福井県立図書館で「日本経済の壁」(山田順著)を借りて読みましたが、
日本のGDPがドイツに抜かれて4位に転落した今年が凋落の始まりで
来年、インドに抜かれ、2050年にはインドネシアにも抜かれて6位、
2075年には、ブラジル、パキスタンなど新興国に抜かれて12位に転落する
というIMFの予想です。
山田氏は『国家はなぜ衰退するのか──権力・繁栄・貧困の起源(上下)』を
引用しています。
・・・繁栄と貧困を分けるのは政治と経済における
「システム」の違いだと指摘・結論した。
彼らは国家のシステムを大別して二つとした。
一つは、権力が社会に広く配分され、大多数の人々が
経済活動に参加できる「包括的制度」。
民主制による資本主義自由経済がこれに当たると言える。
もう一つは、限られたエリートに権力と富が集中する「収奪的制度」。
こちらは、独裁制、貴族制、共産党一党支配体制などの
下での統制経済と言えるだろう。
前者の下では、法の支配が確立し、人々の所有権・財産権が保護され、
技術革新が起こりやすい。
しかし、後者の下では、これと反対のことが起こる。
「経済的な成長や繁栄は包括的な経済制度および政治制度と結びついていて、
収奪的制度は概して停滞と貧困につながる」と、彼らは述べている。
つまり、近代においては、民主体制で資本主義自由経済が機能しなくなると、
国家は衰退し、貧しくなっていくのだ。
この本の考察を日本に適応してみると、第二次大戦後の日本は
一気に民主化され、その下で資本主義自由経済が機能する国家となった。
このことが、その後の画期的な経済成長の原動力となったと言える。
ところがバブル崩壊後の日本は、不良債権の処理のために
国家の借金がかさみ、それとともに政治・経済システムはどんどん
「収奪的制度」のほうに移行してしまった。
日本の資本主義から自由さが失われ、縁故による統制経済、
社会主義経済となってしまった。
アベノミクスのことを「新自由主義」などと、いまだに言っている
“お花畑”エコノミストがいるが、安倍政権が実行したのは
異次元の金融緩和による金融市場の抑圧であり、その結果、
日本は中国よりひどい統制経済になってしまった。
いまや日本には、完全な民間企業はないも同然だ。
名だたる日本企業は、日銀に株を買われたために、「国営企業」と化している。
国債は際限なく発行され、それを日銀が引き受ける
「財政ファイナンス」が公然と行われている。
こんなことは、フツーの資本主義国では起こりえない。
独裁政権のような国でないと起こらない。
なぜなら、法の支配を完全に無視しているからだ。
いまの日本は、国家が単にカネを刷って、それで政府を運用し、
さらに国民に配っているだけの国だ。
かつての民主党政権、その後の自民党政権、そしていまの岸田政権と、
やっていることはみな同じである。
独裁国家の末期によくある「バラマキ政治」が続いている。
かつてのアルゼンチン、最近のベネズエラと同じだ。
これでは、経済衰退が加速するわけである。・・・・
この指摘を裏付けしたのがこれも福井県立図書館で借りた
「知ってはいけない2」で矢部さんが指摘した、
日本の主権の喪失は、戦後から始まっていたということです。
アメリカの奴隷国になり、中国よりも共産主義国家になってしまった
政治体制が、日本の経済を更に悪化させ、
世界最貧国へと突進していくのです。
そこから脱出道はあるのでしょうか。
あります。
「日本経済の壁」でも指摘されているように
「経済規模が小さくとも豊かな国になる方法」があるのです。
そのお手本が北欧の国々であり、特にデンマークです。
日本がもう一度、真剣に内村鑑三の「デンマルク国の話」を読めば、
豊かな国になれます。
しかし、それには聖書を真剣に読むところから始めるしかありません。
それができなければ、更に最貧国になります。