6・アンゼリカ
伝説によると天使ラファエル(注・01)が
アンゼリカをペストに効く植物として授けてくれたと言います。
それゆえに修道院では、細菌性疾患のために用いていましたが、
その後、苦いアンゼリカ茶は胃腸薬として、愛飲されるようになりました。
特にベネディクト会、カルトゥジオ会の修道院では、
アンゼリカのオイルで風味づけしたリキュールを飲んでいます。
日本では「セイヨウトウキ」といいます。
セリ科の二年草です。
欧州各地、北欧・東欧・シベリアおよびグリーンランド等の湿原や
アルザス地方などの山地に自生しています。
草丈1 - 2m。寒さに強いので、
スカンジナビアでは貴重な野菜として利用されています。
葉は大きく羽状の切れ込みがあり、初夏に黄緑の散形の花序をつけるます。
生育は冷涼な場所を好みます。
栽培では、春播きで翌年、秋まきで翌々年に花をつけます。
甘味、ほろ苦味と強い芳香があります。
冷涼な場所を好むことからアルプス、ピレネー、ボヘミア等の
寒冷地で自生していた植物でした。
現在のように欧州諸国に広まったのは、
北欧からヴァイキングがもたらしたためです。
アンゼリカという名前は、ラテン語で天使を表す"Angelicus"であり、
種小名archangelicaは「大天使の」という意味です。
伝説として、疫病が流行したとき、一人の修道僧の夢の中に天使が現れ、
この草に疫病を防ぐ力があることを伝えたといわれます。
それが天使ミカエル(注・02)であり、
この草の花は、5月8日の聖ミカエルの日に咲くのです。
そのためヨーロッパ諸国では「天使のハーブ」、「聖霊の宿る根」
とも呼ばれています。
その名の通りヨーロッパでは古くからこの芳香が悪魔を退け、
病気を治すと信じられてきており、
中世ヨーロッパでは「魔女の霊薬」としても用いられていました。
乾燥させた茎や根はハーブティーに使用します。
アンゼリカティーには強い香りと苦みがあるため、
ほかのハーブとブレンドするとよいでしょう。
ヨーロッパでは、アンゼリカの茎と葉を取って砂糖漬けにし、
お菓子作りの材料として使用しています。
天使ラファエル(注・01)
ユダヤ教に由来し、キリスト教へと引き継がれた天使。キリスト教ではミカエル、ガブリエルと共に三大天使の一人と考えられている(ユダヤ教ではウリエルも含めた四大天使)。ラファエルについては正典では言及されていないが、旧約聖書外典の『トビト記』『エノク書』にあらわれる。イスラム教ではイスラーフィールとして知られる。薬剤師、盲人、病人、精神障害、旅人の守護者。キリスト教では守護天使を監督する天使とされている。(ウィキ)
天使ミカエル(注・02)
旧約聖書の『ダニエル書』、新約聖書の『ユダの手紙』『ヨハネの黙示録』、旧約聖書外典『エノク書』などに名が現れる天使。日本正教会では教会スラヴ語・ロシア語からミハイルと表記される。ミカエルは、旧約聖書からユダヤ教、キリスト教、イスラム教へ引き継がれ、教派によって異なるが三大天使・四大天使・七大天使の一人であると考えられてきた。彼はユダヤ教、キリスト教、イスラム教においてもっとも偉大な天使の一人であり、「熾天使」として位置づけられることもある。(ウィキ)