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gecko:skelett

2010-12-22 00:00:00 | biologie*



トッケイヤモリ Gekko gecko (Linnaeus, 1758)  の全身骨格標本。


脊索動物門 Chordata
 脊椎動物亜門 Vertebrata
  四足動物(四肢動物) Tetrapoda
   竜弓類 Sauropsida
    双弓類 Diapsida
  "Sauria"
     鱗竜形類 Lepidosauromorpha
   鱗竜類 Lepidosauria
       有鱗類 Squamata 
        トカゲ亜目 Sauria
         ヤモリ下目 Gekkota
     ヤモリ科 Gekkonidae
      ヤモリ亜科 Gekkoninae
       ヤモリ属 Gekko
        
トッケイヤモリ G. gecko

 以前の記事→ニホンカナヘビの透明骨格標本と併せてどうぞ。

  

ヤモリ類最大級の種であり、旧和名はオオヤモリ。
日本にはいないが、東南アジアなどではたまに見かける。
というか、よく食用で売られている。[→塩焼き]
肉はカエルよりも鶏に風味がある印象で、ちょい硬めで歯ごたえがある。

頭部の骨格をカナヘビのそれと比べても分かるが、
骨格が少なめで筋肉の付着部位が大きく、噛む力がたいへん強い。
たいへん気が荒いことでも有名なので、見かけたら注意しましょう。

ヤモリを表す"Gecko"、またトッケイという和名、英名(Tokay)すべてが、本種の鳴き声に由来するとされる。
*Tokay calling



…トカゲ骨格に関して、メインなところはカナヘビでも書いたので、
 今回は特に何もないです。


・トカゲ類に至る系統進化とその大まかな形態学的特徴(一応再掲)

 

双弓類(Diapsida):
祖先的には、
 頭頂骨(parietal)・後眼窩骨(postorbital)・鱗状骨(squamosal)に囲まれた上側頭窓(supra temporal fenestra)、
 頬骨(jugal)・後眼窩骨(postorbital)・鱗状骨(squamosal)に囲まれた下側頭窓(infra temporal fenestra)が開口するグループ

 の中から、
細足形類(Araeoscelomorpha):石炭紀後期-二畳紀後期に生息した方形骨(quadrate)の背側突起の露出しない
 小さな(しかも祖先的な)グループ。細足目1目、その中も
 ペトロラコサウルス科(Petrolacosauridae)・アラエオスケリス科(Araeoscelidae)の2科のみ。
が分岐して、
次いで 鱗竜形類(Lepidosauromorpha)と主竜形類(Archosauromorpha)が分岐した。
後者はカワラバトを参照。
カメ、ワニ、恐竜(鳥ふくむ)などのグループです。

鱗竜形類(Lepidosauromorpha)は更に、二畳紀後期-三畳紀前期に生息していた始鰐類(Eoschia)や
大グループである鱗竜類(Lepidosauria)を含む。

鱗竜類(Lepidosauria)は、涙骨(lacrimal)が縮小しているか全く欠いており、歯が側生(しばしば端生)で、
左右の胸骨板(sternal plate)が癒合し、成体では腰帯(pelvic girdle)や踵骨(calcaneus)-距骨(talus)が癒合。
この仲間で現生種は、ムカシトカゲ類と有鱗類(Squamata)のみ。

有鱗目(Squamata)は、トカゲ類・ヘビ類を含む非常に大きなグループ。
通常、翼状骨(pterygoid)と鋤骨(vomer)が接せず、鋤骨歯(vomerine teeth)がない。
外耳小柱(extracolumella)が細い、後肢の足根骨の各要素が退化傾向にあって、第5中足骨が鉤状。
腹肋(gastralia)を持たない。
オスの生殖器官は発達した半陰茎(hemipenis)。
指式の基本形は前後肢とも(2,3,4,5,3)。

最大の特徴が、下側頭窓(infra temporal fenestra)の腹側が完全に開いて窓としての特徴を失い、
方形骨(quadrate)が捻柱状になっていること。
このため方形骨が自由になって、鱗状骨(squamosal)と可動関節を形成している。
これにより、顎の開閉に際し、上顎-下顎の関節に加えて方形骨-鱗状骨が動く、一種の二重関節が形成されることになる。

ちなみにトカゲ亜目(Sauria)は大きくAscalabota(ヤモリ下目・イグアナ下目)とAutarchoglossa(トカゲ下目・オオトカゲ下目)に分けられ、
ヘビ亜目(Serpentes)はオオトカゲ下目の、更にオオトカゲ上科から分岐したことになっている。
つまり、系統進化的観点からはヘビとトカゲは本当は並列に語られるものではなく、
各系統で独立にアシナシになったトカゲ類のうち
超特殊化・大繁栄したものをヘビ類と呼ぶのだ、と考えなくてはならない。


・トッケイヤモリの骨格図

  



 
  
 Angular:角骨  
Articular:関節骨  Cornu:  Coronary:冠骨  Dentary:歯骨  Epipterygoid:上翼状骨  Frontal:前頭骨 
 Jugal:頬骨  Lacriminal:涙骨  Maxilla:上顎骨  Mandible:下顎骨  Nasal:鼻骨  Parietal:頭頂骨 
 Parietal foramen:頭頂孔  Postorbital:後眼窩骨  Prefrontal:前前頭骨  Premaxilla:前上顎骨  
    Quadrate:方形骨  Squamosal:鱗状骨  Supraorbitalis:眼窩上骨

 
 




さて、このトッケイ、
ネット通販で食材として普通に流通している。
どれか1つ特定の動物群の解剖学を深めて依代にしなければなるまいなぁ…と感じていた最近なので、
これはプライベートで学ぶにはちょうど良いだろうと(マウスでもニワトリでもない羊膜類という点でも)思い、
骨格・筋肉、できれば神経などをも、スケッチやら資料を参考にするやらで徐々にやっていこうと。
ということで、

 →筋肉編。 (いつになるやら)


References:

『The Dissection of Vertebrates, Second Edition』 (paperback)
 Gerardo De Iuliis, Dino Puler :著  (Academic Press, 2010)
『The Vertebrate Body』(Hardcover)
 Alfred Sherwood Romer, Thomas S. Parsons :著  (W.B.Saunders, 1977)
『バイオディバーシティーシリーズ7 脊椎動物の多様性と系統』
 松井正文 :編集,  (裳華房, 2006)

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 ・specimens: その他の収蔵標本。
 ・
vertebrata:0102 脊椎動物。

 ・dinosaur expo 2009:01 - 05  『恐竜2009 砂漠の奇跡』
 ・mosa: モササウルス展@岸和田。モササウルス類はトカゲ類の一群。


 =  National Geographic:Today's Photo =




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