太った中年

日本男児たるもの

ショック・ザ・モンキー

2008-12-17 | weblog

今回の渡航で機内読書用に茂木博士の文庫本「茂木健一郎の脳科学講義」を空港内の書店で買った。本のタイトルは気恥ずかしいけれど、元は「脳の中の小さな神々」を編集したものだ。一般的な脳科学書とは趣が異なり内容は面白い。例えばミラーニューロンについての箇所を引用してみる。

サルの運動前野という前頭葉の部分を研究していたイタリアのパルマ大学の研究者たちが、休憩時間になってアイスクリームを食べはじめた。彼らがアイスクリームを口に持っていくと、サルの神経細胞がガーって活動した。(中略)その神経細胞は、もともとサルがエサをとって口に持っていくときに活動していた細胞だったんです。つまり、自分が行動するときに、そして他人が同様の行動をするのを見ているときに、同じ細胞が活動する。自分の行動と他人の行動の両方を鏡に映したように表現しているということでミラーニューロンと名づけられた。(引用以上)

このサルで見つかったミラーニューロンはその後、人間の脳でもブローカ野という言語を出力する領域で見つかった。それはなんでも「心の理論」という他人の心の状態を推定する能力、社会的知性の本質に深くかかわるそうだ・・・なーんて凡庸な感想を書くつもりは毛頭ない。

大体、サルの頭を電気ドリルでコジ開け、脳ミソに電極を刺してアイスクリームを食うというシュールな光景にピーター・ゲイブリエルの傑作ビデオクリップ”ショック・ザ・モンキー”を思い出した。ミラーニューロンが見つからなかったら、ただのイタリアン変態科学者の集まりか、さらに人間の脳でも見つかったのなら人体実験をしたのか、とツッコミたくなった。実にハイな気分の機内読書だった。