太った中年

日本男児たるもの

疑惑のニューボート

2010-11-01 | weblog

ニューボートの塗装を仕上げる父52と叔父52

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ダンピング工事の発注から始まった妻の家造りも、フランシス君との確執から父52が暴走して木の伐採を発注してしまい思わぬ方向に突き進んでしまった。これが運命というものなのか、とつぶやいてみる。

さて、父52が「オレの山」と言ったのは誤りで正確には「妻の山」である。5年前、母48が入院手術した際、その費用は爺さん名義の山を担保に入れて妻が昔の恋人からお金を借りて支払った。そしてその借金を返済、質権設定を解除したのは他ならぬ夫のプリンス。であるから「オレの山」は妻名義で登記されている。

このことは仲人親jet師範のブログに明記されているから暇な奥さんアーカイブスを調べてちょ。

さてさて、それよりも重要なのは父52が木の伐採を発注した翌々日に追加発注したこと。このとき妻はダンピング工事のことで頭がいっぱいになっていて気にも留めなかった。追加発注の伐採代の請求が来たときメモ書きを見て思い出したのだ。追加発注のグロスがメモ書きされていなかったのでフランシス君に確認したところ、父52にいわれた本数をそのまま追加発注したとのこと。フランシス君は父52の山だと思っていた。

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そういえば漁師一筋40年の父52は3隻目となる新しいボートを造る計画があった。

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勘のいい奥さんならもうお分かりだろう、父52は家造りのドサクサに紛れてニューボートの材料をついでに発注したようだ。追加発注の伐採がすべて終わり数日してタイミングよく近所の船大工がニューボートを持ってきて疑惑は深まった。但し、妻はこの件について口を噤んでいるから真相は未だ闇の中のある。

木の伐採をめぐる父52の暴走はニューボート疑惑に止まらなかった。チェーンソーのボスが伐採代金を実家へ取りに来る都度、フィリピンの仕来りでメシを御馳走した。そして追加発注の伐採が終わったとき父52は仲間を呼んで懇意になったボスと宴会を開催、このとき酒の勢いでまたまた木の伐採を発注したのだ。

すべて終わったと思っていたらチェーンソーのボスが再び伐採代金回収のため実家に来たとき、何も知らない妻は唖然とした。家について出資はするけど妻が施主なので余り口を出すことはなかった。しかしこのときばかりは善後策を話し合った。家造りのすべてをフランシス君に任せようとしたことがそもそも誤りだった。

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フランシス君は州都レガスピにある建築設計事務所に勤めるサラリーマンで建築士のライセンスはない営業職。このことは最初のミーティングのときに聞いた。だから建物の設計管理は彼の事務所に依頼したことになる。ところがフランシス君はそれを拒否。報酬は気持だけでいいから彼個人に任せて欲しいと言った。

顧客の希望を聞いて建物の図面を引き、建築確認を提出して役所の認可を受け、着工したら設計通り工事が進んでいるか管理し、完成後登記した建物をチェックするのが設計管理の仕事。しかし、フランシス君は自宅の建て替え同様、建物登記された別荘を買ったことに目をつけてモグリで家を建てようとした。

公的認可にかかる経費や手間、税金をちょろまかし、その分を紹介する業者からキックバックで得ようと算段したのが「気持だけいい」という意味合いなのだ。それをミーティング後妻に話したが取り合わなかった。まさかパシリの弟分がそんなことをしようとは思わない。「気持だけでいい」をそのまま理解していた。

公共事業である住宅分譲地をモグリで建て替えようなんてことは鼻から無理な話で、フランシス君には預金担保で銀行から公的認可の必要な住宅ローンを借りる予定であることを伝え事務所を通すよう観念させた。

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今回、木の伐採をめぐる混乱は父52の暴走もさることながら最初のミーティングでフランシス君が建物管理を拒否して管理者不在のままスタートしたことが原因。住宅建築は初めてで何も知らない妻が材料の個別発注や人工の管理が出来ないことは当たり前。ならば、管理してくれる人を頼まなければならない。

そこで急浮上したのが父52の兄で一緒に漁師を始めた伯父56。10数年前、魚が獲れなくなると漁業から建築業へと転身して現場監督のような仕事をしている。もってこいの人なんだけど現在、伯父56の家の向かいにある親戚の家2棟を建築管理しているため、それが終わらないと面倒を見れないという。

それでも余った材木の処分もあるから伯父56に依頼した。で、建築現場を視察することになった。