そういうことにしときましょ」
何の用かなかなか言い出せないムヨルだったが、
「遊んでやるから来い」
本当は大喜びのウンジェだが、わざと気のないふりをしてみる。
「え~?」
「食事をおごってやる」
「こんな日はどこも混んでるのにぃ~」
「来るのか、来ないのか?」
もちろんウンジェは口紅まで塗ってちょっとはかわいくして飛んでいった。
それなのに、ムヨルの家には出前持ちが。
「外食じゃないの?」
「どこも予約でいっぱいだよ」
ちぇっちぇっと思いつつラップを外していたら、急にムヨルに唇をぬぐわれた。
「お前なんかついてるぞ。あれっ?口紅塗ってるのか?」
「触らないでよ!」
「なんで急に口紅なんかつけてるんだよ」
「クリスマスだから……」
なんだかんだ言っても、ウンジェは嬉しい。
ムヨルを見ているだけで楽しいんだもの。
「お前さ、初恋の相手が恋しくない?」
「さあね、どこかで幸せにくらしてるでしょ。
ジョンヒさんは何してるの?」
「しらね」
「彼女も呼べばいいのに」
「コルトン、お前が言っただろ。別れた原因が、解決してない」
ムヨルは、運命をしんじてる。運命の赤い糸。
「恋愛や結婚の回数の話じゃない。うまくいくかどうかも、問題じゃない。
運命の人だと、思うこと。すでに別れたのに、終わったと、思えない。
これで終わりではないと、思える」
「それは未練よ」
ウンジェの表情は硬くなる。
「運命なんて信じない。どんなに愛し合ってても、別れたら終わりよ」
「運命の人はいる。誰にでもいる。つらいからあきらめるだけ」
「運命はない。時がたてばお互いに忘れる」
「はっ、愛を知ってるか?」
「知らないとでも?」
「知ってるのかよ?」
「9歳で愛は命取りになると学んだ」
「はは、近所の幼なじみと?」
「母が浮気して、家庭崩壊したんです」
近所の人が押しかけてきて、母は散々責められた。
でも父さんは、母さんを許した。愛してたから。
でも母さんは、夫も子どもも捨てて家を出た。男を愛していたから。
そんな親の娘なのに、愛を知らないって?
母はその後、男と別れた。
15年も母を待ってた父さんには、新しい女ができた。
「8年しかたってないくせに、何が運命よ!」
神妙な顔できいていたムヨルは、ウンジェに言う。
「だけど、そんなに怒ることないだろ」
「死ぬまで忘れられなかったら困るのよ!」
「何の話だよ」
「どういうことか私にもわからないけど、あんたが好きなの」
ムヨルは、驚いて、動けなくなってしまう。
「好きなの。運命があるのなら、私の運命の人は、あんたよ」
ウンジェは、しっかりとムヨルを見つめた。
(つづく)
いやー、やっとロマンスだなー!
強力なライバルが登場して、やっとタイトルに恥じない、
ロマンスが展開してまいりました。
ロマンス部にはいると、あらすじもあらすじか?と言いたくなるほど長くなるんだよね。
だって恋愛ものはディティールが命じゃん?
こそばゆいセリフがまた大事なんだよな~。
ムヨルはジョンヒにデレデレで、ウンジェが焼きもちを隠そうともしないのがかわいい。
ただ、いつもの態度がいつもの態度ですから、焼きもちだということが、
ムヨルには伝わっていません。
残念だな、ウンジェや。
バカップルのデートにいちいち心の声で突っ込みを入れるウンジェが可笑しかった。
「あ、スプーンだぁ~」とバカっぽくぶりっこするウンジェ最高!
多かれ少なかれ、やってるだろ、世の女子は。若い頃、一度くらいは。
眉を整え、口紅を塗り、好きな人の前では、かわいくありたい女心。
健気だねぇ~。
ムヨルにはぜんっぜん通じてないけどね~。
んでもさ、ムヨルはクリスマスイブにウンジェを誘うじゃない。
もちろん、ジョンヒのことはあきらめなきゃいけないのかなと思っているから
誘わなかったわけだけれど、
ウンジェを誘うときのムヨルのあの長い間が、気になるとこだよね。
なかなか遊びに来いって言い出せない。
そして言うとなったら、めっちゃ早口。
お前は中学生男子か!
妙にじらされたら、恥ずかしさも倍増して切れかかるのはムヨルらしい。
ふふふ、かわいいとこあるじゃないか。
ちょっとはウンジェを好きな気持ちがあるんでしょ、ムヨラ。
ウンジェのことを信頼しているのは確かだよね。
必死に自分を捜して山奥まで来てくれたこと、実はジーンと来てると思う。
乱暴者のムヨルは意外に純情で、「運命の人」なんてことを信じてる。
女の子ナンパして一夜限りってのもアリな男なのにねー。
そのへんは別ものと割り切っているということでしょうね。
ジンさんも、そんな気配ありました。
「ムヨルはまだジョンヒのことが好きなようだ」
「別の女性ともつきあってたわ」
「それはそういうのもあるだろ」
みたいな会話があったよね。
奥さんのスヨンさんは、わりと冷静に事態を見ているようです。
え?スヨンさんのことは、いまだに虫が好かないですよ。
なんでかって、ジンさんにめちゃくちゃ愛されてるからですよ!
無駄な嫉妬ですけど、いーんです。
「運命の人は誰にでもいる。つらいからあきらめるだけ」
なんか、これ聞いて急に切なくなっちゃいましたよ……。
本当にそうなのかも、と思えるような恋愛してた友達がいたもん。
でも、心のどこかで「そんなアホな~」と突っ込んでいる自分もいる。
今、目の前にいる人たちを本気で大事にできないなら、
せっかく生きてる意味がないよな。
ウンジェの考え方も、つらい思い出のせいでかたくなすぎると思うけど……。
「愛は命取りになる」ってのは、別の意味でも納得だな!
今んとこ、ウンジェの愛は命取りになる感じだぞ。
流れのままにとうとう告白しちゃったしね……。
どうなるんだろうか?
実はかわいいウンジェ。自信を持つんだ!
ムヨルは受け入れられる状況じゃないよねー。
晴天の霹靂って感じ?
天敵だと思っていた相手が、自分のこと好きだなんてどうするよ?
ただ、そんな……別に……きらいってわけじゃないし、
いろいろ自分のためにがんばってくれたのはありがたいって思ってるし、
なんかすでに側にいることに慣れてきてるし、
話しててけっこう面白いし……。
ってくらいには、思っているんじゃないですかね。
でも、ジョンヒがいますからね。
なぜ別れたのかと思ってたけど、キライで別れたわけじゃないんだね。
こういうのが一番面倒ですね。
そして病気のため、彼を振り回してしまいがちなジョンヒ。
躁鬱病と字幕にありましたが、現在は双極性障害と呼ばれているようですね。
芸術的才能との関連が議論されている、とウィキにもありますが、
ジョンヒには絵の才能があるんでしたっけね。
プロ野球選手を支えるためには、献身的な妻の努力が必要だろうな、
というのは、スヨンさんを見ててもわかりますけれども、
自由奔放そうなジョンヒははたしてそれができるんでしょうか?
病気もあるし、無理、と思ったからこそ、彼女は別れを切り出したんでしょうしねぇ。
しかし、今になってなぜ戻ってきたのか?
ややこしいところですね。
ついつい、会話部分を抜き出して書いてしまいましたが、
こうして文章におこしても、あまり雰囲気が伝わらないかな。
やはり会話のテンポや空気感は見ていないとわからないですよね。
ムヨルとウンジェの掛け合いが楽しくて、私は好きです。
ケンカばかりしてた第1話から、楽しかったですもん。
ハッピーエンドを期待してますよ……。
ウンジェの愛についてのトラウマが、最後の最後に障壁となるかもね。
でもさ、お父さんが会ってた女の人って、逃げたお母さんだと思わない?
なんとなくそう感じたんだけど、どうだろう?
なかなかうまくいかない本筋とは裏腹に、
サイドカップルは順調に関係を深めていっているようです。
潜入捜査のために、キム室長につけまつげを装着してもらうドンア。
戦略ではありません。天然です。
なかなかの色っぽさですね。
無事装着完了後の、キム室長のこめかみの汗が可笑しいです。
ロボットなのに汗かくんだ……じゃなくて、
表面は平静を装ってても、かなり動揺してるんですね、室長。
ドンアの、戦略でない仕草がより大きな効果をあげているんですねー。
がんばれードンア!
うさぎりんごもかわいいぞ!
目をつけるのはデフォなのか。
ムヨルを狙っている誰かは、ジョンヒにも何か送ってきた様子。
今回はロマンスモードでしたが、
ムヨルが危険なことにかわりはありません。
次回はサスペンス展開?
※そうそう、今回から、私の中ではジン・ドンスは「ジンさん」です。
「ドンスさん」てなんかもったりしててヤだな、と思ってたんだよね。
そしたらコ記者が字幕で「ジンさん」と呼んでたので、あ!これだ!と拝借しました。
ほんとは「ヒョンニム」だか「ドンスヒョン」って呼んでたと思う。
韓国では、普通は「ジン・ドンス シ」と、日本で言う「さん」にあたる「シ」をつけますが、
「ジン シ」という、名字+シ の形はあり得ないそうです。
「ドンス シ」は有りね。
だからほんとは「ジンさん」はおかしいんだけど、私の中では呼びやすいので、
これで今後は書いておきます。あしからず。
本当に呼び方については訳が難しい韓国語です。
※コメント投稿者のブログIDはブログ作成者のみに通知されます