列王記上
21:8 あはの名で手紙を書き、アハブの印を押して封をし、
その手紙をナボトのいる町に住む長老と貴族に送った。
21:9 その手紙にはこう書かれていた。
「断食を布告し、ナボトを民の最前列に座らせよ。
21:10 ならず者を二人彼に向かって座らせ、ナボトが神と王とを呪った、
と証言させよ。こうしてナボトを引き出し、石で打ち殺せ。」
21:11 その町の人々、その町に住む長老と貴族たちはイゼベルが
命じたとおり、すなわち彼女が手紙で彼らに書き送ったとおりに行った。
21:12 彼らは断食を布告し、ナボトを民の最前列に座らせた。
21:13 ならず者も二人来てナボトに向かって座った。
ならず者たちは民の前でナボトに対して証言し、
「ナボトは神と王とを呪った」と言った。人々は彼を町の外に引き出し、
石で打ち殺した。
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さて今回から、アハブ王の妻、イゼベルの策略で、断食を悪用した事件の
背景を見ていきましょう。
まず8節までのことを簡単に述べますと、王アハブの宮殿の隣に
ナボトのぶどう園があったのですが、アハブ王は野菜畑にしたいので
購入したいとナボトに頼みました。
その条件はさらに良いぶどう園を与えるというのです。
しかし、ナボトは先祖からのゆずり地なので断りました。
それにショックを覚えたアハブ王は食事もとらずふて寝をしていたところに
妻、イゼベルがやってきて、それらのことを知り、
「あなたはイスラエル王なのですから、私によい考えがありますので、
あなたは食事をとって元気を出してください」と励ましたのです。
このイゼベルはシドン人(別名フェニキヤ人 現在のレバノン共和国)の
王エテバアルの娘でした。
アハブ王はなぜ、北王国と隣接する地中海貿易で繁栄した
異教徒のフェニキヤの王女と結婚したのでしょう。
それは北東に位置するアラム(現在のシリア)をけん制し、
フェニキヤとの同盟関係を強化するための政略結婚に踏み切ったからです。
しかもイゼベルはバアルの熱心な崇拝者であり、
イスラエルに異教を持ち込み、それを強力に推進したのです。
彼女のためにイスラエルの首都サマリアには、
バアルの神殿が建てられ、彼女にはお抱えの預言者たちが大勢いたのです。
彼女によって主の預言者たちは迫害され、殺されたのです。
そのような困難な中で戦ったのが旧約聖書の預言者を代表するエリヤです。